理学療法士 おかむー

PTとして40年弱、前半は臨床、後半は教育に携わってきました。 PTの向上に重要として…

理学療法士 おかむー

PTとして40年弱、前半は臨床、後半は教育に携わってきました。 PTの向上に重要としているのは‘考える力’と思っています。 今後、PTの‘考える力’はもちろん、PTが関わる分野についての自身の考え を配信していきたいと思います。

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高齢者の歩行維持に重要な筋

こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「高齢者の歩行維持に重要な筋」について、お話しします。 歩行に関わる筋は多義にわたります。 また、歩容の改善には歩行分析から問題となる筋を割り出していきます。 それとは別に、臨床で高齢者が歩行困難に陥りやすい問題で、予防を前提とした内容です。 座位や臥位では歩行で重要な殿筋群、大腿四頭筋、下腿三頭筋がほとんど使用されないので低下していきます。 その中で重要な筋は大腿四頭筋です。 大腿四頭筋が低下している、膝関節が伸

    • 片脚立位と体幹について

      こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「片脚立位と体幹について」について、お話しします。 情報) 20代の健康で既往がない方である。 右片脚立位で開眼ではよいが閉眼になると、途端にバランスを崩す。 Q) 体幹との関わりでどのように考えるか? A) 片脚立位の体重支持には、下肢の支持性と下肢筋の協調によるバランスが必要である。 バランスを崩すと言うことは、それらいずれかの機能の低下を意味する。 ここで、被験者がバランスを崩す方向は左右なので前額面の動き

      • 歩行で股関節転子部に痛みが生じる症例

        以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 20代の方である。 歩行のTStで右転子部に痛みが生じる。 そして、TSwにかけて余韻が残り、外果辺りまで痛む。 また、長時間の立位で腰が重くなる。 腰はPSISあたりで右>左で重く、今も少し重い。 他に、立位で足を閉じると痛みが強まり、開脚の歩行は痛まない。 評価では 右の大転子が左に比べて出ていた。 右転子部に圧痛があり、右の腸脛靭帯、大腿筋膜張筋緊張、内側ハムスト

        • 動作時に肩痛が生じる症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 左肩関節に内旋抵抗運動を行うと、肩峰あたり~三角筋粗面にかけて重い痛みが生じる。 仕事上、このような動作があるため困っている。 他には、左肩関節外転90度前後で三角筋後部あたりに重い痛みが生じる。 また、左肩関節の外旋に制限がある。 きっかけは、ズボンのポケットに手を入れて、うつ伏せで寝てからである。 Q) 原因は何か? A) きかっけとなる肢位からは想像できないので、各現

        高齢者の歩行維持に重要な筋

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        • 臨床的知識
          10本
        • リアル臨床“下肢編”
          13本
        • リアル臨床“上肢編”
          15本
        • リアル臨床“頭頸体幹骨盤編”
          11本
        • 私見
          7本
        • リアル臨床“中枢系編”
          9本

        記事

          下肢の影響で肩にクリック音を生じた症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 20代の方である。 右肩関節を写真の様な肢位で外転させると、写真の位置で音がなり、軽い痛みを伴う。 クリック音と軽度の痛みが生じる箇所は肩峰下部である。 Q) 肩峰下部でのクリック音と痛みが、この肢位で起こる場合に考えられる原因は何か? A) 肩関節の外転角度から肩峰下の有痛孤の痛みとして捉えられる。 Q) 評価では? A) 触診による左右差で、上腕骨頭上方偏位が確認された

          下肢の影響で肩にクリック音を生じた症例

          車いす自走により肩痛が生じる症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 高齢の方である。車いすを自走していると徐々に右の肩から前腕に痛みが出現する。 Q) どのように考えればよいか? A) 車いす自走の様子を観察しても答えは出にくい。 まずは痛みの部位からメカニカルストレスを特定し、それに照らし合わせて車いす自走の様子を観察する。 Q) 痛みの原因は? A) 痛みは肩から前腕外側にかけてであり、ある特定の筋に絞れない。 また、それら筋(三角筋中

          車いす自走により肩痛が生じる症例

          正座時膝痛の症例 後半

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 前半のあらすじ 高校生時代に剣道部に所属していた。部活を引退してから左膝外側の膝窩部に痛みが生じてきた。 痛みはズキズキする痛みで、正座ができなくなってきた。 原因は左下腿の後方偏位と下腿内旋制限であった。 それを起こしたのが左内側ハムストの萎縮であり 内側ハムストの収縮を促すことで正座に近づいた。 後半 Q) 何故、剣道をやめてから、このような現象が起きたのか? A) 剣道をや

