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解剖学だけじゃない。解剖生理学を学ぶ: 『呼吸』

基本を知るということは
自分の身体の特徴を知ること
自分の強みを知ることができる
ということです。

そして、体の基本を知るのに
必要な知識は解剖生理学です。
解剖学だけでは足りません。

解剖とは形を知ることこと。
そして生理とは動き・働きを知ること

このnoteでは、呼吸を学びます。


呼吸はどの分野でも
一番最初に語られることが多いです。

このnoteでは、呼吸が体に
どう影響するのか学んでいきます。

■呼吸器の構造

呼吸器は口腔、咽頭、喉頭、気管、肺を含みます。
また肺を包む肋骨や筋肉も呼吸器の一部です。

・気道

空気の通り道を気道といいます。
気道は鼻の孔から始まります。

奥は鼻腔という広い空間となっており
さらに後には咽頭があります。

その後、食道と分かれて
前下方の喉頭へとつながります。

鼻腔は中央に鼻中隔という
仕切りがあり左右に分かれています。

鼻腔の左右両側の壁には
タラコの様なでっぱりが三段付いています。

この凸凹のおかげで
鼻腔の表面積は大きくなっています。

鼻周辺の顔や
頭の骨の中には空洞があります。

これらの空洞は副鼻腔と言って、
空洞の出口は鼻腔に通じています。

ここで空気は、
多くの毛細血管によって
温かく湿った広い粘膜に触れ、
暖まり湿気を与えられ、冷たく乾いた悪い
空気が肺にいかないように出来ているのです。

つまり鼻は
加湿空気清浄機とエアコンを
兼ねているのです。

口呼吸と鼻呼吸と
言われるように呼吸は
口からでも鼻からでもできますが、
近年では口呼吸の子供はアレルギーが多いことと
舌の位置が下がっていることがわかっています。

・気管

気管は前面が軟骨に覆われて、
第4、5胸椎の高さで左右の気管支に
分かれて肺に入ると、木の枝のようにさらに
細かく分かれていきます。

最後は軟骨も消えて
小さな袋になって終わります。

左肺は右肺に比べて面積が狭く
また気管枝も左側と右側では
太さと角度が異なります。

主気管支の延長線上からなす角度が
右は25°、左は45°となります。

・肺

右の肺はさらに3分割でき、
左の肺は2分割できます 。

姿勢によっても肺に入る
呼吸の量は異なります。

構造学的に上部の肺は
座っているよりも寝ている方が
空気が入り易いです。

寝ていると下部の肺は
内臓に圧迫されやすくなり、
空気が入りにくくなります。

エクササイズで姿勢を変えながら
呼吸をすることで、360°満遍なく肺に、
空気満たすことができます。

・横隔膜

呼吸に必要な横隔膜は
肋骨の下部分に存在します。

形はドーム状でいくつか穴が空いてます。
これは食道と血管が通るためです。

横隔膜の仕事はとても多く、
・呼吸を行うこと、
・姿勢を保つこと、
・胃の入り口を塞ぎ逆流を防ぐこと、
・血管を温めること、
・血液を回すことなどです。

また横隔膜と似たような
構造をもつ骨盤底筋群とも強調して働きます。

■呼吸の生理学的な意義

呼吸とは体内にO2(酸素)を取り入れ、
CO2(二酸化炭素)を排出することです。

私たちは、口から取り入れた
栄養素を燃焼し、その物質代謝によって
得られるエネルギーを利用して生命活動を営んでいます。

そしてエネルギー生産には
酸素が必要です。

赤ちゃんが生まれて
産声を上げた瞬間から死ぬまで呼吸を続けます。

■肺に空気が取り込まれるには

肺に空気が入るメカニズムは、
高気圧から低気圧に風が吹き込むのと似ています。

つまり、横隔膜が下がる(収縮する)ことで
胸腔内が陰圧(低気圧)となり陽圧(高気圧)の
大気から空気が流れ込んでくるのです。

このことから呼吸には
しっかりを肺の中(胸腔)を
陰圧にしなければなりません。
この陰圧を作るのが横隔膜の働きなのです。

・呼吸時の肋骨の動き

呼吸によって肋骨はかなり動きます。
肺や心臓を守っているため固まって
動かないものと思い込んでいる人も多くいますが、
呼吸や腕を動かしたり、体を捻ったりするたびに肋骨も動きます。

