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ケンカをしない人生は危ういのです。

ケンカをしないことは良いことだと思って生きてきた。

ケンカをしない方が穏やかな気持ちでいられるし、ケンカをしないと決めることによって自分がイライラすることは少なくなる。

ケンカをしている人や何かに対して怒っている人を見るのは苦手だし、そういう人の近くにいるのも苦手だ。

ケンカを仲裁するほどの勇気もないから、そういう人たちからは自然と距離を取るようになっていった。

しかし、ケンカをしないことは本当に素晴らしいことだったのだろうか?

今振り返って考えると、それがよくわからなくなってきた。

ケンカをしたことがないと、他者とぶつかることに耐性が無くなる。

ケンカに慣れていないと、自分の主張をハッキリと相手に伝えることができない。

それで苦しんでいるのが今の私だ。

誤解のないように言っておくと、今まさに誰かに貶められて苦しめられているわけではない。大変ありがたいことに、私の周りには素晴らしい人がたくさんいて、私を認めてくださっている人もたくさんいる。

しかし、単に自分自身が何か主張しよう、目立とうとすると、なぜか大きな心的ブレーキがかかるのだ。

これが、ケンカの経験をしないままに生きてきた人間の末路だ。

この歳になって、他者とぶつかる、他者と適切に向き合うという経験のないままに生きていくことの危うさを実感している。

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