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本を読むのが好きで、写真を撮影することが好きです。紙の本が好きで、ページをめくる感覚や…

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本を読むのが好きで、写真を撮影することが好きです。紙の本が好きで、ページをめくる感覚や紙の質感を感じながら読書が楽しみです。最近は詩集を読むことが多くなりました。 海なし県に住んでいるので、気分転換に海を見に行きます。

マガジン

  • 読書案内

    還暦を過ぎて読書案内を書くようになりました。

  • 浅い眠り、遠い目覚め

    心に移り行くことがらを、備忘録のように書き溜めています。

  • 写真のこと、カメラのこと

    FUJIのカメラを使っています。写真のこと、カメラのことを書いていきたいと思います。

最近の記事

風をこぐ 橋本 貴雄著 /読書案内

東吉野村に住んでいる時、私たち夫婦は、超大型犬と一緒に暮らしていた。名前をエルクという。体重は、40キロを超えるが、超大型犬のなかでは小ぶりな方だった。レオンベルガーという犬種で、ゴールデンレトリーバーの顔だけ黒くしたような毛色で、普段はおっとりとしている。犬種紹介のところにも、「静穏に浴しつつ暮らす」と書かれていたが、さすがに超大型犬はエネルギーというか質量が違った。 ある日、散歩の途中でエルクが田舎の坂道を逃げ去ってしまった。「エルク~エルク~」と大声で呼び戻した。エル

    • 今日は何よりという日 写真詩

      今日は何よりという日 黄砂が少なくて何より いつもの公園に光が満ちて何より 新緑の芽吹きがまぶしくて 遅咲きの桜と出会え 草花のご機嫌がよく 何よりという日 ちょっとの良かったが重なる日 社会から距離を取られた日 どうしようのため息が空に舞う日 今日は何よりという日

      • ヨーロッパの闇と光 高橋巌を悼む

        ネットニュースで高橋巌さんが死去されたことを知った。老衰95才と記されていた。 手元にある「ヨーロッパの闇と光」(イザラ書房)の奥付をみると昭和56年8月31日となっている。私が22才の頃に買った本だ。それ以来この本をずっと手元において読み続けてきた。もう43年の付き合いになる。 「ヨーロッパの闇と光」から得たものは大きい。知ったことも多い。 シュタイナーと出会い、ゲーテ、ノヴァーリス、フリードリヒ、ユング、リルケを知った。シュタイナーを通して志村ふくみさんの作品と出会った

        • 吉野山ほぼ満開 下中千本

          奈良県吉野山の下千本、中千本はほぼ満開 7日日曜日は最高の見ごろになると思います。 #桜前線レポート

        風をこぐ 橋本 貴雄著 /読書案内

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        • 読書案内
          7本
        • 浅い眠り、遠い目覚め
          12本
        • 写真のこと、カメラのこと
          12本

        記事

          吉野山の彩なす色

          4月5日吉野山へ 雲が空を覆い、吉野山は柔らかな光に包まれていた。 花々の淡い色が重なり合い、枝や幹の黒さが際立つ。 シロヤマザクラの花は赤味を帯びた新芽の芽吹きとともに開花する。 新芽の鈍色の赤に光るように白い花々が重なり、吉野山ならではの幽玄美を生み出す。

          吉野山の彩なす色

          モノクロームの桜

          モノクロームの桜は光を纏う。 山の暗さに映え、 空の青さに溶けだす。 gfx50s iiを使うようになってからモノクロームで撮影することが増えた。 光の捉え方が上手いように思う。 ハイライトからシャドウまでの幅が広く思うグラデーションを描いてくれる。

          モノクロームの桜

          X-E4とTouit 1.8/32

          FUJIのXマウントにTouitと命名されたZEISSのレンズがある。私が使っているのは、Touit 1.8/32でレンズの前面にはPlanarと書かれている。FUJIのカメラでPlanarのレンズがオートフォーカスで使えるのが嬉しくて、fx35mm f1.4とダブるのを承知で購入した。 扱いやすくて優しい線を描画するfx35mm f1.4と比べると少し癖のあるレンズで、芯のある美しい発色とシャドー部に粘りがあるような気がする。 写真はX-E4とTouit 1.8/32の

          X-E4とTouit 1.8/32

          モノクロームの日

          黒から白へ向かう無限の諧調にモノクロームのすべてがある。 モノクロームの白に光を感じ、モノクロームの黒に失った時間を知る。

          モノクロームの日

          2021年吉野山の桜 五部咲き

          吉野山の桜は、山の斜面に沿って咲く。 花の色に花の色が重なり、木々の色と黒い山肌が重なる。 他所にはない吉野山ならではの景色。 五部咲きでも吉野の桜の美しさが分かります。 今年は、4月6日、7日くらいが満開になる予想です。 写真は2021年3月26日の下から中千本にかけて歩いた時のものです。 X-T4で撮影しました。

