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映画【はじめてのおもてなし】私たちが考え直さなければいけない"難民"との関係、

本質を見抜くことが
いまの私たちにとって、
最も大事なことなのかもしれない。



映画【はじめてのおもてなし】



2016年公開のドイツ映画。

公開と同時にドイツ国内で大ヒットし、
興行収入第1位を記録した"笑えて泣ける"
コメディドラマです。


STORY
ドイツ・ミュンヘンに住む4人家族・ハートマン一家。
ある日、母親のアンゲリカが突然「難民をこの家に受け入れる」と言い出す。最初は反対する家族であったが、結局ナイジェリア出身の一人の青年・ディアロを家へ迎え入れる。
しかし、ディアロが来てからハートマン一家は外部からのさまざまな珍騒動に巻き込まれ…


もう、いわゆる

「良い」映画!!!


クスリ、
と笑えるユーモアが盛られているなかに
現代にうずまく難民受け入れに対しての問題や
本来の家族のあり方というのが多様な視点から描かれています。


◯ドイツと難民

まず、ドイツは2015年に約90万人もの難民受け入れを実施しました。
隣国フランスなどでも、難民を受け入れていますがドイツの人道支援に基づいた受け入れ態勢は特に、世界からも大きな注目を集めました。

この作品は
大量の難民を受け入れた2015年に製作され、難民受け入れに抵抗をもつ国民に向けられた物語でもある。

さまざまなドキュメンタリー作品等で
シリアスに取り上げられている難民問題。

しかし、この映画は良い意味で
シリアスな部分を感じられないのです。


◯あえてのコメディタッチ

難民を受け入れたことで
さまざまな珍騒動に見舞われる家族の姿を描いた今作。

近所からの難民に対する罵倒や
難民への厳しい偏見。

これらの難民にまつわるマイナスなイメージを
払拭するかの如く、この映画では罵倒や偏見でさえもユーモラスに描いている。

私たちがどうしても
シリアスに受け止めてしまう一コマを
あえて、このようにコメディへ寄せた描き方をすることで、見やすさがあるからすっと受けとめられるんですよね。

そして、
ふとした時にそれらのシーンを思い出して問題に対し考え直せるという点では関心がない人でも心に残りやすいのではないだろうかと思う。



◯難民を家へ受け入れること

正直、
難民を自分の自宅へ受け入れている家は多くはないだろう。

難民でなくとも、他人を家族として招きいれるのは簡単なことではない。
家族の同意や、異文化への理解も必要だ。


この映画でも、難民を受け入れることについて
父親と長男は猛反対する。

これは、
家を守る役目である男性の姿を描いていて
部外者や目に見えない危険から家族を守ろうとする男性の保守的な部分が見える。

それに対し、難民受け入れを提案した母親と
母親の意見に寄り添う娘の姿というのは
女性の寛容的な部分が見える。

このように
男女それぞれの捉え方の対比とともに
人の、難民に対するさまざまな反応をも描いているようだった。



◯「難民」ではなく「ひとりの人間」

ハートマン一家に迎え入れられた
青年・ディアロ。

彼のキャラクターというものは、
いたって誠実で真面目、明るく優しい人柄だ。

しかし、難民というだけで
政府の秘密組織から容疑者候補のひとりとしてマークされたり
「攻撃的」や「非人道的」だと勝手に決めつけられてしまう。


母国のナイジェリアで過激派の人間に家族を殺されてしまい、自分の身を守るために亡命したディアロ。

ディアロのように、
母国で生きることを諦め
未来のために、未来を求め、異国の地で生きることを選んだ姿。

それは

「難民」ではなく「ひとりの人間」



イメージというものは、
やはり恐ろしいもので

人を優位にもできるし劣位にもできる。

しかし、
そのなかにはイメージ通りではないものが隠されていて
その本質を見極めることが大事なのだと気付かされるのだ。





難民を受け入れたことで
起きてしまった悲しい出来事もあるのが事実。


それでも、難民を受け入れたことで生まれる
人と人とのつながりだったり
生まれる慈悲の精神というものは

現代に生きる私たち人間が
今、もっとも大事にしなければならないものだと観終わったときに感じました。


希望や明るさももらえる映画、
ぜひたくさんの人に観て欲しい。



ドイツのこういうコメディタッチの映画
たくさん観たい、おすすめあれば教えて下さい。


ではでは

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