【ショートショート】彼女は春が嫌い
彼女は春が嫌い。
「うー……無理……マジ無理……」
「ほら起きてよ。朝に絶対パン食べるって言ってたのはどこの誰ですかー」
「無理……予定を変更。パンはお昼ご飯にしたまえ……」
「昼はビビンバって言ったのもどこの誰ですかねー。んー?どこの筒香帆夏さんですかねー」
「……昼はパン、夜はビビンバに変更したまえ……あとフルネームやめろぉ……病院気分になるぅ……」
布団の中、鼻をぐずぐずにし、目をしょぼしょぼとさせながら彼女は呟く。寝起き特有の掠れた声が、昨日立てた予定変更を命じた。
ぺたぺたと手探りでサイドテーブルの目薬を探す彼女。だが寝起きの頭はまだ覚醒していないらしい。勢いと距離感のミス。彼女の手に当たった目薬が、無情にもころりと床に落ちていった。
しかしすぐさま、同じ轍は踏まないと言わんばかりに、そっとサイドテーブルを手探る彼女。今度はお目当てのティッシュを掴んだ。体を起こしもせず、ずずずっとぐずぐずの鼻をかむ。そのティッシュはくしゅっと丸められ、ぽいっと慣れた手つきでゴミ箱へイン。
せっかくの日曜日だが、やはり彼女は起き上がりたくないようだ。
「マジで無理……花粉と黄砂のダブルパンチがキツ過ぎる……もう起きたくない……」
「じゃあ二度寝でもするか」
ふかふかの布団に潜り込み、起き始めていた頭にもう一度瞼を閉じさせる。
僕は春が好き。
花粉症だなんてロマンもへったくれもない理由だけど、しっかり者の彼女がベッドから出たがらなくなる春が好き。二度寝の理由になる春が好き。恥ずかしがり屋な彼女とくっついていられる時間が増える、春が好き。
春は好きだけど、花粉と黄砂のダブルパンチを絶対に許すな。
ちなみに彼女の名前は今日ベイスターズに復帰が決定した筒香にしました。
おかえり筒香~!!!
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