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冒険者ギルドの金融サービスが経済成長をもたらす! (実践)

途上国がどうしたら経済成長することができるかということを扱った「開発経済学」を勉強した。詳しくは理論編をご覧いただきたい。

大まかにいうと、途上国は金融機関の利用が少ないため、あまり経済が回らず、発展しないという課題がある。

そこでふと昔読んだweb小説を思い出した。その小説では、冒険者ギルドや商人ギルドにはお金を預かってもらうことができるという設定になっていた。

その設定で考えると、今途上国で課題となっている融資問題の5分の3がファンタジー世界で解決することに気づいた。(※あくまでも『ストーリーで学ぶ開発経済学』に記入されている課題の中での話である)

課題をもう少し具体的に視ていこう。

課題


①発展途上国で必要とされる金融サービスは先進国と変わらないのに、金融機関が近くにないため、利用しにくくなっている。
②金融機関が必ず設ける事業だとわかっていても、担保(返せなくなると代わりに払う資本)がなく、相手の情報(性格・事業行動)もわからないため、融資(お金を貸すこと)をすることができない。
③将来のために貯金をしようと思っても、一人では誘惑に負けやすく、お金を貯めることができない。貯金システムが近くにない。
④家族同士でも「この資金を何に使うか」についてもめることがある。
⑤貧乏な人にやさしい融資のマイクロクレジット制度だけでは、全員をカバーできない。

前提

まず、とどめておいてほしい前提が、ギルドが貯金サービスを利用して融資を行う金融機関の役割を果たしている点である。小説の設定では貯金サービスのみを行っており、融資を行っているような感じではなかった。しかし、せっかくなら貯金を利用しようじゃないかと思いついたのである。

この中で見ると、ギルドは①、②、③を解決することができる。

①ギルドはどこにでもある。

発展途上国やこの世界では、金融の専門機関が必要とされ、設立される。つまり、金融機関がわざわざ貧困層に進出しなければならない。そのため、必然的に数は少なく、利用には都市への移動も必要になる。
しかし、冒険者ギルドに金融サービスがあったらどうか。もちろん、大都市には1つしかないという設定の小説もあるため不便ではあるが(民間の専門金融機関に頼ればカバーできそうである)、比較的小規模な村にも最低1つはある(小さな村にはないという設定の小説もあるが)。この設定であれば、貧乏な人でもかなり金融サービスを利用しやすくなる。

②情報の非対称性がなくなる。

金融機関が必ず儲ける事業だとわかっていても、担保(返せなくなると代わりに払う資本)がないと金融機関は融資ができないという点では、「マイクロクレジット」という制度で解決可能であると考える。マイクロクレジットとはグループで集まり、各々貯金を持ってきてもらい、それを一つにして一人の人に貸し出す制度である。この制度で信頼と資本を得ることができれば、さらなる融資が可能になるだろう。

もう一点は、相手の情報(性格・事業行動)もわからないため、融資(お金を貸すこと)をすることができないという点がポイントである。これは経済学用語で「情報の非対称性」という。本来であれば、金融機関は相手(融資先)の性格、具体的な行動が分からない。そのため、相手が「本当に儲けてお金を返してくれるのか」という点が分からない。融資先が高確率で儲かる場合でもだ。
しかしながら、ギルドを利用した場合、ギルドは魔物の引き渡しや依頼受付などを通して相手の性格や詳しい行動内容を知ることが可能である。つまり、ギルドでは「情報の非対称性」が起こりにくく、貸す人も安心でき、現実世界よりもお金を貸しやすくなるということである。

③自動的にお金を貯めることが可能

現実の発展途上国は金融機関が近くに存在せず、気軽に貯金することができない。そのため、誘惑に負け、懐にためていたお金を使ってしまうということも起こりえる。
しかしながら、ギルドでは魔物の退治や輸送依頼を行っているため、そこの報酬から「何%は貯金する」と決めておけば、自動的に貯金することが可能である。お金もギルドに保管されているため、誘惑に負けてお金を出すということは比較的少ないと予想できる。

以上の理由で、もし、ファンタジー世界のギルドに金融サービスが追加されたのであれば、経済成長が比較的しやすい状態となる。

さらなる課題

しかし、忘れてはならないことは、この「開発経済学」の本の場合である。(タイトル詐欺のようになってしまって申し訳ない。)もう少し突っ込むとすれば、制度などの問題も発生する。経済成長に欠かせない「よい」制度は所有権と経済の自由化が保障されていなければならず(1)、「よい」制度であっても、行政がしっかりと政策を行っていなければならない(2)。先進国の技術を学ぶことも必要である(3)。様々な政治・経済の改革をしなければならないのは依然として変わらない。

(1)『自由と成長の経済学』
(2)『貧乏人の経済学』
(3)『ストーリーで学ぶ開発経済学』

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