お世話になっております。
パルシネマしんこうえんです！

当館では基本の2本立て上映に加えて「朝パル/夜パル」という枠があるのです。尺の問題であったり、ターゲットの違いであったり、いろいろな要素があって、通常の2本立てで上映するのが難しい。でも上映したい！！という枠を2本立て上映前の朝少し早く、あるいは上映後の夜少し遅くに入れ込む！という枠であります！

そしていま12/6からのプログラムで「朝/夜パル」の枠にて上映中の作品は？

映画内への「閉じ込め」の名手・松居大悟監督作
そう。ちょっと。あくまで『ちょっと思い出しただけ』

あらすじ：怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバーの葉を軸に、様々な登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生の機微を、繊細かつユーモラスに描く。ロックバンド「クリープハイプ」がジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て書き上げた新曲「Night on the Planet」に触発された松居監督が執筆。

「青春」「フェティッシュ」「閉じ込め」
新進気鋭の若手作家・松居大悟という人。

わたしと松居大悟監督の出会いは…。なんて文章を書いても仕方がないですが、書きたくなる程度には個人的に大ファンでして…。デビュー作の『アフロ田中』から不肖追わせていただいており…。ええ…。気持ち悪いですね。

さて、まだお若いながら映画のみならず、『バイプレイヤーズ』シリーズといったテレビドラマから、自身の主催する劇団ゴジゲン、さらには書籍執筆にと活躍されている松居さん。ゆるく笑える空気感のなかにもメリハリの効いた内容と、軽妙な語り口、そして音楽の使い方なんかが特徴でしょうか。

そしてその作品の中身はおおーきく分けると、それぞれの作品でバランスの違いはあれど「青春(あるいは青春の終わり)」「フェティッシュ」そして「閉じ込め」。この3要素からなっていると思っておりまして！今作は「フェチ」弱め「青春の終わり強め」「閉じ込め」強めという感じでしょうか。

思いを、時間を、この瞬間を。あの時を。
「映画連続閉じ込め犯」松居大悟という人。

勝手に松居監督を分析しております。さあこの「松居三大要素」。「青春」に関してはまあ説明はいいでしょう。「フェティッシュ」もまあ大丈夫です。そのままです。『スイートプールサイド』や『君が君で君だ』の概要をみていただければ、あっ…。となると思います。そして「閉じ込め」ですよ！

字面では「フェチ」の一環みたいですが、これは物理的にというか、映画の中に何かを「閉じ込める」という感じ！(自分で言い出しておいて)これは説明が難しく…。初期衝動を！みたいなわかりやすいものもあるんですが、『ワンダフル・ワールドエンド』なんかでは「映画内に自分で作り上げた完璧な関係を閉じ込める」という、文章では意味不明なことをしていたり…。

この怒りを！衝動をそのまま映画にぶつける！という作品は一定数ありますが、そういうものとも少し違った印象があります。ある強い感情を、記憶を、あくまで冷静に、テクニカルに、それでも熱く作品内に「閉じ込め」る。そんな印象があります。なんとなく伝わったでしょうか…？

閉じ込められた記憶の断片たち。
あくまで、ちょっと。思い出しただけ。

前置きがながい！さて今作！監督自ら『ナイト・オン・ザ・プラネット』や『花束みたいな恋をした』へのリスペクトなんかを語られたりしていますが、確かにこの2作品を下敷きにしている感じがあります。もっと言えば他にもいろんな作品のオマージュがあったような。

でもそれはあくまでストーリーの骨組みの話で、その中身はかなり松居作品！という感じに思います。重要なような、そうでもないようなそんなエピソードのたち。でもなんだか、なんかわからないけど本人たちにとってはきっと重要な思い出たち。それらを追体験させられるような。

ともすると退屈な話になりそうなところを、大きなストーリーの流れもつくりつつ、それでもあくまで”凡庸”に。知らない土地の知らない人の、ありそうな思い出話に仕上げる。この辺りの手腕というか、構成力はさすが…！あくまで。あくまで、ちょっと思い出しただけの物語。

↑観終わってからこの予告編をみるとかなり印象が違うかも

まだまだ書き足りないけど上映日程を。

本当は、主演のお二人、脇を固める助演陣ひとりひとりの演技が素晴らしい…！とか、松居大悟×クリープハイプ、そしてクリープハイプというBUMP OF CHICKEN並みの映画との相性の良さなどなど、書きたいことはまだまだありますが、いったんこの辺りで終わっておきます…！

是非ともちょっと試しに、体感してみてください！
12/10(土)までは「夜パル」。その後は「朝パル」に変わるのでご注意を。

↑一緒に上映しております二本立て。
作風はそれぞれまったく違いますが、結構共通している部分も？

↑個人的おすすめ松居。「こないで…！」

↑個人的にとってもおすすめな初松居。騙されたと思って！