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2021年5月の記事一覧

竹宮惠子氏が萩尾望都氏にかけた盗作疑惑について

「あなたは私の作品を盗作したのではないのか?」 竹宮惠子が萩尾望都に言った。 1973年の早春、東京都杉並区下井草のOSマンションでの出来事だ。 ただしこれは萩尾氏の証言(※1)であって、それが事実かどうかは確認しようがない。 ショックを受けた萩尾氏は、ひどい不眠症と心因性視覚障害に陥った。 城章子氏は当時の萩尾氏の状態について以下のように書いている。 この件で竹宮氏は萩尾氏に以下のように告げたと言う(萩尾氏の証言)。 萩尾氏は、以降、半世紀にわたり、竹宮氏との交流を一

映画『都会のアリス』の魅力

配信時代とは言え、廃盤になって久しい名作が多々ある中でも、復刻の願望が特に多いとされている作品にヴィム・ヴェンダース監督が初期に手掛けた『都会のアリス』があります。こちらの廉価版に期待する映画ファンはかなりいると思われます。 私見でしかありませんが、現役で世界最高峰の映画監督を挙げよともし訊かれたら、私は迷う事なくヴィム・ヴェンダースの名前を挙げます。 ヴェンダースがある種開拓していったと言っていい‘ロードムービー’(旅物語、旅情モノ)というジャンルにおいて、商業映画監督と

私たちは他人よりもすこしばかり外付けHDDの容量が大きい(第3回積読読書会レビュー)

はじめての昼下がり開催となった「積読読書会」はもう3回目。第1回、第2回ともに温厚かつ賑やかな方々の集まりが続き、おかげさまで毎度大変楽しい会を催すことができています。 📚土曜日の昼下がり 土曜日の昼下がり。最高の時間だ。  金曜日までの仕事の憂鬱が液中に投じられたグラニュー糖のように溶けていき、翌日にはさんさんと陽の降る日曜日が待っている。午前中に散歩がてら出かけた先の駅前にあるグローサリーで買ったクラフトビールを開栓したら、自分のブランチかと勘違いした飼い猫が確信的な顔

近況と雑感

『天才の愛』出てからひと月くらい経ちました。 世間は相変わらずですし、京都も梅雨入りしてますからなんとなくモヤモヤしますが、マイペースに音楽を作る日々です。 久しぶりのライブツアーを心待ちにしておられるお客さんも多いと思います。バンドはリハーサルを終えましたが、バンドって良いな、と思いました。くるりはバンドですが、バンドっぽいバンドではないので、バンドらしからぬ音も沢山作っていますが、今回のツアーはバンドっぽい感じだと思います(多分)。 上の写真は1年7ヶ月ぶり、くるり

サステナビリティ関連のイベント紹介もろもろ

引き続き、引っ越しの片付いたやらで身体も疲れていたりするせいもあって、読むのも書くのも滞り中。 そんな状況でも、もろもろ関わってるイベント関連の動きがあるのでまとめて紹介。 まずは、これから開催予定のイベント2本。 ひとつめは、これ。 持続から再生へ。 昨年あたりからでしょうか、企業は「持続可能性/サステナビリティ」を超えて「再生/リジェネレーション」という考えをもつ必要があるという流れが生まれつつあります。地球環境の持続可能性を追求するのみならず、環境の再生をはかり

編集者として成功するために一番必要なもの

自分が新卒で入社した出版社は「出版業界のリクルート」と呼ばれることもあって、事実、多くのOB・OGがいくつもの職場で元気に活躍している。 その「転職の成功率」が高いので、ぼくがダイヤモンド社に移ってからも、その会社の採用や新人育成のやり方をしばしば聞かれた。できる編集者育成の秘訣のようなものがあるんじゃないかと思われたわけだ。 言われたからにはと、まじめに過去にやったことの洗い出しをしたりしてみたけれど、特別なことは何もしていなかった。最初からひたすら先輩や上司と一緒に本

行為を修飾するインタフェースと見立て

はじめまして、これがnoteへの初めての投稿です。 筆者は、いわゆるHuman-Computer Interaction (HCI) の研究者です。 研究者は自分が明らかにしたことを伝えるために論文を書きます。論文には客観性のある事実や、曖昧性がなく伝達効率の良い文章の記述が求められます。そのため、研究者の主観的な思いや気持ち、はたまた研究を実現するための試行錯誤は公開された論文では隠れてしまうことがあります(ビジョンの提案やプロトタイプの試行錯誤自体が研究のcontri

社会に変化をつくる”共創”とはなにか?どう実現するのか?

