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プロフィール記事に作品リンクと内容説明がありますので、初見の方はそちらをどうぞ。/毎月15日に何かしらの鳥居ぴぴき作品を更新します。

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【長編小説】配信、ヤめる。【デモ版】

#1 プロローグ  銃声が鳴り響く。二発だ。近くの車の影に逃げ込む。  ——カン、カカカ、カン。  隠れたは良いが、敵の乱射に身動きが取れない。車体ごと俺を殺そうとしてる。緊張状態に陥った。で、思考は停止した。  銃声がもはやBGMにしか聞こえない。左右をキョロキョロと見回していると、仲間が隣に駆けつけた。gus6とい名前だ。 「バブルさん、ここは攻めましょう。GOGO!」  バブルとは俺のことだ。状況で攻めるなんて考えられない。 「ちょ、ちょっと待ってください、無理です、ム

    • 【長編小説】異精神の治し方「合法処刑」.2

       プールの掃除は夕方に終わり、委員会室に戻ると頭を抱えたルルさんがいた。 「どうかしたんですか?」 「いや、大丈夫です。それよりプール清掃お疲れ様でした」  コップに注がれたサイダーを渡される。 「ありがとうございます」  一口だけ飲もうとしたけど、一気に飲みきってしまった。美味しい。 「結構、時間が掛かってたみたいですけど、何か問題はありませんでしたか?」 「ええ、あー」  二人が途中で帰ったことって、報告するほどのことなのか一瞬考えたが、一応伝えることにした。多分、あの二

      • 【長編小説】異精神の治し方「合法処刑」.1

        【処刑人】 ・十九歳を超えて異精神が完治しなかった者を処刑する。その他に、危険性のある異精神者の処刑も行う。  明日の時間割を眺める。体育がある日だ。というより体育しかない。沼田記念学校は異精神の完治が最優先だから、授業は午前中しかない。 「ニーコさん、準備よろしくね」  と私を呼ぶのはルルさんで、委員会のリーダーである。  リコが私に施した境界治療の後、目が覚めた時に対応をしてくれたのが彼女だ。あの時にいた背の高い男も委員会の人間なのだが、あれ以来会っていない。  リコと

        • 人生の意味と長さに関する中間報告

          【長い】 ①物や空間のある点から他の点までが遠い。②時間の隔たりが多い。  書き出しが全く思い浮かばなかった為、辞書から意味を引用してスタート!  時に、こんな経験はあるでしょうか?  面白そうな映画を発見したけど、三時間もあって見るのを先送りにする。  あとはこういった長ーい作品たち、「龍馬がゆく」「ワンピース」あとは、なんだろう。仮面ライダーも基本的に話数が多すぎて踏み込み辛い。  とはいえ、一つくらいあると思う。何時間も掛かる長い話を見たこと。  各自、想いを馳せてほ

        【長編小説】配信、ヤめる。【デモ版】

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        • 【長編小説】異精神の治し方
          7本
        • エッセイ
          12本
        • 短編小説
          9本
        • 音楽
          27本
        • ラジオ
          2本
        • 【短編小説】テンプテーション・カーニバル
          16本

        記事

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.5

           赤髪のおばさんが歩いてくる。 「ついてきなさい」  そのまま一度も立ち止まらずに、私たちの間を突っ切って行った。  リコは不安そうな表情のままだが、ついて行くみたいだった。当然私も。  噴水の前を通り過ぎてから、公園を出ていく。道路にでるはずなのに、私たちは海辺に居た。なぜか全員自転車に乗っている。  潮風が気持ち良い。けど、塩を含むこの風は、悪い影響も多く存在する。  そう、そのことを、私はカオルから聞いた。 「下り坂だよ。気をつけな」  赤髪のおばさんの声で下り坂になっ

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.5

          【短編小説】地球救済作戦

           巨大な月の前にある一隻の宇宙船。それは地球を救う為の希望の星。成功すれば、人類史に残る大偉業。しかし失敗すれば、人類史なんてもの自体なくなるし、そもそも地球がなくなる。そして今、船内にいる二人の男の頭には、失敗の二文字が渦巻いていた。 「もう終わりだ。地球に残した家族も、ローンを組んで買ったマイホームも、地球も俺も、すべて終わりだ……」  沈痛な面持ちで口にするのは、伊澤一。この宇宙船の飛行士であり、地球の救世主である。いつもは、見事にセンターで分けられている黒髪だが、今は

          【短編小説】地球救済作戦

          【短編小説】八つ目蟷螂

           昨年に姉は高校を卒業して、一日のほとんどを部屋の中で過ごすようになりました。  姉は高校卒業の二週間前ほどから、急な奇声を発するようになりました。  初めは、やめさせようと思いその原因を解決しようしました。しかし、姉に何かを聞けば、見る見るうちに怯えだし、その日の夜には家中の戸締りを何度も何度も繰り返すことになります。  姉が言うところの、『八つ目蟷螂』が入ってきてしまうらしいのです。  もし家に入られたら、卵を生みつけられてしまい、その卵が孵れば八つ目蟷螂の子供たちが私た

          【短編小説】八つ目蟷螂

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.4

          「起きてください」  誰だろう。私を揺すっているのは。  薄く目を開けてみると倒れているリコが見えた。私は眠ってしまっていたようだ。 「リコ!」  立ち上がってリコに近づく。反応はない。 「え、大丈夫? 大丈夫?」  声をかけながらリコを起こそうとする。 「えっと、あんまり揺らさない方が……」  男の人の声がした。 「誰?」  私を起こした人がそこに居た。同い年くらいの男の子だ。どこの学校の服だろう。なんだかブカブカしている。それに青くなるほど短い丸坊主。あと度の強いメガネ。

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.4

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.3

           教室には、また私とリコの二人だけだ。まだ、自分が自分でいる事に驚くと同時に失望している。 「なぜだか分かる?」  リコが私に質問をしている。もちろん聞こえている。けど、答えが本当に分からない。 「知りません」 「だから、それを知らなくちゃいけない」 「そんなこと言ったって」  どうしたらいいのだろう。  オアシスで二人のキスを見た後、私は物質化してしまうのだと思った。私がカオルを好きなら、そうなるべきだった。  なのに、心は冷め切っていて、それだけだった。  こうしてリコの

          【長編小説】異精神の治し方「境界治療」.3