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青春は絆をつないで生まれる。全国高校駅伝。女子は神村学園が大逆転劇、男子は佐久長聖が大会新記録。流れを作って勢いに乗った学校も

青春は絆をつないで生まれるものだと、このスポーツを見て実感する。全国高校駅伝が24日に京都で行われた。女子は鹿児島の神村学園がアンカーの激走で大逆転Ⅴ。男子は長野の佐久長聖が大会新記録で優勝した。そして序盤に流れを作り、勢いに乗って県勢の過去最高順位でゴールした学校もあった。絆をつないで駆ける駅伝。今年も青春が完全燃焼された。
 
女子は記憶に残る名勝負となった。5区間21.0975キロで行われるレース。アンカーにたすきが渡った時点でトップを走っていたのは仙台育英(宮城)だった。追う神村学園は1分20秒差の3位でアンカーのカリバ・カロライン選手がたすきを受け取った。
 
5区は5キロ。カロライン選手が猛追する。中間点で40秒差。逃げ切りを図る仙台育英との差をさらに詰めて、競技場に入った。最後のコーナーを回って、カロライン選手が猛然とスパート。先頭でゴールを駆け抜けた。
 
その差、わずかに1秒。歓喜に沸くカロライン選手。ゴールを突っ伏して泣き崩れる仙台育英のアンカー。あまりに対照的な姿だった。
 
神村学園は1区で13位。そこから2区で9位に順位を上げると、3区で8位、4区で3位にジャンプアップして、カロライン選手につなげた。アンカーの激走が勝利をものにしたが、それまでに1秒でも縮めようとした仲間の思いがカロライン選手を後押ししたのだ。
 
ゴール直前で大逆転を許した仙台育英。釜石慶太監督は「5区間全部で目標通り」と振り返った。出場選手は5人全員がベストを尽くせたのだ。それよりも、ほんの少しだけ、神村学園が上回っただけ。仙台育英の選手たちの頑張りをたたえたい。
 
そして、女子の大会で、私が最も驚いたのは新潟明訓の大健闘だった。1区で橋本和叶選手が7位。序盤で先頭集団に位置し、中間点を過ぎた後も、前年優勝の長野東の選手と並走し3位争いをしていた。中継所では7位でたすきを渡した。
 
橋本選手が流れを作り、2区の寺木みのり選手も区間10位の快走で7位をキープして3区につないだ。
 
そして3区、4区では順位を若干落としたが、それでも10位でアンカーにつないだ。これまで走ってきた選手の思いがたすきに詰め込まれている。最後は19位でフィニッシュ。
 
19位は新潟県勢の女子で過去最高の順位。1時間10分53秒は県高校最高記録ともなった。序盤に流れを作り、勢いに乗っての快挙と言えるだろう。
 
駅伝は個人記録をただ積み重ねるものではない。チームが勢いに乗れば、各選手にさらなる力を与えてくれる。特に高校生ともなれば、成長速度は計り知れない。
 
これが高校駅伝の魅力なのだろう。
 
男子は7区間42.195キロ。日本人選手のみの佐久長聖が2時間1分0秒で大会新記録を更新して6年ぶり3度目の優勝を果たした。
 
来年からは男女ともに各都道府県代表に加えて全国11地区の代表を含めた58チームで行われることになった。大会がさらに魅力を増すのは間違いない。
 
絆をつないで走る青春群像劇。高校駅伝で青春を完全燃焼する選手たちを応援し続けたい。

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