また12対ある肋骨も高さで3分割され、
それぞれ上位・中位・下位肋骨と言います。

動き方も異なり、
上位肋骨はポンプの柄、
中位肋骨はバケツの柄、
下位肋骨はピンセット様に動きます。

■意識的な呼吸と無意識の呼吸

呼吸は、
①眠っている間も決して
途絶えることのない無意識下の繰り返し運動です。

ところがその一方で、
②歌を歌ったり、水に潜ったりするときや
ピラティスでのエクササイズ時には自分の意思で
呼吸を自由にコントロールすることが出来ます。

③運動時には、自然に呼吸が激しくなります。

呼吸運動は、複合的な神経のメカニズムに
よって巧妙に調節されています。

この神経が自律神経と呼ばれるものです。
呼吸と排便・排尿は、意識と無意識が交わる場所です。

言い換えれば、意識的に
無意識をコントロールできる場所なのです。

ピラティスや各種エクササイズは
呼吸を通して、体を意識的にも
無意識的にも整えて行きます。

なので呼吸を一生懸命にする
必要はなく流れに身をまかせる
イメージで行う方が体にとって気持ち良いのです。

また呼吸状態を把握することによって
「今」の状況を知ることができます。

例えば、交感神経優位の呼吸は
浅く回数が多くなります。

また集中できているか、
考えすぎていないか、
呼吸に目が向いているかで
「この」瞬間を過ごしているかどうかわかります。

おトイレに行きたいのに
我慢をするなど繰り返していると
無意識にストレスが溜まって行くことも想像できますよね? 

個別性

正常な成人の呼吸数は、
1分間に12~16回前後(呼吸1回で約4秒)であり、
乳幼児では回数が多くなるとされています。
また成人女性は胸郭が広がる胸式呼吸、
乳児くらいまでと高齢者は腹式呼吸が多い特徴も聞かれます。

■腹式呼吸と胸式呼吸

腹式呼吸

筋肉の動きで胸腔が
広がることで肺は膨らみますが、
その最大の原動力は横隔膜の収縮です。

横隔膜は「膜」ですが立派な筋肉です。
この筋肉は胸腔の底面にドーム状に張っているため、
収縮すると平べったくなり胸腔の底面が下がります。

この横隔膜を使った呼吸を
腹式呼吸といいます。

自然な呼吸では、
お腹は緊張せずに、
吸息の時は膨らみ呼息のときはへこみます。

これはお腹の筋肉の動きよりも
横隔膜の動きを反映しているのです。

胸式呼吸

横隔膜以外にも
呼吸に関わる筋肉があります。

それは肋骨を左右に広げる作用を
持つ外肋間筋です。

この肋間筋を主体として
行う呼吸を胸式呼吸といいます。

通常は両方合わせて呼吸を
おこなっていますが、
肺一杯に空気を入れるとか、
息を吐き切るように出したときなどは
呼吸補助筋と呼ばれる胸鎖乳突筋や斜角筋群なども収縮します。

腹式呼吸と胸式呼吸はどちらの方が運動に必要でしょうか。

答えはどちらも必要です。
ピラティスではよく胸式呼吸と
言われています。
しかし、動きによって
両方使っていることもありますので、
一概には言えません。

むしろピラティスの呼吸も
一つのテクニック
自然な呼吸ではなく、意図した呼吸法
と捉える方が良いのかもしれません。

・努力呼吸と安静時呼吸

自然な呼吸すなわち安静時呼吸では、
使われる筋肉がとても少ないですが、
努力呼吸と呼ばれるものは文字どおり
努力しないとけないので、いろいろな筋肉を使います。

一時期、流行ったあの呼吸(ロング○レス)
努力呼吸の一種です。

個人的にはあまりお勧めしません。
強く吐き出そうとするため、
首やお腹などあらゆるところに
力が入りすぎてしますからです。
やはり自然な呼吸の方が体に優しい気がします。

・呼吸と腹圧コントロール

呼吸によって動きの先導を
果たすと考えられています。

また呼吸のコントロールを行うことで
体の中の空間を調整し、姿勢を保っています。

体の中に一つ風船がある
イメージを持ってみてください。

その風船を前後左右上下の
六方向から圧迫してみるとどうなりますか?

すごく風船の内部の圧が高まりますよね。
これと一緒で呼吸の役割は主要な筋肉と連携して、
体の中の圧をコントロールします。

お腹の中の風船が360°満遍なく圧が
かかっていると良い姿勢が保てますが、
どこか一部分抜けてしまうだけで体が傾いてしまいます。

・その他の呼吸

皮膚呼吸:カエルに見られる呼吸。
カエルは皮膚でも呼吸が可能です。
人も皮膚で呼吸をしているが受動的であり、
生命の維持で考えるとほとんど無視して良いものとされます。

第一次呼吸:脳脊髄液の流れ、
そして脳と脊髄を包んでいる硬膜の
動くリズムのことを「1次呼吸」と呼びます。
またその動きのことを頭蓋仙骨リズムと言います。

本日のnoteは呼吸でした。

0ホメオスタシス
1呼吸

2循環
3消化
4筋肉・骨
5皮膚
6感覚・神経
7脳・脊髄
8ホルモン(内分泌)
9自律神経
10小便・大便(泌尿器)
11生殖、12免疫

次回は、循環について
お話ししていきます。

今日はここまで

もう逃げない。ここで学ぶ!

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