神尾将一

楽隠居。 フリーライター、映像プロデューサーなどをやっていました。 「時代劇マガジン」…

神尾将一

楽隠居。 フリーライター、映像プロデューサーなどをやっていました。 「時代劇マガジン」の必殺シリーズ、「東映ヒーローMAX」での平成ライダー出演者インタビューなどを10年ほど務め、2011年10月に街の探検誌「ゆうふぉりあ」設立。

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「自分を楽しんでますか?」 かつて2000年代初頭に郷ひろみが出演していた高須クリニックのCMキャッチコピーだが、どれくらいの日本人がこの言葉を真摯に受け止めていただ…

神尾将一
4年前
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マンデラエフェクト

まずオカルト的なものについて語る人を自分は信じない。 どれも何かしらの説明がつくものだと思っている。もっとも霊的な体験は不動産業に関わっていると、必ず経験するの…

神尾将一
3年前
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昔々に描いた絵

神尾将一
4年前
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パラサイトを観て映画の宣伝の在り方を考える

「見なけりゃよかった」 それが見終わった後の最初の感想。 作品の質の問題では決してない。 そして決してつまらなかったからでもない。 単純に自分が好きなタイプの作品…

神尾将一
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パリの風景(3)

神尾将一
4年前
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パリの風景(2)

神尾将一
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かんだやぶそば

1880年(明治13年)創業の「かんだやぶそば」。 このお蕎麦やさんがどれだけ歴史があってすごいお店なのかは様々に情報が溢れている。 最初にこのお店に訪れたのは高校…

神尾将一
4年前
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パリの風景

神尾将一
4年前
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「リチャード・ジュエル」どこまでが実話?

(リチャード・ジュエルのネタバレを含みます) すっかり「実話の完全映画化」を早撮りすることで1ジャンルを確立した感のあるクリント・イーストウッド。今回の作品もそん…

神尾将一
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オレオレ

本当にお昼ご飯を食べに自宅を40分ほどあけた間だった。 帰宅した自分の顔をマジマジと見て、母が言う。 「なんで電話してきたの?」 「は?電話?」 聞くと5分くらい前…

神尾将一
4年前
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The Eiffel Tower

神尾将一
4年前
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『啞侍・鬼一法眼』 47年分の想い

毎週日曜日夜9時半、鬼のような顔をした異人「イスパニア人ゴンザレス」が現れる。 情け無用に老夫婦を惨殺し、少年の首を真一文字に切り裂き、あどけない少女を陵辱して…

神尾将一
4年前
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Notre-Dame de Paris

神尾将一
4年前
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泣くために観たい「男はつらいよ・お帰り寅さん」

(男はつらいよ・お帰り寅さんのネタバレ含みます) 映画を観るときの一つの基準として、周囲の友人たちの評価がある。 もちろんネットでの書き込みも参考にするが、実際に…

神尾将一
4年前
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死んでいく土地、甦る土地

本日売却をご希望される物件をお持ちの方と面談した。 かつてのリゾート地をまとめて幾つもお持ちなのだが、なかなかそこに行くこともなくなり、持っているだけで経費もか…

神尾将一
4年前
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フォードvsフェラーリに燃える。

(フォードVSフェラーリのネタバレを含みます) すごい映画だった。 身体が痺れるシーンが幾度となくあった。 特にデイトナでエンジン回転数upを指示するシーンと、やはり…

神尾将一
4年前
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「自分を楽しんでますか?」

かつて2000年代初頭に郷ひろみが出演していた高須クリニックのCMキャッチコピーだが、どれくらいの日本人がこの言葉を真摯に受け止めていただろうか。がむしゃらに働き、我慢や辛抱が美徳とされる国で。
CMに映し出されるドバイの郷ひろみはまるで別世界のブルジョアだった。

2018年までがむしゃらに働いていた。
老後の不安。
高い税金を支払うため。
他人から遊んでいると思わ

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マンデラエフェクト

マンデラエフェクト

まずオカルト的なものについて語る人を自分は信じない。
どれも何かしらの説明がつくものだと思っている。もっとも霊的な体験は不動産業に関わっていると、必ず経験するのでそれもそんなもんだろうと思うことにしている。

が、ここのところ、ちょっとしたことに悩まされている。
「記憶」に関することだ。
最近、特にひどくなってきたのでここにメモをしておこうと思う。
きっとこのメモさえ時空線を跨いでしまえば無意味な

