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障がい者雇用あるある座談会まとめ

はじめに

2022年1月にオープンした求人サイト「パラちゃんねる」では、これまで3000社を超える障がい者雇用担当者と対話を続けてきました。

  • 障がい者雇用のはじめ方がわからない

  • 業務の切り出し、受け入れ部署の開拓ができない

  • 相談する場所がない

  • 新卒採用と兼業で手が回らない

  • 社長・役員が障がい者雇用にネガティブである etc

障がい者雇用担当者は、役員と現場の狭間で理想と現実のギャップに日々悪戦苦闘しています。教育課程での構造的分断がある日本においては「働く」を通じた共生社会の実現が求められ、旗振り役となる障がい者雇用担当者の積極的な社内活動が必要不可欠です。

私たちは、障がい者雇用担当者を後押しするチームとして障がい者雇用担当者交流会FLAT(ふらっと)を形成し、職場での雇用促進に向けて全面的にサポートすることとしました。

障がい者雇用担当者交流会FLAT(ふらっと)とは

障がい者雇用担当者交流会FLATは、障がい者雇用担当者が集まる場、意見交換・事例・情報共有のためのコミュニティで、パラちゃんねるが運営事務局を担います。

FLAT=垣根なく平地にしていく
ふらっと=ふらっと立ち寄ってほしい

私たちは多くの対話を重ねる中で障がい者雇用にある数値的目標を条件とした量的採用の悪循環にたどり着き、障がい者雇用のあるべき姿の実現を目指し活動していきます。

目先の株主評価に囚われず、持続的なステークホルダー評価の実現こそが企業価値に繋がり、未来を見据えた経営こそが働く従業員や社会にポジティブな思考をもたらすと考えています。

この好循環を目指すためには、障がい者雇用担当者が社長・役員に対して障がい者雇用の価値を証明する必要があり、受け入れ部署へ協力体制を促す必要があります。つまり、共生社会の実現には、障がい者雇用担当者の影響力が欠かせません。

障がい者雇用担当者交流会FLAT(ふらっと)は、障がい者雇用担当者が社内で積極的に活動できるように情報や資料提供を行い、一丸となって課題解決をサポートしていくためのコミュニティを目指しています。

しかし、障がい者雇用担当者のみが集まり交流を図ることは働く当事者を置き去りにした一方通行の自己満足に成りかねません。私たちは当事者のリアルな悩みや課題が集め、FLAT(ふらっと)に提示すること、そして、FLAT(ふらっと)で議論された内容を当事者に提示することを続ける中で社会全体として障がい者雇用を促進する役割も担いたいと考えています。

ここでは、働く当事者の困りごとを集める場として開催される「障がい者雇用のあるある座談会」の活動報告をしたいと思います。

第1回 障がい者雇用あるある座談会~働く側の悩み、困りごととは~

障がい者雇用担当者を集めたとしても一方通行の解決案しかでないのではないか、働く当事者が置き去りになってしまうのではないか、そんな漠然とした不安と予測がある中で最善の決断を下すべくツイッターでアンケート投票を募りました。内容は、「働く当事者側の課題を話し合う場があったら参加してみたいか」でした。

結果は、「参加してみたい(顔出しOK)」「参加してみたい(匿名ならOK)」を合わせて92%となり、雇用する側の障がい者雇用担当者と雇用される側の働く当事者が一緒になってこれからの障がい者雇用を検討していくことへの実現性と期待感を強く感じました。

どんな開催方法であれば参加しやすく、議論しやすいのか、右も左もわからないため、まずはTwitterスペースを活用して2023年2月6日に第一回 障がい者雇用あるある座談会を開催しました。

当日は、パラちゃんねるオーナーの中塚翔大、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、文筆家で介護事業所経営者の豆塚エリさんによる対談形式でリスナーの声を聴きながら様々な視点で議論しています。

