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報われない2人にラブソングはもういらない

曖昧な関係に答えなんかないし、私たち2人にラブソングはもういらない。好きだったはずが嫌いになって、嫌いになりたくなかったのに、君が嫌いにさせた。恋愛なんてものは相手のせいにしなきゃやってられないし、いま思い返せば都合よく利用されているだけで、あなたの都合の良い時にしかLINEが返ってこなかった。

未読無視も当然のように日常茶飯事。そして、よくある既読無視。いつからか考えることも嫌になって思考停止。まるで脈なし。私の気持ちなんていつもお構い無し。会うたびに喧嘩して、会うたびに涙して、君のどこが良かったのかすらもう記憶にない。

恋は盲目だったんだろう。だから、私が君の悪いところを変えられると思っていたんだろう。それは最初から過ちで、それに気づけなかった私は愚か者でしかない。

しかも会うたびに適当に酒を飲んで、ホテルに直行するだけの仲。合成ゴムの隔たりを君は嫌がったけれど、その理由が大切な人じゃないからって事実を私は最後まで知らなかった。使い捨ての合成ゴムをその辺にぽいっとして、まるで生ゴミを見るような目で君はそれを眺めていた。君の「愛してる」も、ただの空気としか思えなくて、事が終われば、その言葉も無意味なものとなるのがオチ。

1度も愛なんて感じたことがないこの醜悪な関係性。事を終えた君がくだらないテレビを見ながら、ゲラゲラと笑う。テレビのリモコンのように簡単に操作できない君。いつも自分勝手で、その姿にたまに愛しさを感じたりもした。でも君にとって私の存在なんて、まるで陳腐なもので、そばにいることを願えば願うほど、遠くなってしまうそんな存在でしかなかった。

「終わらせる勇気があるなら続きを選ぶ恐怖にも勝てる」だっけ?BUMPの歌詞にそんな歌詞があったけれど、続きを選んだとしても都合のいい関係性が続いていくだけだよ。でも終わらせることが怖くて、君と会えなくなることが何よりも寂しくて、さよならをするたびに君に縋っていた事実に気づく。抜け出さなきゃと焦れば焦るほど、足元の沼はどんどん深くなり、離れる決意をするたびにいつも躊躇して、付かず離れずの関係性を保っていた。

ホテルを後にしたときに見た街並み。よく晴れた空が眩しくて、2人には明るい空なんて似合いはしない。ベストな関係よりもベターな関係性であることに、ただこだわる君を見るたびに、期待するだけ無駄だと自分に言い聞かせる。

暗がりな空が2人にはぴったりで、2人が会うのはいつも夜だった。お昼に会う権利すら許されず、夜に集合して、翌朝に解散するだけの関係性。いつもすることは同じで、酒を飲んでから事を終えるだけ。そして、朝起きて、何にもなかったかのようにさよならをするのが私たちの日課。

朝帰り、始発の電車に乗りながら1人で聞いたラブソング。こうなりたいと願い続けたラブソングは2人のための歌ではなく、私たちではない誰かを歌った歌だった。ラブソングのようにはうまくいかない私たちの関係。もはや恋愛と呼んでいいのかすら定かではない都合の良い関係性。君をどれだけ想った歌も君には届かないから聞く価値もないし、2人の関係性にはラブソングはいらない。そう、先の見えない関係性にはラブソングなんてもはや必要ないのだ。

自分を愛してくれない男性に縋るしかできない惨めな私。1人にただ怯え、君離れが全然できない私はきっと弱い。もしもどこかにいい人が現れれば、君なしで独り立ちができるのに。都合の良いことばかり考えて、ちっとも前には進めていないのが現状だね。

舵きりは相手なのに、終わらせるのはこちらのタイミングに委ねられている。相手にとって都合のいい関係性。結局は私次第なんだって。全部わかっているけれど、離れる決意がいつもできないからもう末期だよ。


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