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パラサイトを観て映画の宣伝の在り方を考える

パラサイトを観て映画の宣伝の在り方を考える

「見なけりゃよかった」
それが見終わった後の最初の感想。

作品の質の問題では決してない。
そして決してつまらなかったからでもない。
単純に自分が好きなタイプの作品ではなく「今日、これ観て良かったね」と思える作品ではなかったから。

あれ……? じゃ、そもそもなんでこの作品を観に行こうと思ったんだ?
最初はテレビだったか。パルムドールを獲得し、アカデミー賞作品賞に初めてノミネートされたアジアの作品

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かんだやぶそば

かんだやぶそば



1880年(明治13年)創業の「かんだやぶそば」。
このお蕎麦やさんがどれだけ歴史があってすごいお店なのかは様々に情報が溢れている。

最初にこのお店に訪れたのは高校生の頃だった。
当時、ネット情報もなかった時代、「美味いもの」を知るのは専ら本だった。
学校が九段で、帰り道に神保町に寄って本を買い漁り、軽く夕食を食べて帰るということを日課としていたため、知識として仕入れた神田界隈の「美味い店」

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「リチャード・ジュエル」どこまでが実話?

「リチャード・ジュエル」どこまでが実話?

(リチャード・ジュエルのネタバレを含みます)
すっかり「実話の完全映画化」を早撮りすることで1ジャンルを確立した感のあるクリント・イーストウッド。今回の作品もそんな実話映画化の最新作だ。
冤罪事件として米国では有名なリチャード・ジュエルを主人公に、無実の罪を着せられる一般人と、無責任に煽り立てるメディア、大衆の愚かさを描く。

アトランタ五輪爆破事件は記憶に新しいが、こんな事になっていったのは正直

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オレオレ

オレオレ

本当にお昼ご飯を食べに自宅を40分ほどあけた間だった。
帰宅した自分の顔をマジマジと見て、母が言う。
「なんで電話してきたの?」
「は?電話?」

聞くと5分くらい前に自分と電話で話したという。
ボケたのか?と言われたので、そんなことはないだろうと思いながらも念の為、自分の発信履歴を見る。
もちろん通話記録はない。

「一体、何を話したの?」
「いや、ちょっと話してすぐ切った」
おかしい。これは隠

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『啞侍・鬼一法眼』 47年分の想い

『啞侍・鬼一法眼』 47年分の想い

毎週日曜日夜9時半、鬼のような顔をした異人「イスパニア人ゴンザレス」が現れる。
情け無用に老夫婦を惨殺し、少年の首を真一文字に切り裂き、あどけない少女を陵辱して去っていく。そのオープニングナレーションと共に繰り広げられる画像が子供心にものすごく怖かった。

楽しみに観ていた父親の影響で毎週観ていた。
家にはレコードもあり、主題歌もすっかり覚えてしまった。
静かな歌い出しからアップテンポに変わる「孤

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泣くために観たい「男はつらいよ・お帰り寅さん」

泣くために観たい「男はつらいよ・お帰り寅さん」

(男はつらいよ・お帰り寅さんのネタバレ含みます)
映画を観るときの一つの基準として、周囲の友人たちの評価がある。
もちろんネットでの書き込みも参考にするが、実際に知っている人間の感想というのはイメーシがしやすい。
為人が分かっているからだ。
で、最近やたらと友人たちの間で評判が高い作品があった。
「男はつらいよ・お帰り寅さん」だ。
皆んなが皆んな「泣いた」と言う。
そりゃきっと素敵な作品に違いない

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死んでいく土地、甦る土地

死んでいく土地、甦る土地

本日売却をご希望される物件をお持ちの方と面談した。
かつてのリゾート地をまとめて幾つもお持ちなのだが、なかなかそこに行くこともなくなり、持っているだけで経費もかかってくるので処分したいということだった。その物件を見て思うことが幾つかあった。

自分は長い間、不動産業も営んでいる。その動きを見てきた中で日本中の土地が死んだのはバブル崩壊から10年後の1998年ごろだったと思っている。
都心でも繁華街

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フォードvsフェラーリに燃える。

フォードvsフェラーリに燃える。

(フォードVSフェラーリのネタバレを含みます)

すごい映画だった。
身体が痺れるシーンが幾度となくあった。
特にデイトナでエンジン回転数upを指示するシーンと、やはり後半のルマンは胸熱な展開の連続。
職人気質の人間が、大企業の禄を食んだときに起きる化学反応は今の世でも全く同じ。
理不尽に我慢を重ねた末に感情を爆発させるカタルシス、その作劇の緩急が素晴らしい。

そこまで車好きという訳ではないが、

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