※フル音声はYoutubeから↓

座談会当日は160名を超える方々にご参加いただき、多角的視点で活発な議論が展開されました。障がいのある当事者が働こうとした場合における通勤などの公共交通機関にある障壁、トイレなど職場環境にある障壁、制度があっても活用できるかどうかは別という人間関係にある障壁など業務に取り組む以前に無数の課題が潜んでいる点に触れています。

また、日本社会にある「働く=職場内」という価値観、固定観念の存在が課題解決への足かせになっている可能性にも言及されています。障がい者雇用の議論になると、現状の求人職種の多くが単純作業であるために「特性を活かした仕事」という職域の拡大に着目されがちであり、業務のマッチング度合いが高いことが定着率の向上とイコールとして結果的に語られている瞬間も見え隠れします。

経験・資格を活かした仕事探しなのか、働きやすい環境を優先した仕事探しなのか、学歴・経験・資格だけでなく障がい種別、度合い、住まい、年金など障がいがあることで判断の軸は複合的観点において成り立っていることはまだまだ社会に知られていないようにも感じています。

続きはパラちゃんねるカフェをご覧ください↓

第2回 障がい者雇用あるある座談会~上司や職場での人間関係(配慮・理解)~

第1回障がい者雇用あるある座談会を経て、障がい者雇用にある課題が就業前段階、職場の設備面、業務内容、人間関係にカテゴライズされ潜んでいることが明らかとなりました。そこで第2回として、さらにカテゴリーを絞った中で議論を進めてみたいと思います。

第1回目と同様にツイッターでアンケートを実施しました。
「働くうえでの一番の困りごとを抱える場面はどんなとき?」

結果は、「上司や職場での人間関係(配慮・理解)」が58.2%を過半数を占め、「満員電車などの通勤中(就業前段階)」が17.4%、「電話応対などの業務内容」が16.4%、「トイレ、階段などの職場環境(設備面)」は8%となりました。

2023年2月26日(日)に第2回を開催し、アンケート投票1位の「上司や職場での人間関係(配慮・理解)」に絞り、障がい者雇用の課題について話し合ってみたいと思います。

当日は、パラちゃんねるオーナーの中塚翔大、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、文筆家で介護事業所経営者の豆塚エリさんによる対談形式でリスナーの声を聴きながら様々な視点で議論しています。

※フル音声はYoutubeから↓

座談会は153名の方にご参加いただきました。「わがまま」と「配慮」の違い、「配慮」と「遠慮」の違いなどエピソードを交え話題が展開されました。配慮をお願いするタイミングや方法によりわがままと捉えられてしまう危うさがあり、入社時点で設定する合理的配慮がある種のルール化の様相を呈せば、その後の業務に関係するPC機器、システム、業務内容などの変化、年齢や環境などの変化に伴う配慮の増加はプラスαとしてわがままな印象を与える可能性について触れられています。

また、その原因として面接の在り方を取り上げています。個人の能力やスキル、ビジョンなどに焦点を当て、働きたい人を探すための面接が行われておらず、できる・できない、必要な合理的配慮など受け入れ可能かどうかを判断する面接になっていることが無意識的に障がい者雇用に刷り込まれていると話されています。

ただし、このように無意識の中で生まれる偏見や漠然とした不安を拭い去るためのルール化や制度化を解決策とすることは安心感を与える一方で柔軟性を奪い、働きづらさの温床になることもあるとされ、現時点の障害者雇用においては柔軟性を担保するために『当事者性』に頼らざるを得ず、受け入れ部署に当事者性のある従業員数の把握ことこそが障がい者雇用推進のキーになるかもしれないと感じる結果となりました。

今回も多くのリスナーからコメントもいただき、闊達な議論となりました。
ぜひ続きはパラちゃんねるカフェをご覧ください↓

第3回 障がい者雇用あるある座談会~良い上司、良い職場の共通点は何?~

第2回障がい者雇用あるある座談会では「上司や職場の人間関係(理解・配慮)」について議論しました。障がい者雇用における配慮の変化に焦点を当て『当事者性』をキーワードとして言及しています。

『当事者性』とは、「問題になっている事柄に関して、個人的に直接的・間接的な体験があり、当事者に近しい感覚を持てていること」と表現する。
※福祉領域の単語であり明確な定義はないかもしれません。

仮に『当事者性』が働きやすさの源泉だとすれば、どんな体験があれば『当事者性』を獲得できるのか?