          2021年吉野山の桜 五部咲き

          ここでは、すべてが遙かに遠い

          海と河の交わる汽水の町。 空の下、河口が大きく拡がり、 海へと流れ込む。 河の音が、海と交わる。 微かに波の音が聞こえる。 長い旅を経た山の水は、 ゆっくりと、ゆっくりと 海水に溶け始める。 ここでは、すべてが遙かに遠い。 いつか私の息が絶えるとき、 私の意識もまた、 ゆっくりと大きな意識に 戻っていくのだろう。 河の水が海に戻っていくように。 何故かすごく、こころの底が 暖かくなるのを感じた。 誰も自分を知らない汽水の町で 春を迎えたいと思った。

          ここでは、すべてが遙かに遠い

          言葉と写真

          何時からか詩や散文を書ける人になりたいと思っていた。 数年前「これから何をしたいのですか」と聞かれて「詩や文章が書ける人になりたり」ととっさに答えたのが始まりです。この時、私は、散文を、詩を書こうと決めたようです。詩集などほとんど読んだことがないのに。 写真はずっと撮ってきました。 写真学校を出て職業カメラマンに挫折し、バブルの終焉と共に写真を職業にすることは諦めました。 それでもどうしたことか写真を撮ってきました。 気持ちが落ち着くのか、新しい光と出会えることが嬉しいのか

          言葉と写真

          詩人は何を思うのか/港の人

          北村太郎 港の人 詩人に会いたいと思った。 言葉と共に生きる人に。 詩で命を表現する人に。 現在詩を愛読書にするために。 「荒地」のことも北村太郎のことも、ねじめ正一の小説「荒地の恋」で知った。内容的には、田村隆一の4番目の妻と北村太郎との恋愛関係を巡って展開していく。昭和の詩人やその背景が上手く書かれている。テレビドラマでは北沢太郎という名前で豊川悦司が好演をしていた。「荒地」の同人には、田村隆一や鮎川信夫など名前だけは知っているが作品を知らない人がいた。 現代美術

          詩人は何を思うのか/港の人

          そして旅は続く

          そして旅は続く この先は海で戻る道を知らない 漁船に人影はなく 遠くの犬の声も聞こえない ずいぶんと前に陽が沈んだ気配があるのに いっこうに昏くならない 湿度を含んだ重たい風が 背骨をぬらしている 歩き回っているときに 靴音が聞こえないことに気づいた 疲れた身体を引きずると 音が消えるのだと納得した 空腹なので手を広げてみた たくさんのものを見失ったから 手の中が空っぽになってしまった ポケットを探ろうとしたが 小さすぎて手が入らない 砂と海の間に 細い白線が浮かんで

          そして旅は続く

          モノクロは精神を写す・GFX50S2

          山道を歩く。ただ歩く。 自分の精神が静けさを求めている。 フィルムシミュレーションはモノクロ。 モノクロームの写真は自分の精神に近い気がする。 カラーは物質を捉えるが、モノクロは精神を捉える。すべてではないけれど。 GFX50S2にGF45mmF2.8を付けっぱなしでひたすら歩く。X100Fのラージフォーマット仕様だ。 午後から雪が風に舞い始める。とても静かだ。 ECMの創設者マンフレート・アイヒャーは“静寂の次に美しい音”を求め続けているが、静寂の次に美しい写真を求め

          モノクロは精神を写す・GFX50S2

          X100Fで撮る桜

          桜はいろいろな表情をしている。 年を重ねてからは咲く花よりも散る桜に心が動く。 出会いがしらで桜を撮影することが多い状況では、手元にある機材で撮影することになる。 普段はX100Fを持ち歩くことが多い。 APS-Cで23㎜という画角が桜を撮るのに相応しいかどうか私には分からない。このカメラで撮れるものだけが撮れればいいと思っている。 無理に撮るのではなくて流れるように撮れればと思っている。目の延長、手の延長にあるF100Fはとても使い勝手がいい。

          X100Fで撮る桜

          断片的なものの社会学 岸政彦/読書案内

          「どうすればいいのだ」の断片 かなり昔に、沖縄の伊平屋島に行った時、島内観光にと郵便局の方が配達用の自転車を貸してくれたことがあった。赤と黒の混ざったようなくすんだ色をしていた。配達用の自転車を借りてもよいのかと驚いたが嬉しかった。重い自転車で、運転が難しかったことを覚えている。その自転車で食堂に昼食を食べに行った。普通の食堂でうどんを食べたように記憶している。夜は島内に一軒しかないスナックに変身するらしい。「遊びに来てくださいね」と島の言葉で言われたが私は全くお酒が飲めない

          断片的なものの社会学 岸政彦/読書案内