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歴史エッセイ | 戦後になったのはいつか?

 ニュースを見る。長引く戦争状態。それが終わるのはいったいいつなのだろう?、ふとそんなことを考える。
 かつて歴史の時間で習ったように、日本も、日清戦争、日露戦争、太平洋戦争など、何度か戦争を経験してきた。

 戦争が終わるとは、武力行使がなくなったことを意味するのだろうか?
 たまにニュースでも説明されることがあるが、朝鮮戦争はいまだに「休戦状態」であって、「終結した」とは言えないようだ。

 一般的に、日本で「戦後◯◯年」というとき、ポツダム宣言を受諾した1945(昭和20)年を起点(「戦後0年」)とする。
 1945年8月末からアメリカ軍が進駐した。マッカーサーが率いるGHQは、同年9月に東京に移された。
 GHQは1945年(昭和20年)から1952年(昭和27年)まで、日本を占領している期間に覚書を発して、日本政府に対して、さまざまな施策を行うように命じた。

 日本国憲法は、1946年11月3日公布、翌1947年5月3日施行されたが、GHQの命令は事実上、憲法をこえる拘束力をもっていたと考えると、戦争が終わったのは果たして1945年と考えてよいか疑問だ。少なくてもGHQが支配していた1952年までは戦争は終わっていない、と言えそうだ。

 あるいは、国際社会へ復帰したときに「戦後」が始まると考えるならば、日ソ共同宣言に調印して、国際連合への加盟が認められた1956年が「戦後元年」と言えそうな気もする。

 あるいは、沖縄返還が実現して、日中国交が正常化した1972年をもって「戦後」になったとも言えそうだ。

 いや、まだ北方領土の返還が実現していないと考えれば、まだ戦後とは言えない。

 ・・・と定義の仕方・考え方次第で、さまざまな「戦後元年」が作れてしまうのだが、私が思うに、「講和条約の締結」をもって一応の決着と考えるのが自然だと思う。このように考えると、1951年に調印されたサンフランシスコ平和条約が発効した「1952年(昭和27年)」を「戦後元年」としたほうがよいと思う。
 異論・反論があるかもしれないが、1945年を戦後元年と考えるのは「早すぎる」。


 こんなことを書いたのは、ワイドショーなどで、「今の教科書では、鎌倉幕府の成立は1192年(いいくに)ではなく、1185年(いいはこ)なんです!!」と言われることがあるからだ。たぶん、そうしたことをセンセーショナルに言う背景には、歴史とは「暗記科目」だという暗黙の了解があるからではないだろうか?学生時代に習った「事実」が覆されてしまったと誤解しているように思う。

 E.H.カーによれば、「歴史とは、過去と現在の対話である」。もちろん「新事実」が「発掘」されて歴史が修正されることもあるが、通説やパラダイムが変化したことにより、教科書の記述が変わることのほうが多いのではないだろうか?

 余談だが、「幕府」というものも、今後の教科書では変わる可能性もある。我が国最初の幕府は「鎌倉幕府」と私は習ったが、平清盛政権だって定義次第では幕府と言える。
 歴史とは過去のものであって、過去のものではない。歴史とは、現在と過去の「対話」である。


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