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短さをおまえは長さと言うきさま

 現代川柳と400字雑文 その53

 おまえ(御前)も、きさま(貴様)も、もとは目上の存在に対する尊敬語だったと聞く。その後なんだかんだあって、いまのようなぞんざいなニュアンスの言葉に変化した。いやいや、言葉、変化しすぎでは?という気もするが、実は言葉の意味なんてそれほど固定されていない流動的なものなのかもしれない。知人と話していて違和感があったのは「さっき」という言葉が指し示す範囲だ。たとえば知人は前日に話をした話題を「さっきのあれさ〜」からふたたび話しはじめることがある。その「さっき」はわたしの知る「さっき」とはちがう「さっき」のようだが、言葉の意味は流動的だから当然で、なんなら未来の出来事にさえ使えるのかもしれない。そういえば、そば屋が出前の遅れについて「さっき出ました!」と説明するとき、出前はまだ店を出発していない。

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