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ディスク・レビュー

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『Ribing Fossil』- 待ち続けた「生きた化石」の物語

久しぶりのりぶわんお疲れ様でした。 アルバム『Ribing Fossil』の感想は去年のうちに書いてあったんだけど、りぶわんのチケットが取れず、傷心のあまり放置していました。セトリ見て結構本当に泣いています。 10周年ライブは絶対に行くぞ!という思いのもと、3ヶ月越しで公開してみます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4年間待ち続けたりぶさんのアルバム『Ribing Fossil』は、こんな歌い出しの「リア」から始まった。 10年ちょっとの思い出 少年なら大

I SCREAMとともに夏がやってきたよ

Kis-My-Ft2ツアー初日おめでとうございます! もっとずっと先だと思ってたらいつの間にか7月になっていたようで。時の流れの速さにぞっとする。 東京はまだまだ梅雨真っ盛りだってのにこんな記事を書くのもいかがなものかと思うけれど、Kis-My-Ft2の5枚目のアルバム『I SCREAM』はわたしに"夏"を連れてきた。 今作におけるキスマイは清々しいくらい、笑えてくるくらいに夏のことしか歌っていない。リード曲「YES! ISCREAM」から始まり、「Summer Bre

世界に一つだけの花

この曲が発売された頃、わたしは小学生だった。当時の担任教師は「この曲は現代の讃美歌だと思う」と言っていた(キリスト教系の小学校に通っていました)。当時は「何言ってんだこいつ」と思っていたけど、今にして思えば、彼の言っていたことはあながち間違いでもなかったかもしれない。 宗教改革を行ったルターは、讃美歌に"わかりやすさ"を求めた。音楽好きの彼が愛したのは、プロの聖歌隊にしか歌えないテクニカルな曲ではなく、誰もが歌えるような単純な曲。旋律に乗せられる詞も、それまでのラテン語では

2015年ベストディスクTOP10(シングル編)

わたしの出身大学は、学年を「1年」「2年」などとは呼ばず、卒業年度の下二桁で呼ぶ。例えば1つ上の先輩は「14」だったし、1個下の後輩は「16」だ。つまり自分の学年が何と呼ばれていたかというと、「15(イチゴ)」。そういうわけで、2015年という年号のことは少なくとも4年前からは意識せずには生活できなかったし、それでいて「2015年」はどこか来るはずのない、遠い未来のように思っていた。 そんな2015年が、いつの間にか終わりかけている。音楽を聴いたり、特撮ヒーローを凝視したり

Bob is Sick『手を伸ばして』ディスクレビュー書きました。 http://syachirock.jp/music/2015/1031200027.html とても美しいアルバム。

2015年上半期最高のキラー・チューン「シュガーソングとビターステップ」

わたしにとっての2015年上半期は、泣きながら卒論を完成させ、大学を卒業して社会人になるという激動の半年間であった。それを言い訳にはしたくないのだけれど、大学生だった4年間とは比べ物にならないくらい、新譜を聴かない半年間であったと思う。この半年で発売になったアルバムって多分2枚とか3枚とかしか買ってないし、シングルにしたっておそらく新譜は5枚も買っていない(キスマイにはまったせいで、シングルもアルバルも旧譜は結構買っているんだけど)。「音楽好き」まして「音楽ライター」になりた

【KIS-MY-WORLD】ユニット曲についてひたすら語る

先日発売になった「KIS-MY-WORLD」。キスマイ担になって日が浅い自分にとっては、初めて発売当日に手にするアルバムというだけで特別感があったこのアルバムだが、さらにもう一つ特別感を高める要素があった。それが、「ユニット曲」だ。中でもニカ千が好きで好きでたまらない自分にとって、「Doube Up」というニカ千曲の収録はあまりにも大事件だった。 よし、こうなったらユニット曲全部について徹底的に書こう!…そう思い立って書き始めたら、割と大変な長さになりました。 以下、 原

SMAPの「Theme of Mr.S」を誰かに紹介したくてたまらない

 先日、「人に紹介したい曲を1曲挙げる」という機会があった。  今この瞬間、とにかく誰かに紹介したい曲と言われれば、わたしはUNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」を挙げる。もう、amazonにリンクとか貼ってしまうくらい、迷いなく、熱烈に紹介したいしオススメの1曲である(アフィリエイトがnoteでできるのか分からなかったので、普通にリンクを貼ってます)。ポップで楽しくて、それでいてちょっとだけ毒を孕んでいてという、ユニゾンの真骨頂。まだ

『KIS-MY-WORLD』とりあえず30秒試聴だけで好き勝手騒いでみる

Kis-My-Ft2の4枚目のアルバム、『KIS-MY-WORLD』の全曲試聴が本日始まった。 仕事の合間、昼休みにワクワクしながら聴いた。「めっちゃ良いじゃん!」「今週のコラム記事のテーマ決まったじゃん!」と思ったところで「これ、まだ試聴じゃん!」と我に返ったので、noteに綴ることにした。 アルバム発売当日まで何も書かないでいるべきなのかもしれない。だけど多分このままだと延々とTwitterに垂れ流すことになるし、それはあまりにも見苦しいと自己判断したので、一度ここでま

N-qia『Fringe Popcical』

 Serphなどソロ名義でも活動中のTakmaとボーカリストNozomiによるエレクトロポップユニットの最新作。  まるで夢の中にいるような全13曲。軽やかな電子音に、飛び跳ねるようなピアノや荘厳な弦楽器などのアコースティック楽器が重なり、そこにNozomiの繊細なボーカルが乗る。彼女のボーカルは、声というよりは一つの楽器のように音を奏でる。風でも吹いたら消えてしまいそうな儚い声で、時に優しく、時に切なく。  個人的に一番のお気に入りは、幼虫がサナギから蝶になるように〈君

美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE』

”美少女戦士”になれなかった、全ての女の子へ  子どもの頃、というか今もだが、ヒーロー番組が大好きだった。仲間と力を合わせて悪に立ち向かう姿がすごくかっこよくて、自分もいつか大切な誰かを守れたら、なんて思ったりもしていた。中でも一番好きだったのが「美少女戦士セーラームーン」だ。短いスカートをなびかせて愛と正義のため戦う姿に、心底憧れたものだった。  時は流れ、2014年。“美少女”にも“戦士”にもなれないまま、私はセーラー服を着られない年齢を迎えた。そんな元少女にとって

flumpool 『The Best 2008-2014 MONUMENT』

愛に溢れた6年間の記念碑  今から6年前、2008年。大型タイアップと共に華々しくデビューしたflumpoolは、ドラマや映画の主題歌など、多くの人気曲を世に送り出してきた。傍から見たら、彼らは成功への道を駆け上ってきたバンドのように見えるかもしれない。だが、実際の彼らの年月は、悩みと葛藤の繰り返しだった。  配信開始からわずか1週間で100万DLを突破したデビュー曲“花になれ”は、agehaspringsの百田留衣による提供曲。自分たちの楽曲ではないことに戸惑いも

りぶ 『Riboot』

人の声は最高の楽器である ニコニコ動画から歌い手やボカロPがCDデビューすることは、もはやそう珍しいことではない。タワレコに行けば「ボカロコーナー」なるものが存在するくらい、ボカロや「歌ってみた」のCDはたくさん発売されている。ニコ動の「歌い手」であるりぶにとっても、今作はデビュー盤ではなく、2枚目のフルアルバムだ。りぶは2010年頃から「歌ってみた」動画を投稿し続け、その歌唱力で着実にファンを増やしてきた。彼の投稿動画の中には、実に100万再生を超えるものもいくつかある。そ