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健康で美しいカラダに理想的なタンパク質の量とは


食事から摂取されるタンパク質はアミノ酸という形で、新しい組織を作り、古い組織を修復し、全身の基本的な細胞機能を遂行する。

人間の体内では、タンパク質は20種類のアミノ酸から形成される。この20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成することができないため、食事から摂取しなければならず、これらは「必須アミノ酸」とみなされている。

ところが、推奨食事摂取量である1日体重1kgあたり0.8gのタンパク質は、窒素バランスを維持するために必要な最低限の量に過ぎず、除脂肪体重を増やし、サルコペニアのリスクを最小限に抑えるという目標には、あまりにも少なすぎる。そう言うのは長寿研究で数々の論文とベストセラー「アウトリブ」著者のピーター・アティア医師だ。

各個人に必要なタンパク質の量は実は非常に複雑で、性別、体重、除脂肪体重、活動レベルによって異なるけれど、基本的には、タンパク質の摂取量が不足すると、体は自身の除脂肪体重をアミノ酸源として使用し、筋肉量の減少につながるという。

許容可能な大栄養素分布範囲は、摂取カロリーの10~35%をタンパク質として摂取することで、平均的な57kgの女性または70kgの男性では、1.0~3.7g/kg/日になると、アティア医師は述べている。

最小限の活動しかしない人にとっては、除脂肪体重を維持するにはこの範囲の下限で十分であるということだ。けれども脂肪をできるだけ削ぎ落とした除脂肪体重を増やしたい人、また中等度以上の激しい運動をする人は、筋力と骨格筋の成長を促進するために、1.2~2.2gタンパク質/kg体重/日程度まで、より高いレベルのタンパク質を摂取するようにすべきであると主張する。

これに対して、ベストセラー「How Not to Age」著者の研究者であり医師でもあるマイケル・グレガー医師は、タンパク質を多く摂取する食事法、とりわけ動物性タンパク質の多い食事に対して批判的だ。

動物性タンパク質の摂取は、ビロフィラのような細菌の増殖を促進し、短鎖脂肪酸の産生量の低下と有毒代謝産物の増加をもたらすと述べ、タンパク質は植物性のものから採るように勧めている。その理由として、植物性タンパク質の摂取は、ビフィズス菌や乳酸菌の増加、短鎖脂肪酸の産生量の増加、炎症の減少、腸内バリアの改善が、これまでの研究結果でエビデンスとして示されているからだ。

グレガー医師の推奨するタンパク質の推奨摂取量は1日約50g(女性46g、男性56g)。最も健康的な摂取源は、豆類とそのままの全粒穀物であるという。

先進国では往々にしてタンパク質の過剰摂取が見られ、必要量の2倍以上のタンパク質が摂取されている。これを男性一人あたりにつき1日73gにまで減らした研究では、たった1週間でFGF21(線維芽細胞増殖因子=せんいがさいぼうぞうしょくいんし、創傷治癒や胚発生に関係する成長因子の一種)が6倍に増加し、インスリン感受性も有意に上昇した。

このようにタンパク質摂取量を(例えば1日1.67g/kgから0.95g/kgに)減らすことで、体内の炎症のマーカーであるIGF-1値は3週間以内に20%以上低下することがわかった。

タンパク質と癌の関連性


一方興味深いのは、癌とタンパク質との関連性だ。癌は糖分やブドウ糖をエサとして大きくなることは一般的に知られているけれど、アミノ酸であるグルタミンが、急速に増殖する細胞の重要な代謝燃料となることはごく近年になって解き明かされて来たものだ。

実際に、多くのがん細胞がエネルギー需要の増加に対応するためにグルタミンに依存している。上記で触れた IGF-1は、癌の発生とも関連性が確かめられていて、タンパク質摂取量の減少が抗老化および抗癌食の重要な構成要素になりうるとして提示されている。

昨今の研究結果によると、タンパク質はがん細胞の増殖に依存していて、リボソーム産生の活性にも影響を与えている。2.

そして、がん細胞は、正常組織よりも多くのバイオ燃料を必要とし、グルタミン酸依存性が高くなっている1.


タンパク質を制限することが寿命を延ばすという証拠


グレガー医師の著書によると、健康寿命に最適なタンパク質と炭水化物の比率は、生物種全体で約1対10であるということだ。これは長寿で有名な沖縄の標準的な食事や、マクロバイオティックと呼ばれるダイエットによる比率と驚くほどよく似ている。

つまり1日の摂取量の10%を植物性タンパク質から摂ること。肉や卵からではなく、ナッツや豆類、全粒穀物のような植物性のタンパク源に置き換えることで、健康寿命が延びるという結果を示唆している。








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