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「創るセンス 工作の思考」を読んで

森博嗣さんの「創るセンス 工作の思考」を読んだ。

これは、先日こちらにも感想を書いた「自由をつくる 自在に生きる」

と同時期に書かれた本だ。

あとがきに根底のコンセプトは同じだと書いてあったが、僕もそう感じた。

「自由をつくる 自在に生きる」を読むまで

森さんの著書は小説しか読んだことがなかったが、

「自由を〜」を読んでから小説以外の作品も読んでみたいと思い、

まずはこの作品を選んだ。

選んだ理由はタイトルに「創る」と「工学」が入っているからで、

その時は「自由を〜」と同時期の作品とは知らなかった。

その二つのワードに引っかかったのは、

僕自身もものを作る(まだ創るではない)ことが好きだから。

あとは工学部出身だから(笑)

最近では料理や野菜づくり、プログラミングが好きで、

それらは”作る(創る)”ことの一つだと考えている。


子供の頃を思い返すと、図工や美術は嫌いではなかった。

ただ自分よりも上手な人が周りにいたから、

「自分は向いていないな」とずっと思っていた。

でもこの本を読んでみて、ものをつくること自体に上手い下手は関係ない

と思うことができるようになった。

何か最終形態を創ることが大事なのではなく、

創りあげるプロセスが大事だということ。

そのプロセスの中で、自分が何に気づくかが大事なのだと。

また、型にハマったものを”作る”より、自分で考えて”創る”方がより良い、

と森さんは言っている。

さらには、役に立つものを創らなくてもいい(つくる過程が大事だから)、

年齢は関係ない、ということも。

本を読み終わってから、正確には読んでいる最中から、

僕は「自分も何か”創り”たい」と強く思うようになっていた。

            **

この本では様々な視点から「ものを作る」ことが書かれている。

まずは、森さん自身の工作遍歴(と言っていいのか)から始まり、

若者の技術離れ、技術者に要求されるセンスとは、

ものつくりのセンスはどう育つのか(育てるのか)、

創作のセンスが産み出す価値とは、という感じだ。

内容はあくまでも客観的視線で書かれていて、

僕としては読みやすくとても腑に落ちた。

テレビゲームの普及によって、

今の子供は昔の子供と違い工作をすることが無くなっている。

そもそも、その子供らの親世代も工作をしなくなってきていて、

何かを作るとしても作るものやその工程が決められた型にはまったものだ。

自由な発想で好きなものを作るということは少ない(というか無い?)。

僕もその中の1人ではあって、

これまではものつくりを積極的にしてきたわけじゃない。

せいぜい小中学校の図工・美術や小学生の時に作ったミニ四駆くらいだ。

小学6年生でいじめにあってからは、”気持ち的にその余裕がなかった”

の方が正しいかもしれない。

前述の通り、小学校の時の授業での図工はとても楽しかったし、

電子工作なんかも好きだった。

今やっと周りの目を気にせず自分のことを考えられるようになり、

料理をはじめものをつくっていると、本当に楽しいと感じる。

例えば、最初は料理はレシピを見ながらつくっていたが、

ある程度基本的なことが分かってくると、

「この素材ならこういう味付けが良さそう」

「この組み合わせにはピーマンを加えても良さそう」

「さっぱりしたものが食べたいから、ポン酢を使おう」

などという考えが自然に浮かんでくる。

また、冷蔵庫の中やキッチン周りが整理されてきたことで、

何があるかが頭の中でも把握できるため、

冷蔵庫を眺めなくても大体何があるかが分かる。

だから、何をつくるかがなんとなく食事の時間までにイメージできる。

少し違う例を挙げる。

ラグマットの端によくついているふさふさはお分かりになるだろうか。

自宅の麻でできているラグマットのふさふさ

ほぼ切れて無くなっていることに、この自粛の間に気づいた。

これまで忙しいからとロボット掃除機に任せっきりにしていたところ、

そいつがほとんど吸いちぎってしまっていたようだ。

その影響か、ラグの端っこが反り返るようになってしまっていた。

それまでは「なぜ反り返るのだろう」と思っていたのだが、

単純にふさふさが切れたせいかもしれないと思うようになった。

ふさふさが重しの代わりとなって、平さを保っていたのかもと。

そこで、最近手に入れた麻紐があったので、

それを使って補修してみることにした。

最初はうまく反り返りが直って「よし!」と思っていたのだが、

時間が経つと反り返ってきてしまうので、

これは別の方法を考えてみようと思っている。

            

こういう身近で些細なことを考えてつくっていくことがとても楽しいし、

自分で閃いたことに対してとても喜びを感じる。

うまくいかなくても嫌な気持ちにならないし、

じゃあどうすれば解決できるかということを考えることもまた楽しい。

森さんはきっとこういうことを言いたいのではないかと僕は思う。

            **

細かいことはまたの機会に書こうと思っているが、

僕はこれから会社を辞めて生き方をリセットする予定だ。

そうすると、自分のために使える時間が多く取れるようになる。

その時間の一部を使って、色々なものを創ってみようと考えている。

絵も描きたいし、木を使った工作的なこともやりたいし、

文章も書きたいし、料理も変わらず続けたいし、

服や靴を創ってみても面白いかもしれない。

今からとても楽しみにしている。


ここま読んでくださってありがとうございました。


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