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目線の高さを意識して対人関係を円滑にする手法 〜そのテクニックに対する防衛手段について〜

 激務の中で病棟を回診していると、ついカーテンを開けて挨拶して調子を聞いて、お変わりないですねーといって立ち去ってしまうものです。しかし、これって患者さんの立場から見たら結構つらいんじゃない?と思うのです。

 入院している方は体調の良くない方が多いですから、ベッドに寝ているか、座っているかが殆どです。すると、こちらが立ったままでは上から見下ろす形になります。これは想像以上に威圧感を与えてしまうもので、本当は調子が悪かったり質問したいことがあったりしても、なかなか言い出せなくなってしまいます。

 私は時間の許す限り、屈んで目線を合わせてお話を聴くように心掛けています。そうすると不安を軽減できたり思わぬ情報が得られたり、診療にも有用なことが多いと感じています。

 これは患者ー医師関係に限った話ではなくて、心理学的にも「目線の高さ」はとても重要な意味をもっています。
 同じ高さの目線は対等な関係や親近感をもたらし、低い目線からのアプローチは敵意のないことを示し安心感を与え、高い目線からの言動は威圧感を与える一方で信頼感の印象を齎すこともあります。

 これを日常生活に応用しない手はありません。

①基本は、目線の高さを合わせる。親近感と好印象を与えることができます。

②感情や情報を優しく引き出したいときは、目線の高さを相手より低くする。

③優位に立ちたいときは、敢えて目線の高さを高く保つ。

 時々、悪意をもってこういう技術を使ってくる人もいますが、これを読んだ貴方は、もう恐れることはありません。そのことに気付きさえすれば、対処のしようがあるからです。

 防衛手段は単純です。

 ただ、目を閉じればいい。

 発想の転換です。「目線の高さ」のテクニックは、視界から消えれば無効化します。この会話は危ない!と思ったらサッと目を閉じて冷静さを取り戻し、それから返事をすると良いでしょう。

 もちろん、高圧的に迫ってくる相手には、その目線より高いところに行けばいいのですが、そうそう上手くはいきません。そんなときでも一瞬、目を閉じて冷静さを取り戻すようにすれば、相手に不自然な印象をあまり与えずに、心理学的なトラップから逃れることができます。

 こんな素敵なディフェンステクニックを簡単に教えちゃっていいのかって?
 いいんです。ひと匙でも貴方のお役に立てて、貴方に「スキ」と感じていただけたら、私はとても幸せですから。

 拙文に最後までお付き合い頂いたことに心より感謝申し上げます。願わくは、またいつか何処かで貴方に逢えますように。


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