質問相談コーナー第３弾！

今回は「小説家になるためのモチベーション」について回答してみたよ！　

・小説家になりたい人

・クリエイターで、「俺の作ってるものは良いのに、なんで売れねえんだ！　そこらへんの有象無象のやつらと俺は違うのに！」と悩んでる人

・モチベーションが湧かない人

には資する話なんじゃないかと思います。

小説とか書くことについての質問は、答えてて楽しいから、ぜひみんなも送ってね！

■質問文

渋澤怜さんこんにちは。

わたしは小説家になりたいと思っており、純文学系の五大文芸誌の新人賞に応募をしています。しかしなかなか受賞はできないですし、歳もそこそことってきて親戚の目も痛いです。

親戚の目が痛いのは我慢すればいいのですが、なにより、小説を書いていると人に言うと僕も書いている！ 賞に出している！ といって読ませてくれる人がたくさんいます。そういう人たちの作品はだいたい面白くありません。
自分もこういった人たちと大差ないのかなと思うと悲しくなる時があります。
面白くないものを作ってひとり小説家気分に浸っているだけなのかもしれません。

質問です。純文学を書く小説家になるには、そのためのモチベーションを保つにはどうしたらいいですか? できれば五大文芸誌の新人賞に出す以外の方法もお聞きしたいです。 (匿名希望 アラサー無職ちゃん)

訂正:面白い小説の人もいます！！！！

■渋澤のアンサー

※この子、知り合いで、この子の小説は面白いので、その前提で話しますね。

まずは「質問です」より前の文の整理をするね。

・純文学を書く小説家になりたい

・が、同じく純文学小説家志望と言っているつまんない人たちと「自分も同じかも」と思ってしまうのがイヤだ

ってことかな。つまり、前半で語られてるのは、この「自分もつまらないかも」と思ってしまうことがキツい、つまり、自意識の話、ってことだよね。

そうだよね、キツいっすよね。

（小説家志望の勘違い野郎の悪口は延々言えるのですが、割愛しますが、）

ワナビにキモい小説見せられて、「自分も大差ないかも‥」と思って、モチベがガリガリ削られるのはしんどい。「私は自意識まみれクソ勘違い承認欲求丸出しワナビじゃない！」と思いたい、そのために賞がほしい、ってこと、なのかな？　いやまさかな。だとしたら、どうして賞がほしいんだろうか。

■なんで賞がほしいの？

・・・だって、いまどき、純文学の賞をとったところで、

・金も稼げない

・本も売れない

・読者も増えない

からね。得られるのは名誉とか太鼓判とか世間体とかだけだもんね。

芥川賞をとっても２、３万部（あるいはそれ以下）しか売れないこともあるし、文学賞の新人賞受賞作って初版3000部程度だからね。（つまり図書館と知人に配ってほぼ終了！）

まじで今時、純文学の賞を「とる」だけじゃ、何も始まらない。

ん？　賞をとって親戚を納得させたい？　でもそのためだけに五大文芸誌に応募してるわけじゃもちろんないよね（そんなら、分かりやすい資格でもとったほうがよっぽど早いもんね）

■「純文学を書く小説家」になぜなりたい？

というわけで、質問文の後半読んでみると、「（新人賞出す以外の方法も含め）純文学を書く小説家になるにはモチベーションをどう保てばいいか」と書いてある。

うん、質問者さんも気づいてるとおり、賞以外の道はいくらでもあるんだよね、「純文学の小説家に『なる』」ためには。

そして、モチベが湧かない理由は、「純文学の小説家に『なる』」ってところがまだ不明瞭だからだと思うよ。

モチベーションに関しては、昨日書いたnoteで触れた前田裕二氏「人生の勝算」に書いてあることがすごく良かったので、再度触れておくね。

仕事の成果はモチベーションで決まる。ちゃんとモチベートできてる仕事は、できる。
・がむしゃらに頑張るのではなく、「まず見極めて、それからやり切れ」。何をがんばるべきかリサーチして、「ここを頑張ればよい」と「見極め」たら、あとはそれを全力でやりきれる。（リサーチをしないでやみくもに頑張る人が割と多いが、途中で「これでいいのかな」と迷ってモチベが下がる）
・優秀な人のモチベーションの源泉についてヒアリングしてみると良い。