こんにちは、きびです🙋‍♀️ 今日は「社会に変化をつくる”共創”とはなにか?どう実現するのか?」についてお話ししたいと思います。 【サマリー】 ・1章では「この調査をはじめた目的と背景」について ・2章では「共創でなにができるのか」について ・3章では「共創事例を分析した調査結果から得た知見」について ・4章では「実際のプロジェクトでの活用」について ・5章ではまとめとして「PURPOSEHOODの必要性」について 書いています。 パーパスモデル-人を巻き込む共創のつくり

コミュニティの歴史から読み解く「家族像」の変化~「理想の家族」はどこにいるのか?~

 Potage代表取締役 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。人と人をつなげ、それぞれの力を引き出していく場がコミュニティである、そう信じて組織のコミュニティ化や、事業やサービスのコミュニティづくりのお手伝いをしています。  さて、今日はそんなコミュニティの最小単位である「家族」について考えてみます。こんなお題が日経COMEMOさんから出ているのです。  昨年12月に結婚し、来月に第一子が生まれる予定の、家庭つくりたてほやほやの自分が「理想の家族」について語

フォント名の見方

フォント名には、ベンダー(=開発会社)の省略記号、グリフセット(収録文字数セット)、ウエイトなどの情報が入っていることがあります。 それぞれの意味を理解することはフォントを使い分けるヒントとして役立ちます。 この記事で参照しているのは一部のフォントです。 すべてのフォントに共通の情報でなく、フォントベンダー(=開発者)によってフォント名にどのような情報を入れるか、どのように入れるかはさまざまであることに留意ください。 フォント名を読み解くための記号 フォント名には、次に挙

間と余白

日本ならではの美意識を語るとき、侘び寂びと同じように、「間/Ma」と「余白/Yohaku」という言葉も欠かせないものです。「間」は、主に演劇や音楽、対人関係の中で意識されるもので、「余白」は美術やデザインのような平面的なものにおいて、頻繁に用いられる言葉です。では、これらの意識は、どのように日本で育ったのでしょうか。 何もないことは豊穣「間」や「余白」という意識には、仏教の「無」や「空」という概念が元にあると考えられます。キリスト教では、「無」とは「有」の対義語で、ただ何も

続・余の過ごしたるコロナ禍の日日 福永信

5月10日(月) 1年前に書いた日記では、マスクが手に入らないということしかほとんど書いてない。マスクを求めた毎日だった。今では普通に買える。だが手放せない日常は続いている。マスク会食という珍妙な言葉すら定着したのが今の世の中だ。現在はワクチンがない。ワクチンは医療従事者、そして、高齢者から、少しずつ打ち始めているようだが、予定より遅れたり、予約のシステム障害があったり、電話しても全然繋がらなかったり、政府が(菅義偉首相が)7月末までと〆切りをムリに決めたり、うまくいっていな

'21.05.11雑記:働くごとにちぎれる身体

前記事の最後にこう書いた。 われわれが医療の場に近づけば近づくほどに、「一」なる全体としての身体はばらばらと離散してゆく。個々の医療行為について調べ、考えれば考えるほどに、この”私の体”なるひとつのものが持つ特有の領域が小さくなり、最後には立ち消えてしまう感覚。 ここですこし”身を引いて”、歴史的な視座から、医療と細切れの身体について考えるためのプロットを見出してみたい。 産業革命以来、身体を動かすことがほとんど人間の存在意義そのものになっている。 19世紀中葉のマル

2月から5月までに未来を思考するために読んだ本ービジネス書編(1)2030年から2060年まで一気に思考するよ。【百冊挑戦!】(追記あり)

・いつもタイトル(1)で(2)がない。(2)を書こうと思って(1)とつけるのだが、(2)が書けたためしがない。 ・なんか考えているときにビジネス書を読む。読んでいると自分の考えが急にまとまったりするのだ。アイデアが生まれてくることもある。そして、ほとんどの場合において、まとまったり、生まれてきたりした「それら」は本の内容そのものとは全く関係ない。関係ないが、お世話になった本をいくつか紹介しようと思う。 2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ   ピーター・ディアマン