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自由律俳句 #361

【記念写真を撮っているのを見ている】


記念写真を撮っている人たちがいます。
楽しそうにこの瞬間を記録に残して、思い出にしています。

私はすぐそばの休憩スペースで、
その様子を見ながら、
目の前には奥さんが座っています。

相変わらずの暑さの中、
写真を撮っている人たちをボーッと眺めながら、
私は記憶の中にある、とある写真の枚数を数えていました。

1、2、3…

「3枚」

おそらく3枚だと思います。

私と奥さんが2人で写っている写真の数。

うちの奥さん、写真を撮られるのが大嫌いです。

カメラを向けるとあっちを向いたり、手で顔を隠したり、
一緒に撮ろうと言っても、ものすごく嫌な顔をされます。

だから一緒に撮った写真は3枚だけ。

1枚目は、結婚した時に撮った写真。
2枚目と3枚目は、観光スポットで周囲の方が撮りましょうかと言ってくださり、その流れのままに撮れた写真。

確か、この3枚だけ。

だから奥さんは、ほとんど記録がないUMA(未確認生物)みたいな存在になりそうです。

以前、奥さんにこんなことを言いました。

「もし、自分の方が長生きした時に、あなたの顔を思い出せなくなったら嫌だから、たまには写真を撮ろうよ」

奥さんは冗談っぽく言いました。
「私の方がきっと長生きするからそんな心配しなくて良いのよー」

うーん…
まぁ自分より長生きしてくれるなら良いか。

その時はそんな風に思いましたが、
こうやって賑やかに写真を撮られている方々を見ると、
一緒の写真を撮りたくなります。

私の前に座っている奥さんは、
そんなことを気にもせず、
のんびりとご飯を食べています。

うーん…まぁいっか。

いつでもすぐそこにある顔を見て、
シャッターを切るように瞬きをしました。

今回も写真は撮らなかったけど、
思い出はここに残しておくからね。


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