恒例のツイッターアンケートを実施しました。
障がいがある近親者がいる以外に『当事者性が芽生える』体験・経験ってどんな時がありますか?

結果は、「幼少期に当事者と接点がある(学校・地域)」が47.3%を過半数を占め、「職場で当事者と接点をもった(会社・仕事)」34.3%、「その他」11.6%、「親の仕事が福祉系だった(見聞きしていた)」6.9%となりました。

そして、ご協力のおかげで、その他コメントもたくさんいただきました。

・自分自身が怪我や病気で長期のハンデを負った時
・教員実習で特別支援学校へ訪れた時
・自分の友人が当事者になった時
・自分自身が車いすなど日常の不便さを体験した時
・当事者が集まる活動に関わった時

さて、果たして働きやすい職場には本当に『当事者性』があるのでしょうか?そして、良い上司、良い職場とは何でしょうか?

2023年3月26日(日)に第3回を開催し、「良い上司、良い職場の共通点は何?」について議論を深めていきました。当日は、パラちゃんねるオーナーの中塚翔大、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、文筆家で介護事業所経営者の豆塚エリさんによる対談形式でリスナーの声を聴きながら様々な視点で議論しています。

※フル音声はYoutubeから↓

座談会は120名の方にご参加いただきました。座談会では良い上司の例として言動が首尾一貫している、態度がいつも同じ、上司の役割を合理的に遂行しているなどが挙がある一方で、上司側の精神的な余裕がなければ難しいのではないかと素養やスキル面の課題も言及されています。

ただし、良い上司が果たす役割を可視化してみると実現可能性はあがります。

  • 業務の指示書がある

  • 定期的な面談がある

  • フィードバックがある

結果的にそれぞれの素養に一任するのではなく職場としてルール化することで機会提供が実現できれば働きやすさに近づいていけるのではと想像しました。

また、働きやすさのある職場を見極める観点として入社前の面接段階で判断軸を作る必要性について話し合われました。障がい者雇用では求人数が圧倒的に少なく、個々の特性や条件を当てはめると応募できる求人はほとんどありません。そのため、面接における自己開示へのハードルは高く、結果的に早期退職へつながるケースも少なくありません。

議論を深める中で最終的には、企業側が面接の場づくりとして自己開示のルール設定をすることができれば、求職者も面接官にとっても心理的安全性が担保されトラブルを未然に防ぎ、定着率向上にも寄与できるはずと障がい者雇用担当者交流会FLAT(ふらっと)への情報提供を見つけ出すに至りました。

その他、今回も多くのリスナーからコメントもいただき、闊達な議論となりました。ぜひ続きはパラちゃんねるカフェをご覧ください↓

第4回 障がい者雇用あるある座談会~就職活動におけるバリアを探る~

第3回障がい者雇用あるある座談会では「良い上司、良い職場の共通点は何?」について議論しました。良い職場にある条件を導き出し、面接で見極めるための自己開示ルールについて提案を纏めています。

第4回障がい者雇用あるある座談会は、「就職活動におけるバリアを探る」です。第3回では良い上司、良い職場を見極めることから、自ら選択をしやすくなるための方法論まで話し合われましたが、障害種別によっては面接に行くまでに至らない現状もあります。

さて、果たして障害種別により就職活動におけるバリアはどのようなものが存在するのでしょうか?

