記事一覧
超絶戦隊スーパーレンジャー
「とうとう追い詰めたぞ!ワルサワ組長!」
スーパーレンジャーの拳が唸る!悪党たちは宙を舞う!事務所の隅に追いやられた組長は、それでもなお見苦しく抵抗する!
「クッ!何だってんだ!ただの土木事務所で暴れやがって!お前ら一体誰なんだ!」
「燃える炎は正義の証!スーパーレッド!」
「クールな知能で全てを解き明かす!スーパーブルー!」
「オッス!元ラグビー部ッス!スーパーイエロー!」
「母なる
本当の探偵は姿を現さない
私の事務所には一日に数人が訪れるが、その誰もが幸せそうな顔をしていない。
もっとも、探偵事務所に笑顔で訪れる者は少ない。出ていく時となれば、その数はほとんどゼロに近い。
ところがその日の依頼人は様子が違った。
喪服の若い女で、上客を相手にするような笑みを絶やさなかった。左手の薬指には質素な指輪があった。彼女は携えたハンドバックから紙幣の束を5つ出し、とびきりの笑顔で私にこう言った。
「早急に夫を
死に場所を求めてキャンプしてるんだろうが
死に場所を求めてキャンプするんだよ。飯なんか上手く炊こうとするなよ。
野垂れ死ぬためにキャンプするんだよ。幕営なんかテキトーでいいんだよ。
とにかく火を焚けよ。火を焚かねえと始まらねえよ。バーナーみたいなチンケな火じゃ全然ダメだよ。生きてる大地のエネルギーをその場で燃やさなきゃなんねえんだよ。まず倒れてから1年以上経ってそうな木を拾ってくるんだよ。立ち枯れしてる木でもいいよ。とにかく乾いた木を拾
アメリカで毎日マリファナを吸っていました
電気グルーヴのピエール瀧が逮捕されたというニュースはアメリカで読んだ。ポートランドの小さなホステルで朝食のベーグルを食べながらツイッターを見ていたら「ピエール瀧氏、コカイン使用容疑で逮捕」と流れてきた。
まあ、テクノの人だし、しょうがないんじゃない?きっと依存してたんだろうし、メディアの露出が増えてきたあたりで治療受けておくべきだったね、などと思いながらコーヒーを飲む。マグカップを返却し、ジャケ
寿司屋の上座・下座について
お酒の席には上座・下座がある。上下関係の強いコミュニティに属していたら、大学生くらいで身に付けるものだろうか。
基本的に立場が上の人は入り口や通路から奥の席に座る。奥の席は上座となり、ただじっとしているだけで酒や食事が運ばれてくる。
一方通路に近い席には立場が下のものが座り、注文なんかを任される。こちらは下座となり、人や料理が飛び交うことになる。下座はなかなか忙しく落ち着けない。
一般的に、
フリースタイルテキスト テーマ:デジタルサイネージ
デジタルサイネージの出力は限界に達していた。これ以上のデジタルが人間社会に氾濫してしまえば崩壊は目に見えていた。俺は深い溜め息をつき、デジタル出力型サイネージ4系のマニュアルを、数年前からしまわれっぱなしのバインダーの中から抜き出し、目当てのページを探しながらブレーカー室へと向かった。
サイネージ事業に手を出した頃の社長は精神のバランスが少し不安定で、ツチノコのニュースを血眼になってスクラップし
フェイド・トゥ・ホワイト 2/6
㈱ホワイト清掃昼の社員食堂は混んでいた。
私は、まだスーツを着慣れていない新入社員が陣取っている、明るい窓際の席に向かっていく。
入社して半年がたった今でも、今年の同期はきまってこの位置でランチを取っていた。
「あ、ノルコ、きたきた。おそいよ〜」
他のみんなは既に思い思いの昼食に箸をつけている。
「ごめんごめん、ちょっとなかなか抜けれなくて」
私は朝コンビニで買ったジュースをカバンから取り出す。
住所不定探偵 4/5
梅田まで俺が薄い毛布から起き上がるとテルコは既に家にはいなかった。俺はテレビを付け、顔を洗ったり冷蔵庫にあったヨーグルトを食べたりしていると、くすねてきた店長のケータイに着信があった。〈サミーズ日本支社 染屋崎〉からだった。
「お疲れ様です。染屋崎です。今しがた警察から連絡があって…久保田さん?久保田店長ですよね?」
俺が黙っていると染屋崎という社員の男は話を切り上げてしまった。久保田は店長の
住所不定探偵 3/5
サミーズバーガー 176号線店俺がサミーズのバックヤードに入るとそこにテルコがいた。
「与兵衛さんどこでケガしたんですかそれ!」
テルコは俺を見るなり大声を出し、俺が「階段で転んで…」などと言うのも聞かず、重そうなハンドバッグから消毒液、真綿、ピンセット、はさみ、ガーゼ、テープ、絆創膏を取り出し、手当てを始めた。テルコは俺の腫れ上がったまぶたを押さえながら言う。
「モナミのこと、聞きました。い
住所不定探偵 2/5
警察署「じゃあまずは…名前聞いてもいい?」
「はい、佐藤与兵衛です」
「与兵衛くんね。お仕事は?」
「176号線沿いのサミーズバーガーってところで働いています」
「アルバイト?正社員?」
「アルバイトです」
「君、何歳?」
「28です」
「ふうん、そっか、僕より年上なんだ。で、被害者のモナミさんとはどういう関係だったの?」
「バイト先の同僚でした」
「モナミさんもバイトだったんだね。それだけ?友達