・・・あたりまえだけど、質問者さんは「純文学の小説家に『なる』」ことが人生のゴールではないよね。

というわけで、

・「純文学の小説家に『なる』とはどういうことか」（賞をとること？本を出すこと？あるいは本が●万部売れること？本じゃなくても、とにかく多くの人に読まれること？）

・「純文学の小説家に『なって』、どうしたいのか」

この二点を考えてみるのが良いかと思います。

●「純文学の小説家に『なる』」＝「小説で金を稼ぐこと」？？

無冠のままでもnoteで稼いでる人、いますよね。林伸次さんのnoteを読んだら「『ネットは無料』という常識も崩れつつある。これからはnoteに無抵抗に課金する人も増えてくかもね」的なことが書いてあります。

今のところnoteで小説を連載してお金を稼いでいる人はあんまりいない、ように、思うので、もしかしたら穴場かもしれないよ。（いたら教えてください！）そして、この場合、「稼ぐ」というのは、いくら稼げれば「自分は小説家だ」と言えるだろうか。あるいは、額は関係ないのだろうか。

●「純文学の小説家に『なる』」＝本を出すこと？？

極論、編集者一人を口説けば、本、出せますよね。しかしまあ、今時、本を出したところで、箔がつくわけでも、影響力がつくわけでもない（本の出版点数が爆上がりしてるから、一冊の価値は下がってる）。本を出してどうしたいのだろうか。

●「純文学の小説家に『なる』」＝たくさんの人に読んでもらうこと？？

今、出版に乗せたところで、数千部どまりということはよくありますよね。（出版社ががんばって本を宣伝してくれるわけじゃない）。だったら、「無料でネット公開する」方が、うまくすれば何万PVとか行きますよね。しかし、何万PVとって、どうしたいんだろうか。たくさんの人に読んでもらうこと自体で満足なのか、あるいは読まれて上でさらにどうにかなりたいのか。

●「純文学の小説家に『なる』」＝ファンを増やすこと？？

ファンメイクといえばSNS。ただし、どーでもいいファンを増やしても仕方ないので、「どういうファンが欲しいか」「ファンを増やしてどうしたいか」は検討した方がいい。

●「純文学の小説家に『なる』」＝やっぱり、純文学新人賞をとること？？

純文学の賞をとるということは、「文壇」にのるってことなんだよね。文壇にのったうえで何かしたいことがあるのなら、賞をとるのは価値があることかもしれない。たとえば、「純文学の振興」とか「純文学作家として歴史に名を刻む」ことが人生目標ならね。でもまあ、新人賞とらなくても芥川賞とれたりもするんだけどね。。

ちなみに私は、「誰か、純文学を伝統芸能化して国に保護されるようにしてくんないかなー」と思ってます。（が、私の仕事じゃないと思ってるので私はやらない）https://twitter.com/RayShibusawa/status/924078300875538433

こういう風に、疑問符をまき散らす文章を書くと、受け手はしんどくなっちゃうと思うんだけど、頭のスタミナがある時にゆっくり考えてみてください。

あるいは、こういうことを考えるのが壊滅的に苦手なら、人の助けを借りればよい。こうやって私を頼ってくれても良い（だたし、私は「他人の悩みを整理する」のは得意なのだが、実際的なアドバイスとか世渡りは不得手なんだ…だから適宜別な人のことも頼ってね）。

本当に才能があったら周りがほっときません。でも周りの人に「こいつ才能あるな！」って気づいてもらえるようまでは頑張ってね（頑張ろうね）。

もしかしたら、この自己分析をする中で「私の小説を下手といったあの男を見返したい」とか、「憧れの作家と同じ賞をとりたい」とか「単にちやほやされたいだけだったわ！」とかいうアンサーが見えてくるかもしれない。で、「あ、そんなどうでもいいこだわりのために人生賭けるなんて、無駄だったな」ってことが見つかって、「小説家を目指すこと」を諦めるかもしれない。

それはそれですごく有用なことだと思います。

「とりあえず書いてたい！」っていう回答が見つかった、でも、全然オッケーだと思います。

色々長く語りましたが、私の人生目標はここに書いてあります。この記事を書いたのはまだ半年前ですが、これを書いてから私はだいぶブレなくなりました。（ちなみにこの記事書くのはめちゃめちゃ時間がかかった）

質問者さん（と、これを読んでくれた皆さん）、これを読んで、思考が深まって、でも行き止まって、また相談したくなったら、ぜひ、質問してください！（というか私もまだまだなので、一緒に考えていこう！）

■■■渋澤怜の質問・人生相談コーナー■■■

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