見出し画像

夢で逢いましょう


好きだな、と想う人。

好きだな、と感じる物や場所や言葉や本。

私が盲目的に護りたいと思う、全て。 壊れるのは簡単で、失うのも簡単で。 ならばもう心中するしかないじゃないか。 天国でも地獄でも一緒にいこう、なんて。

結局、明日生きてるかどうかすら解らない。

だから叫ぶしかない。 私の好きなもの全て抱き締めて、戦うしかない。 どうか私からこれ以上奪わないで、どうか置いていかないで。 そうやって必死で叫んで、護って、戦って。 それで?

窓際に座る貴方も、暗い部屋で泣いていたあの子も。 目を離した隙にいなくなっていた。 一人は嫌いじゃない、独りが嫌い。 此処で独り取り残された私はどうやって生きていけばいい。

運命はいらない、永遠を頂戴。



夜の闇に溶け込むのは好きだ。 

夜を生きる人も、朝を待つ人も、好き。 私はどちらなんだろう? どちらになりたいんだろう?

幼い頃はどう夜を過ごしていたんだろう。 欠けた記憶が多すぎて、私には解らないことだらけだ。 でもきっと、泣いてばかりいたんだろうな。 あの大きな家の、狭くて暗い部屋で。


夜が好きだ。 軽率に笑う。 

だって月が見てる。 静かにそこにいてくれる。 いつか死ぬ運命でも、それは変わらない。 なんて嬉しいことだろう。 終わりまで見守っていてくれる。


だからって何もかも諦めているわけじゃない。

好きなものを愛でる時間も、私を愛でてくれる誰かも、なにもかもまだ抱き締め足りない。 まだ伝えたいことが多すぎて、今の私じゃ言葉が足りない。

ほら、深い夜がきたよ。

私と、あなたと、彼女と、彼と、君と、僕と。 不特定多数の人が真っ暗な夜を眺める。 私はそんな人が大好きだ。 例え誰に気付かれなくても。

朝がくるまで、月が姿を隠すまで。

夜を眺める、あなたのとなりで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?