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2024.4 読み直し本とか最近読んだ本とか。

本を読む速度は、遅くもないけど速くもありません。
所謂速読とかは全然できないです。
気に入った本は赤鉛筆とかマーカーでいろいろしてしまうので、人に貸せない感じです。そして定期的に読み直します。



「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン。
この本は自分の思考の基礎工程、基幹部分です。そろそろ再読するかなーと思ってたら、カーネマンが3月末にお亡くなりになってしまったではないですか!!

心理学者をあまりよく言わない人たち(たとえば私の考え方の原理原則になっているナシーム・ニコラス・タレブ)も、カーネマンは別格扱い。株屋や相場屋にとっても教科書的な「ファスト&スロー」。

ヒューリスティクス(みんな、単純化しすぎててしまいがち)
アンカリング(はじめに見た数字を参照点にしてしまいがち)
ハロー効果(派手なと特徴に引きずられて判断が間違う)
プロスペクト効果(損失回避的選択)
 
など

認知の歪みに対するあれこれ、全部ここが出典ッ!
「経済学者」「心理学者」の本を無作為抽出10冊分程度の内容は、この本に書かれていると思ってます。というかこれがあの人らのネタ本・・・?

人生は物語。
人生は連続した時間ではなく、象徴的な時間によって代表される。自身は持続時間を重要な要素だと考えているが記憶はそうではない。

実際の経験から残るのは記憶だけであり、過去に起きたことについて採用する視点は、記憶する自己の視点。自己の紡ぐ物語に耳を傾けている。

というあたりも、非常に印象的でした。これは全人類に推奨できる本です。

もう一回読もうと思います。



「三体」劉慈欣。
文庫になるの待ってました~!!
これは全人類には推奨しません。ちょっと推奨しづらい内容です。
構成要素は
SF:文革:レイチェル・カーソン = 6:3:1

タイトルの「三体」はポワンカレの三体問題から。
太陽系に惑星が二つしかなく、両者の軌道に影響を与えるものがないならば、挙動を完全に予測できる。しかし第三の惑星がくると、時とともにその惑星が二つに惑星に与える影響がが爆発的になる。という物理学の話。

三体問題も、株屋から好かれてますね~(笑)
小さいと思える物事が、その後にどの程度の影響を持つのかはわからない、不確実性を表すときに持ってこられます。帰納法から公理を導くことはできません。事後予測ばかり、みんなうまいけど。

・・・人類滅亡みたいな帯、
ちょっと軽くないですか・・・?

そういえばレイチェル・カーソンの「沈黙の春」って、1962年の本なのですね。私は2000年前後に読んだんですが、古いと思いませんでした。(農薬が環境にもたらす恐ろしさについて書いてある本です。)

これ、もう目次で、こころ震えます!!

私は、文革、隣国でつい半世紀ほど前(1966~1976年頃)に起きたことなのに、日本であまりに知られていないことに対して、個人的にはかなりの違和感があります。私の年代(80后)だと、親世代がまさにこの渦中で下放を経験しています。中華圏の友人は親から直接聞いているから、全然他人事でもないし、過去というには近すぎる。

80后「ばーりんほう」、というのは
80年以降に生まれた世代。主に80年代生まれを指しています。中国で一人っ子政策が始まって以降の、甘やかされゆとり世代的な、ちょっとした嘲笑のニュアンスをもってます。

作中に反語的に「すべては過去になる」「忘却のために」とあるのが印象的。全体のタッチはSFです。


「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」牧野雅彦
原本(元本)はマックス・ヴェーバー。
資本主義の発達にはプロテスタンティズムの思想が必要要素だったというのがヴェーバーの問題提起です。
それをニーチェやシェイクスピアを出しながら丁寧に説明、解説しているのがこの本です。

勤勉、節約、正直を重視し、それによって(経済的)成功をつかむことを善とするような倫理観は、まさにプロテスタンティズム、特にカルヴァン派の予定説を起源とする というのがヴェーバーの主張。

カルヴァン派の予定説、というのは
自分が天国に行くのは既に予定されてる、自分は神に選ばれ愛されているのだから、成功するのも当然。自分の成功は神の意志に叶うこと。というような考え方。(実際カルバン派は、支配階級の人に信者数が多め)

ちょっと自分の中にうまく落とし込めていないので、何度か読み直している本の一つです。進歩史観に対する懐疑がユダヤ・キリスト教に内在しているのか、ということも提起されていて面白いです。

しかしヴェーバーは、経済学部とか商学部とかで退屈に授業受けた人も多いと思います。私もですけど。


ここから完全独り言です。何言ってんの?ということで流してください~


紅麹騒動って出だしからおかしい。
紅だけにレッドへリング?
ぷべるる・・?
「認知の歪み」を利用されとらんですか。
そして真実は「沈黙の春」。
私は推奨ワークなんか一度もやらんかったに。


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