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「吃音VR」に感じた、あらゆるトラウマやメンタルの問題への大きな希望

「吃音VR」とは

先日、吃音をVR(Virtual Reallity)で改善する「吃音VR」という技術を開発をされている梅津円さんに、医療関係の仕事をしている知人にご紹介いただいてお会いしました。

ご本人も長く吃音に悩まされてきたということなのですが、お話をしていてもそれをほとんど感じさせず、聞けば、飲食業での接客の現場にあえて飛び込み、会話のトレーニングによって自らの吃音を改善されたとのこと。

そしてその経験が、「VRで吃音を改善できる」という気付きに繋がったそう。

前回の投稿にも通じるのですが、梅津さんは「同じ障害に苦しんでいる仲間を助けたい」という強い使命で動かれていて、その想いに心を打たれたと同時に、私自身長年悩まされてきたアダルトチルドレンのトラウマやADHDなどの発達障害から生じるメンタルの問題に、この技術がとても有効に違いないという手応えを得て、興奮を禁じ得ませんでした。


吃音者の置かれた現状

現在、日本には120万人もの吃音者がいるそうですが、そもそも吃音の原因がまだほとんど解明されておらず、専門家の言語聴覚士のうち吃音治療ができるのはたった数%のみで、治療できる病院は国内に僅か10ほどしかないとのこと。

しかも、運良く病院に通うことが出来たとしても、1週間に1時間しか治療が受けられず、治るまでは気が遠くなるような道のり。

ただし、吃音障害は、これ自体が問題となるよりは、吃音に起因する自信喪失や対人恐怖症などのメンタルの問題が起こることにより、鬱や引きこもりなど社会との断絶に繋がることが一番の深刻な問題となるようです。


しかし、逆に考えれば、そのメンタルの問題を解決出来れば、梅津さんのように社会とうまく付き合うことが出来るようになるわけです。

梅津さんが接客業で吃音を改善したように、VRを使ったトレーニングによって小さな成功体験を積み重ねて自信をつけ、メンタルのブロックを外していく。何度でも繰り返しチャレンジして慣れることによって、徐々に恐怖心を克服し、最後はリラックスして話すことが出来るようになる。


吃音者の成人の、実に40%が社交不安障害を併発し、そのうちの20%が鬱を発症しているというデータもあるそうですが、吃音によって自分の夢を諦めざるをえないというのは、発達障害を持つ仲間として大変に心が痛みます。

そのため梅津さんは、これから社会に出る吃音に悩む就活生向けに「面接場面」や「自己紹介やプレゼンの場面」などをVR空間に再現した多数のコンテンツを用意し、実証実験を重ねているとのことでした。


あらゆるトラウマ治療にとても有効なのでは?

さて、このお話を聞いて私が真っ先に感じたのは、

「これは吃音のみならず、アダルトチルドレンの心の後遺症や、あらゆる発達障害がきっかけとなって生じた、トラウマ全般に有効に違いない」

ということでした。

実際に海外の大学の研究でも、このようなVRによって発達障害の子どもが恐怖心や不安を完全に克服出来たり、鬱や統合失調症にも大きな改善が見られたというデータが出ているようです。

お話を聞いている中で、私は以前受け、アダルトチルドレンのトラウマの改善にとても効果のあった「催眠療法」を思い出していました。

催眠療法とは、海外のドラマなどでもよく見るように、ソファに横になり、療法士のリードと共に自らの心の中に分け入っていくもの。

人によって効果はまちまちではあるようですが、私は自分の心を縛っていた問題を一つ一つ切り分けて整理し、傷だらけになって独りぼっちで泣いていた幼い日の自分を探し出して、いたわり、抱きしめてあげることで、長年の傷が癒えていくのをありありと感じることが出来ました。


催眠療法は自己暗示とともに心の中のイメージにアクセスするものですが、梅津さんの「吃音VR」は、実際に網膜を通して視られるもの。よりクリアな、現実と見紛うようなレベルで体験できるわけで、この効果は絶大なものになるはずです。


現在のアダルトチルドレンや発達障害から生じるトラウマを癒す手段は、心療内科やカウンセリングに行ったり、または関連書籍を読んだり、専門家の手は借りながらも、結局は自己の努力に全てがかかっているといっても過言ではありません。

確かに自ら絶望の穴から這い出る方法を見つけないことには、付け焼き刃の脱出方法を学んだところで、何度でも穴に戻されてしまいます。

しかし、この吃音VRはそこから一歩踏み込んで、穴からの脱出をトレーニングによって大きくサポートしてくれる可能性を秘めたものであると強く感じました。


アナログな造形作家として橋渡しをしていきたい

梅津さんは現在、東京大学の研究室をはじめ、あらゆる分野の専門家チームと組んで、吃音VRの開発を急ピッチで進めています。

私は昨年から協力会社さんの多大なるサポートをいただき、VRに細々ながら関わらせていただいていますが、私自身は開発技術を持っているわけではないため、梅津さんを直接的にお手伝いできることは、今のところないのかもしれません。

しかし、この吃音VRが広がり、あらゆる発達障害や精神障害の治療にも使われるようになったら、どれだけ多くの人の心が救われるのか。その可能性を切実なまでに感じるので、自分に出来ることで今後も梅津さんに関わっていきたいと考えています。


最近感じるのは、VRでアート作品を作るのは他の素晴らしいデジタルなアーティストの方々がやってくださるので、アナログな造形作家の私は、これまでVRが導入されていなかった分野で「こんなことが出来そうですよ」という橋渡しを今後のミッションとすること。

今回も、そんな私の立場に共感してくれた医療分野の専門家の知人たちが、梅津さんに引き合わせてくれました。

梅津さんのこの素晴らしい事業がどんどんと広がってますように。そして一人でも多くの傷を負った人の心が癒されますように。

※ご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、梅津さんにお繋ぎいたしますのでご連絡ください。

梅津さんに、吃音VRにかける想いを1分で語っていただきました。


先日梅津さんは「VRの吃音当事者団体『どもれんず』」という当事者団体も立ち上げられました。まだ解明されていない吃音に関するデータを集めて治療方法を探るためにも、当事者の方のお声が絶対的に必要とのことです。ご興味を持たれた吃音当事者の方は、ぜひ梅津さんにご連絡ください。
梅津さんの記事です。


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