          正座時膝痛の症例 後半

          正座時膝痛の症例 前半

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 20代の方である。 高校生時代に剣道部に所属していた。 部活を引退してから左膝外側の膝窩部に痛みが生じてきた。 痛みはズキズキする痛みである。 痛みは徐々に増して、最近は正座ができなくなってきた。 正座の状態) Q) 何が原因か? A) 正座は、自重による屈曲で他動運動ある。 収縮による組織への伸張は起きていないので、膝窩部外側の圧迫ストレスが原因と考える。 Q) 考えら

          正座時膝痛の症例 前半

          長時間座位で鼠径部に痛みが生じる症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 成人の男性である。長時間の座位で右鼠径部に違和感が起こり、そのうちズキンと痛くなる。 今の時点でも、座位で鼠径部に違和感がある。 歩いている方が楽である。 椅子は高い方が楽で、しゃがみ込みは鼠径部が痛む。 違和感が起こったのは、8~9年前にサッカーの試合中に負傷してからであり、その時はしばらく右下肢が上がらなかった。 また、それより前にサッカーで相手と接触し、相手の膝が右鼠径

          長時間座位で鼠径部に痛みが生じる症例

          足のクリック音と違和感がある症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 2年前に右足の内反捻挫を起こした。 その後、足関節を動かすとクリック音と違和感を生じる。 クリック音と違和感は、右足関節を内返しから外返しに自動運動させたときである。 クリック音時に震動する部位は、外果~アキレス腱外側あたりである。 また、違和感は外果前下方である。 Q) 原因は? A) クリック音時に振動する部位にある組織は、腓骨筋腱や上腓骨筋支帯、そしてアキレス腱と屈筋

          足のクリック音と違和感がある症例

          手首の痛みが体幹に関係した症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 1年ほど前から重量物を持って引っ張ったときに、右手首にズキンとした痛みが生じる。 痛みの部位は、舟状骨で圧痛もある。 Q) 原因は? A) 負荷のかかる動作で起こるので、筋の作用と関係する。 Q) 何筋か? A) 舟状骨に付着する筋は、短母指外転筋である。 短母指外転筋の作用は、母指のCM関節の掌側外転とMP関節の屈曲である。 Q) 動作と短母指外転筋の作用は一致するか?

          手首の痛みが体幹に関係した症例

          頸部の張り感と呼吸がしづらい症例(後半)

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 前半のあらすじ 幼少の頃に小児喘息を患った。 日頃から頸部前面に張ったような違和感がある。 部位は、胸鎖乳突筋当たりで、伸展・屈曲肢位で張り感は強くなる。 また、カラオケで歌う時、声が続かず息切れがしてしまう。 観察では、胸椎が後弯して頭部が前方に突き出した肢位であった。 これは胸鎖乳突筋の緊張から起こる肢位であり、頸椎の安定化のための対応と考えた。 アプローチは、C2をまたいで

          頸部の張り感と呼吸がしづらい症例(後半)

          頸部の張り感と呼吸がしづらい症例(前半)

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 幼少の頃に小児喘息を患った。 そのため、今まで運動部に所属せず過ごしてきた。 日頃から頸部前面に張ったような違和感がある。 部位は、胸鎖乳突筋当たりで、伸展・屈曲肢位で張り感は強くなる。 また、息を吸う・吐くが長く行えず、カラオケで歌う時、声が続かず息切れがしてしまう。 その時、気道が詰まった感じがある。 Q)何が原因か? A)訴えとして、頸部前面の張り感、気道閉塞様の吸

          頸部の張り感と呼吸がしづらい症例(前半)

          私の臨床の流れ

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「私の臨床の流れ」について、お話したいと思います。 ただ、これは私のやり方ですので、参考程度までに。 私の臨床の流れは ①情報を集める これは、患者さんの訴えや他科の情報です。 そこから、何を中心に見るべきか、ある程度、目安を立てます。 ②現象の観察と分析 遂行が難しい動作や痛みが起こる状況を再現してもらいます。 その動きから、状態をある程度把握していきます。 動作からいろいろな情報が得られます。 それを如

          手背部痛の症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 両手をテーブルに置き体重を手にかけると、左手の背部に痛みが生じる。 痛みの部位は、示指の付け根あたりである。 Q) 原因は? A) 痛みの部位からは手根関節、あるいは橈骨手根関節の問題が考えられる。 Q) 評価は? A) 手関節の可動域に問題なかった。 Q) すると? A) 手根骨の問題と考えると、痛みの部位から舟状骨か有頭骨である。 舟状骨と有頭骨は手根中

          杖歩行から見えること

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「杖歩行から見えること」について、お話しします。 言葉だけではイメージしずらいので、症例で説明していきます。 Ⅰ.左股関節術後の方 股関節は順調に回復し、現在T字杖自立歩行です。 術側である左立脚期の歩行の状態は、以下の通りです。 前額面と矢状面に分けて見ると ①前額面 荷重がかかる左MStでは、杖は斜め方向についています。 ここから、重心を右方向にさせて、左荷重を減らしていることが伺えます。 左右のMStを

          杖歩行から見えること