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雑文ラジオポトフ

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今田の雑文です。
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記事一覧

わたしとのデートことわりわたしになる

わたしとのデートことわりわたしになる

シリーズ・現代川柳と短文 185(完)
(写真でラジオポトフ川柳273)

 ときどき耳にするのは「ライバルは自分」だとか「だらけ癖のある自分こそがいちばんの敵」だとかいう言い回しだ。ならばわたしは「自分が自分のいちばんのファンになれ」と言いたい。「自分が自分のいちばんのファンクラブになれ」でもいいが、ひとりでクラブを名乗る図太さが君たちにはあるか。

▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!

だれだってからだのどこかチタン製

だれだってからだのどこかチタン製

シリーズ・現代川柳と短文 184
(写真でラジオポトフ川柳272)

 骨折だかなんだかのあと、体にボルトを埋めることがあると聞く。素材はなんだろう。埋める理由によって変わるのかもしれない。ところで、鉄だかなんだかの金属には血液を固める作用があると聞く。止血の意味で体(脳?)にコイルを埋めることがあるとも聞く。聞いてばかりである。そして忘れてばかりである。つまりわたしはなにも知らない。ボルトもコイ

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ぞくぞくと逮捕をされていくわたし

ぞくぞくと逮捕をされていくわたし

シリーズ・現代川柳と短文 183
(写真でラジオポトフ川柳271)

 逮捕行為は民間人でも行える。私人逮捕だ。むろんそれには厳密な条件があり、安易な私人逮捕は逮捕をした側が裁かれることにもなりかねないからあぶない。では、安心安全な逮捕とはなんだろう。警察官の格好に身を包み、犯人役の手首に手錠をかける。そんな倒錯した行為を安心して行うにはどうすればいいだろう。とりあえず15万くらいあればなんとかな

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先日は文字のふりしてすみません

先日は文字のふりしてすみません

シリーズ・現代川柳と短文 182
(写真でラジオポトフ川柳270)

 手書きで漢字が書けない。憂鬱とか薔薇が書けないなら仕方ないが、もっとかんたんな漢字も書けないことがざらにある。キーボードやスマホでの入力に慣れてしまったからか、たんなる老化現象なのか。話はずれるが、おとなになってから知ったのは、自分の苗字にある「今」という漢字が戸籍的には旧字体表記が正しいらしいということだ。いまさらなんだよ〜

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部下たちのやる気あつめてダンスする

部下たちのやる気あつめてダンスする

シリーズ・現代川柳と短文 181
(写真でラジオポトフ川柳269)

 集団の能力を最大化してミッションへと仕向けるのがリーダーのあるべき姿だ。ここで言う「最大化」にはさまざまな意味があり、相撲部屋を例にとれば、大量のちゃんこを食べさせて体を最大にさせる、というものや、あるいは、大量のちゃんこを食べさせたあと長時間の昼寝をさせ、体を最大にさせる、などがある。

▼これまでの「現代川柳と短文」は以下

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うしろからねじれようこそやってくる

うしろからねじれようこそやってくる

シリーズ・現代川柳と短文 180
(写真でラジオポトフ川柳268)

 ねじれようこそは妖怪で、ようこその中でもねじれが強いタイプをこう呼ぶ。最近ではごくノーマルなようこそもねじれようこそを逆方向に「ねじり戻した」ものであるとする説も登場しているらしい。

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TOEFLが服を着てないときがある

TOEFLが服を着てないときがある

シリーズ・現代川柳と短文 179
(写真でラジオポトフ川柳267)

 わたしのささやかな趣味は、海外の(ほとんどが英語圏の)映画を観た直後、その作品について Internet Movie DataBaseで調べることだ。すべて英語だからまるで理解できていない、はずなのだが、ついさきほどまで観ていた作品について書かれているため、なんとなく理解できている気になれる。要するに、英語ができるような気分に

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亡き人か可愛い山かわからない

亡き人か可愛い山かわからない

シリーズ・現代川柳と短文 178
(写真でラジオポトフ川柳266)

 幽霊の正体見たり枯尾花、という句を好意的に踏み込んで解釈すれば、ただの枯尾花であろうとそこに幽霊というファンタジー的想像力を注入できるのだ、とも読める。それははっきり言えば誤解だが、いまの社会で誤解の力を信じずに楽しく生きていくのはむずかしいのではないか。もっとだれもが誤解することを許される社会にしたいと考えておりますのでみな

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この先は4時になったら進みます

この先は4時になったら進みます

シリーズ・現代川柳と短文 177
(写真でラジオポトフ川柳265)

 24という数字がすでにべんりだし、それを半分にした12で1日24時間を表現するアナログ時計もすごい。しかし、わたしは新しく買ったデジタル時計をすぐさま24時間表示にした。ああすっきり。これで快適。そして翌朝、その時計をつけ忘れたことに出先で気づく。

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人間のあとはだいたい3種類

人間のあとはだいたい3種類

シリーズ・現代川柳と短文 176
(写真でラジオポトフ川柳264)

 火葬、土葬、水葬、鳥葬、宇宙葬。人間の葬り方にもさまざまあるが、ここでやっかいなのが生前葬の問題である。それが葬り方というより、葬儀、つまり儀式の問題であるからだ。ここで思い出すのが即身仏だ。彼らに「自分を葬る」という意図があったかどうかはわからないが、即身仏になるという行為じたい(入定)にどこか生前葬的なニュアンスがあるよう

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ハンサムにたまごを割ったからってな

ハンサムにたまごを割ったからってな

シリーズ・現代川柳と短文 175
(写真でラジオポトフ川柳263)

 かっこいい=おもしろい、というのがわたしの価値観だ。アニメ『呪術廻戦』の第2期が始まった。五条悟と夏油傑の高校生時代を描く作品なのだが、そのふたりがむちゃくちゃにおもしろい。いや、かっこいい。とくに第1話中盤、体育館のバスケットゴールを用いたシーンがおもしろい。いや、かっこいい。

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畑からまだ見ぬ場所へまっしぐら

畑からまだ見ぬ場所へまっしぐら

シリーズ・現代川柳と短文 174
(写真でラジオポトフ川柳262)

 畑というものは人類最初の工場だ。工場勤務でわたしがイメージするのはケーキ工場でいちごを乗せる仕事だが、そんなものは工場勤務のごくごく一部でしかない。しかしそのいちごもまた畑という工場で生産されたもの。むろん、地球は人類を生産する工場。

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ゆるゆると連帯したらこうなった

ゆるゆると連帯したらこうなった

シリーズ・現代川柳と短文 173
(写真でラジオポトフ川柳261)

 キャンプ人気が定着して久しい。と思う。じっさいのキャンプに興味がないからよくわかっていない。というか、細かく言うと、興味があるのはアニメの中のキャンプ描写やキャンプ用品なのだが、それらもまた「キャンプ」と呼んで構わないのだろうか。それともそれはキャンプそのものから離れたなにかべつの概念だろうか。

▼これまでの「現代川柳と短文

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むかつくぜネクタイなんて言うなよな

むかつくぜネクタイなんて言うなよな

シリーズ・現代川柳と短文 172
(写真でラジオポトフ川柳260)

 ネクタイを見れば「むかつくぜ」が連想されるようになったのは石田柊馬の影響だ。ことばとことば、単語と単語の結びつきにその人の呼吸が残った。なんとすばらしいことか。データがいくらでも持てるようになったいま、そのデータの結びつけ方をうまく活用しているのが生成系のAIだが、現代川柳的な意味において、その精度はまだまだだ。すくなくとも石

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