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出版社rn pressです。自社出版物の関連記事、その他のお仕事などを紹介していきます。 The lettersから移籍してきました。 https://lit.link/rnpress

マガジン

  • 日々のエッセイ

    文芸誌「USO」で書ききれない日々を書いています。『鬱の本』(点滅社)などに寄稿しています。

最近の記事

憤死寸前、猫が教えてくれたこと

 ここ7、8年は人前で怒っていない。仕事で「怒っているふう」な態度を取らなければならないことがあるが、それはあくまでも「ビジネス怒り」であり、心の中はいたって凪。猫がソファをぼろぼろにしようと、知らない人から暴言を浴びようと、「あらあら、仕方ないわね」と、基本はいつでも心が穏やかなつもりだ。適度なストレス発散ができているからだと思う。  過去に一度だけ「打っても響かない人」に「なぜわからないのか」と激昂したことがある。理由はもはや覚えていないが、あまりに理不尽なことが続いて

    • 金欠の時こそ陽気に過ごすんだぜ

       月末になると銀行に行く。オンラインバンクも利用しているが、毎月の通帳記入と振り込みはオンラインで済ませずに自分で行う。ひとりの会社だからそこまで件数が多くないということもあるが、会社員ではないこともあり毎月の支出入を確認することで自分を律する気分になる。  昨年末は大きめの出費があり、その補填が三月末になるため、二月から三月は貧乏生活だった。契約上、私の会社が立て替えただけだから、まもなく残高が戻るのはわかっているが、残高の少ない通帳をみると憂鬱になる。十二月決算だから昨年

      • 昼間に風呂に入る

         小学生の頃、母が突然、ガーデニングに目覚めた。私が育った場所は、緑が多い、といえば聞こえは良いが、舗装もされていない畦道に囲まれていて、キツネやタヌキもいたし、東京とは比にならないくらい大きなカエルやクモやムカデ、それにアオダイショウという大きなヘビもいた。自分が子どもだったからかもしれないが、どいつもこいつもみな巨大だった。  上京してから「うわ、虫!」と恐れる人の横で、ひょいっと虫をつかんだりしてみせると、「虫とか、平気なタイプなんですね」と驚かれると同時に、「きもちわ

        • 自立と成長と破綻と慟哭

          「好きな人が結婚することになったらしい」  残念ながらこれは私の話ではない。  これは適齢期の女性が結婚したいと目論んでいた相手のことを友人に話しているセリフかもしれないし、本気になってしまった不倫相手を想ったセリフかもしれない。片思いの教師を想うピュアな高校生のセリフかもしれない。相手のことが好き。それなのに自分ではない誰かと結婚し、しかもそれを風の噂で知ることになる。なんと悲哀に満ちたセリフだろう。たくさんの物語が生まれてきそうだ。 「結婚」は多くの人にとって大きな出

        憤死寸前、猫が教えてくれたこと

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        • 日々のエッセイ
          8本

        記事

          居場所をくれてありがとう

           中学生のころ、家が大いに荒れていて居場所がなかった。母親はいつも怒りで叫んでいて、父親はたまにしか帰ってこない、珍しく両親が家にそろっているかと思えば怒号が飛び交う。「ああ、なんて嫌な家なんだろう」と毎日憂鬱だった。  平日は塾に通わせてもらっていたから、部活から帰ってくるとほとんどを塾で過ごした。土日はどうしても家にいたくなくて、いつも朝から晩まで市立図書館の閲覧室で過ごした。  私は「未成年でも時間を気にせず、人の目を気にせずにいられる場所」を見つけられることができたか

          居場所をくれてありがとう

          引っ越しとエゴとシャー

          「住まい」は大事だ。私の場合は「事務所兼自宅」のため、1日のほとんどの時間を「家」で過ごす。猫が三匹いる我が家はメゾネットになっていて、1階が事務所、2階がプライベート空間。  半年前、いまとほぼ同じ間取りの家から、いまの家に引っ越した。間取りが同じなら引っ越す必要もないのでは、と思われそうだが、どうしても引越しがしたかった。前の家は長屋型の集合住宅で、1階の土間で「好きな商売」をしていいという職住一体の実験的な住居だった。場所は東京郊外の緑の多い公園の中。私はもともとの

          引っ越しとエゴとシャー

          中華料理とお節介 

           食にまつわるエッセイを読むのが好きだ。向田邦子は旅先の市場でいつも「さつま揚げ」を買う話、石牟礼道子、平松洋子、ウー・ウェン……。我が家の本棚は食エッセイだらけだ。異国の旅エッセイにも現地の料理がたくさん描かれていて、まだ見ぬカタカナ料理に思いを馳せるのが楽しい。  もちろん食べるのも大好きだ。先週末は自由が丘にできたばかりの立ち食い中華料理店に行き、「ふむふむ、やはり中華料理は火力だな」などと利いた風な口を叩きながら九年ものの紹興酒を熱燗でぐびぐび飲んだ。赤が眩しい麻

          中華料理とお節介 

          ふりかけをかける自由

           どうにもこうにも暇である。  正確に言うとやるべきことはたんまりあるので暇ではない。単にやる気が出ないのである。  先日、自宅に後輩二人が遊びに来た。彼らは伝統ある雑誌編集部に所属する編集者で、いまをときめく芸能人の撮影やインタビューをして日々仕事をしている。私のようにぐうたら寝て起き、ダンボールに埋もれながら発送作業をしている人間とは見ている世界が違うようだ。  差し入れの気の利いたワインを飲んでいると、 「野口さん、最近は何をしているんですか」と無邪気に問われたので、

          ふりかけをかける自由

          発行人について

          株式会社rn pressは社員は野口理恵だけです。20年以上、出版に携わっているので、仕事の一部をご紹介します。 野口とrn pressについてのご紹介はこちらで。 書籍、雑誌、漫画、WEBなど、編集、ライティングをしています。 2004年4月 ソフトバンククリエイティブ株式会社エンタテインメント書籍編集部 2006年8月 株式会社太田出版、CONTINUE編集部エロティクス・エフ編集部 2011年2月 株式会社パイ インターナショナル編集部 2014年7月 朝日新聞出

          発行人について

          株式会社rn pressのお仕事を紹介します

          株式会社rn pressでは自社の出版物の他にも企業からご依頼を受けて編集業務を請け負っています。企業のみまさまで何か作ってみたい方はお気軽にお問い合わせください! ●書籍の編集例 企画から書籍刊行まで、プロモーションも含めて行っています。 『次の東京オリンピックが来てしまう前に』 著者:菊地成孔 版元:平凡社 デザイン:藤田祐美 写真:川島小鳥 発売:2021.1 『未来の「奇縁」はヴァースを超えて「出会い」と「コラボレーション」の未来をSFプロトタイピング』 著者

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