当日は、パラちゃんねるオーナーの中塚翔大、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、文筆家で介護事業所経営者の豆塚エリさんによる対談形式でリスナーの声を聴きながら様々な視点で議論しています。

※フル音声はYoutubeから↓

座談会は123名の方にご参加いただきました。座談会では、就職活動またはキャリアを考える上での「支援する・される」の上下関係が当事者の思考を混乱させている実態について言及されています。

とくに中途障害により自己理解が及んでいない場面においては、情報の取得が必要不可欠でありアドバイスを求めざるを得ず、当事者を心配する周囲や支援者からのアドバイスの情報過多を生み出しがちです。

取捨選択の判断材料が本人にない場合、誘導されたキャリア選択になる気先生も秘めており、就職活動の良し悪しがヒトとの出会いのタイミングなど運に起因してしまうことに触れ、他者に依存せず自力で選択していく意識にも触れています。

また、キャリア選択が人との出会いなど不確実性の在るタイミングに少なからず依存する一方で選考プロセスにあるバリアについても議論が及んでいます。

  • PCスキルを求める一方で手書きの履歴書しか受け付けない

  • 適性検査がアクセシビリティ対応されていない

  • 障害により履歴書を書く時間に差が大きくある

現状の選考プロセスが新卒・中途採用からの転用になっており、障がい者雇用に適用しておらず、障害種別によってエントリーまでの道のりが異なり、エントリーすらできない現状についても可視化される結果となりました。この点については、パラちゃんねるについても調査をしていく予定です。

その他、今回も多くのリスナーからコメントもいただき、闊達な議論となりました。ぜひ続きはパラちゃんねるカフェをご覧ください↓

第5回 障がい者雇用あるある座談会~障害者雇用のキャリア形成とは~

第4回 障がい者雇用あるある座談会では「就職活動におけるバリアを探る」について議論しました。意識だけでなく、履歴書・適性検査の在り方など選考プロセスの課題についてを纏めています。

第5 回障がい者雇用あるある座談会は、「障害者雇用のキャリア形成とは~キャリアを考える必要ある?~」です。

当日は、パラちゃんねるオーナーの中塚翔大、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、文筆家で介護事業所経営者の豆塚エリさんによる対談形式でリスナーの声を聴きながら様々な視点で議論しています。

※フル音声はYoutubeから↓

当日は120名以上の方に参加いただきました。
座談会は、「障がい者でもキャリアを考えて良いんだ⁉」という発言から始まり、キャリアに目が向かない理由として体力・体調などの変化から目先の働くに焦点が当たり過ぎてしまう傾向と併せて社会にある機会の少なさが将来に目が向かない現状に作り出しているのではないかとは議論されています。また、「キャリア=仕事」という日本の義務教育や就活から生まれた慣習が視野を狭めている点にも触れあれており、歩みたい人生の姿(幸せ)から逆算することの大切さについて話しています。

一方で、目の前の漠然とした不安を軽減させる方法についても言及されており、日常を可視化すること、フェーズに合わせた選択肢を知ることの有効性についても話題となっています。

その他、今回も多くのリスナーからコメントもいただき、闊達な議論となりました。ぜひ続きはパラちゃんねるカフェをご覧ください↓

第6回 障がい者雇用あるある座談会~法改正!合理的配慮の義務化で変わること~

第5回 障がい者雇用あるある座談会では「障がい者雇用のキャリア形成とは」について議論しました。「キャリア=仕事」と固執してしまう理由やあるべき思考の姿など働くとは何かについて考える会となりました。

第6回 障がい者雇用あるある座談会では、2024年4月に施行される障害者差別解消法にある「合理的配慮の義務化」についてです。

法改正が皆さんの働き方にどのように影響を及ぼすのか?
一緒に考えてみませんか?


多様性を推進するプロジェクト「パラちゃんねる」のご紹介

多様性を推進するプロジェクト「パラちゃんねる」では、「誰もが特性を活かせる、多様な選択肢のある社会」を目指して、障がいのある当事者のリアルを配信するラジオ・コラムのメディア活動に加え、自由な出会いの場を創出する求人サイトを運営しています。

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