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良好な夫婦関係が,泣き止まない子へのストレスを減らす

泣き止まない子へのストレスと虐待

児童虐待の中でも,乳幼児頭部外傷/揺さぶられ症候群(AHT/SBS)の死亡率が高いと報告されています。
また,AHT/SBSの発生要因の多くは『子どもの泣き』であり,加害動機の約半数が,「子どもが泣き止まないためにイラだった」と報告されています。

乳児にとっては,泣くことがコミュニケーション手段であるため,乳児を泣かせないようにすることは不可能と言えます。
しかしながら,何もしても泣き止まない乳児に対して,7割以上の母親がイライヤやストレスと感じているという報告もあります。
泣くしかない乳児と,それを分かっていてもイライラしてしまう親との間でギャップが生じてしまうわけです。

こういった報告に対し,「親なんだから我慢しろ!」や「親が未熟なのが悪い」などと,親を一方的に責める意見もありますが,それらは人間心理を全く無視した暴論です。
前述しように,泣き止まない子どもに対して約7割の母親がイライラすると答えおり,イライラするのが普通です。

父親に関して言えば,子どもの泣きに対して以下のようなネガティブな報告があります。

  • 乳児が泣いても積極的に介入しない父親が一定数存在する。

  • 母親が不在時の泣き声をより不快に感じる。

  • AHT/SBSの加害者の約6割が男性(父親以外も含む)。

私も含め,父親たちはこうした事実を認識する必要があるでしょう。

良好な夫婦関係が虐待を防ぐ

子どもの泣き声に対するネガティブな受け止めにについては,子どもへの感情だけでなく,夫婦間の気持ちも関係するとされています。
つまり,子どもを肯定する気持ちや,夫婦関係の満足度を高めることで,子どもが泣くことに対するネガティブな思いは軽減できるとが考えられます。

さて,父親・母親の両方が,夫婦関係の満足度の高さが,子の泣きに対する育児の困難感に影響すると報告されています。
つまり,夫婦関係性が良好であるほど,育児に対する困難感は軽減されると言えます。
父親だけで言えば,夫婦関係の満足度が高いと,子どもと接する感情がポジティブになり,間接的に子どもが泣いても育児の困難感を感じにくくなります。
また,母親では,夫婦関係の満足度が,直接的に子への育児の困難感に影響します。

以上,子どもが泣き止まずにイライラする時は,子どもに対して何かをするのではなく,夫婦関係を良好に保つという視点も考えてみてください。
そして,夫婦で協力して虐待を防いでいきましょう。

何をしたらいいか分からない父親の皆さんは,下の記事も参照ください。

まとめ

  • 児童虐待の中でも,乳幼児頭部外傷/揺さぶられ症候群(AHT/SBS)の死亡率が高い。

  • その加害動機の約半数が,子どもが泣き止まないことへのイラ立ち。

  • 子どもが泣き止まないことで,イライラするのは普通のこと。

  • 子どもの泣き声に対するネガティブな受け止めにについては,夫婦関係も影響する。

  • 父親・母親の両方とも,夫婦関係の満足度の高いほど,子の泣きに対する育児の困難感は軽減される。

【参考文献】
・夫婦関係の満足度が児の泣きに対する育児困難感へ与える影響:日本看護研究学会雑誌.2022.45(4)

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