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組織は型が小さいと終わる


ダイバーシティ(多様性)という言葉が謳われるようになり、最近はその制度化が進んできています。

多くの企業もダイバーシティの視点を取り入れ、性別や学歴を問わない採用を行ったり、マイノリティであっても働きやすい制度を設けたりと取り組みが盛んになっています。



それは単なる、権威を持つ者からの優しさではありません。
マジョリティからマイノリティに向けたボランティア精神ではありません。
「みんな仲良く」を実現するためでもありません。



さてしかし、「ダイバーシティ」という言葉の本質は何なのでしょうか。
多様性が重要なのは何故でしょうか。

多様性を大切にすることに集団としてのメリットがあるからこそ、この言葉が盛り上がっているに違いありません。


でも、本当のところ、必要なんでしょうか。



効率化を図る組織たちは..


多様性と言ったって、組織は効率が大事。


同じ価値観を持つ人、
同じくらい能力を持つ人、
同じルールのもと、
同じ教育のもと、
それが一番やりやすい。

そうじゃないと、仕事が進まないじゃないか。




そりゃあ、そうです。


だって同じような集団でいれば、"考えなくて済む"んだもの。

効率的というのは、時に恐ろしい結果を招くことがあります。それを忘れてはいけません。



型にはめたら、はみ出した所はどうなる?


クッキーの型抜きで考えてみます。

コネコネして薄く伸ばした生地を、星型でくり抜くと、どうなるでしょう。


型が抜けない「余り」が出ます。


クッキー生地の場合は、もう一度コネコネして薄く伸ばせば、もう何回か星型を抜けるかもしれません。

しかしそれでも、最後は必ず余りが出ます。
また問題なのは、人間はコネコネできない部分があるというところにあります。



つまり組織を均一に、効率的にするために小さな型にはめようとすると、結局は人々の能力(個性)を一部排除することになります。

そしてまた、その型に入らない「排除された余り」はどこかに淡々と溜まっていきます。
組織はそれに目を向けることなく、型で抜けるものだけ探し続けます。


この方法では、いつか終わりが来ることは明らかです。



だったら星型で生地を抜くなんてこと、しなければ良いんじゃないか?
でもある程度は形が綺麗でないと、見栄えが悪い(売り物にならない)....


そこで必要なのは「生地がすっぽり収まるでかい型を使う」ことです。

ただし、でかい型抜きを使用したら、今度は生地が余るどころか足りなくなって、何もない部分が出来てしまう。




さて、こんなときにその"間"を埋めるのが、まさに援助職ではないかと思っています。


つまり組織を作るときには、小さな型にはめずに大きな型だけ作っておく。

そして型の空白を上手く埋めるために、有効に援助職を取り入れる。
(そこに心理士という選択肢もあれば大変光栄ですが。)


この発想では、型はどんどん大きくすることが出来るのではないでしょうか。




ダイバーシティの制度化に疑問を抱いている方や、その意義が分からずに何となく過ごしている方もいらっしゃると感じています。

しかしそれが何のためにあるのか、考えてみてください。


型が大きいということは、それだけ私たちの世界に対する考え方が増えるということです。
考え方が増えるということは、それだけ私たちのこころを豊かにするということです。




人間は"関係性"に生きていて、関係性のために"考えて"生きているのです。


(ちなみに、遺伝学における多様性にも興味があります。これを機に勉強しようかなぁと考え中です。)

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