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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2022年1月の記事一覧

王が起こした革命

『[新版]ハングルの誕生 人間にとって文字とは何か』野間秀樹著(平凡社ライブラリー) この大層な副題のついた名著を紹介する前に、私自身のハングルとに関わりと、そのもどかしさについて書いておきたい。 80年代 今ほど韓国が身近にない中高生の頃からNHK講座などでハングルにふれいて、ずいぶんとやさしい言葉だなと感じていた。大学に入ると先輩が韓国の貿易会社に就職し、バイトの斡旋などをしてもらったが、入社したばかりの先輩もなんだか簡単そうに韓国語しゃべってる。 その後私も鉄鋼会

【戦争のある日常】トンガでも活躍している衛星携帯

トンガで火山が噴火し、電話やインターネット回線をつないでいる海底ケーブルが切れてしまい、国外と連絡が遮断されてしまったというニュースを見たが、そこで衛星携帯が活躍しているようである。 この衛星携帯、僕もアフリカでフィールドに出張に行くときや任地が地方だった時は必ず衛星携帯を持って行った。基本的には電波が弱く、上に障害物がない状態で話さないといけないし、プリペイド式だったので色々準備が面倒なのだが、いざというときは本当に役に立つ。 一度出張の際、移動のためにボートで川下りを

【ヘンテコインタビュー#1】日本から世界へ🌱親子で考える「シエラレオネってどんな国?」「私たちができることってなんだろう?」

こんにちは! ミライLABOメンバーのあいかです🌱 突然ですが、みなさんは、 2016年時点で、「最も寿命が短い」と 言われていた国をご存知でしょうか? タイトルから察した方もいらっしゃるかと思いますが、 答えは「シエラレオネ」。 日本から約1.4万キロ、飛行機では30時間かかるほど 遠く離れた西アフリカにある国です。 今回は、"ヘンテコ"インタビューオンライン収録イベント 第一弾世界編「シエラレオネってどんな国?」の様子を すでにライブをご覧になった方には復習に、

2022年ウクライナ情勢をより深く理解するための歴史文化背景雑学

当方はウクライナやスラブ研究者では無く、米国大学にてホスピタリテイ・観光経営分野で研究系博士教員をしている日本人米国永住者です。ウクライナには縁があって旧ソ連崩壊後数年であった1995年から往訪しており、渡航回数は30回程度です。過去5年は年に数回のペースで渡航していました。 普段ウクライナの名前が出るのはチェルノブイリ原発事故に関連した話程度で、ここ数か月のロシア軍国境集結と侵攻のニュースで突然によく名前を聞くようになった人が多いのではと思います。 ウクライナとロシアの関

地球の裏側で日本古典文学を愛した少女

 漫画やアニメに特に興味はなかったが、14歳の時から母国イタリアとまったく違う国に住んでみたいと思って日本の高校に留学する夢を見ていた。そして、夢がかなった。  17歳の時、十か月兵庫県の高校で留学することになった。しかし、ホストファミリーとうまくいかなかったし、学校でも友達を簡単に作れなかった。人生で初めて好きな人ができたけど、それもひどい片思いに終わってしまった。文化の違いが山ほどあり、親しく接してくれる人誰もいない。他人に傷つけられ、他人を傷つける毎日だった。  そ

Hiphopと反ワクチン、黒人コミュニティと陰謀論の親和性

先日、Neil YoungがSpotifyにワクチンに関するデマの拡散(Joe Roganのポッドキャスト)を辞めさせるよう公開書簡を送り、さもなければ自分の楽曲の配信をやめると言った。 そしてSpotifyは「今までコロナ関連のポッドキャストエピソードを2万件以上削除してきた。」と十分にデマや誤情報に関する措置をとってきたという態度を示した上で、この要望を(敬意を持って…らしい)拒否し、Youngは楽曲の配信を停止した。 Joe Roganのポッドキャスト「The Joe

『マッグガーデン公認 日本語学習者のための“魔法使いの嫁”で学ぶマンガの読み解き』が発売されます

デジタルハリウッド大学(DHU)のプロデュースで、書籍がマッグガーデン社より発売されます。 DHU学発プロダクト 『マッグガーデン公認 日本語学習者のための “魔法使いの嫁”で学ぶマンガの読み解き』 発行‏ : ‎デジタルハリウッド 発売 ‏ : ‎マッグガーデン 発売日:2022/2/10 定価:2,800円(本体2,545円+税) 言語 : ‎日本語 単行本 : 256ページ 判型‏ : B5判(ソフトカバー) ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4800011718

この時期に海外に行くということ(4)

この1月は、2年ぶりにラスベガスでリアルで開催されたCESに参加するためと、取締役を務めるキャスタリア社のタンザニアでのデジタル母子手帳事業のため、2度海外に出張した。これで新型コロナウイルスに対応するための水際措置が実施されてから4回海外に渡航したことになるが、初めてホテルでの半強制的な隔離(以下「施設待機」)も2度経験したのでそれも踏まえ、今後渡航する方の一助となるよう、昨年(2021年)3月時点の記事のアップデートをここに書いておきたい。 なお本稿の内容は執筆時点(2

109. エピローグ

ヒジュラ暦1443.6.27 (2022.1.30) 昨年末、6年間のサウジアラビアでの仕事を終えて、日本に帰ってきた。 6年前、なかなか来られない国だから、記録をしておこう思って「こちらリヤド、43℃」を書き始めた。当初は2,3年のつもりの記録だったが、縁あって6年間書くことになった。 6年間で0から109まで話を書いてきた。ざっと見返してみると、序盤は生活面でのカルチャーショック的な話が多い。中盤以降は仕事の話なんかも入ってきて、そこでの異文化体験などがあり、終盤はパ

歴史の扉③ タピオカミルクティーの世界史

 コロナ禍の影響から、一時に比べ下火となったタピオカミルクティーの流行(ちなみに私は1點點が好き)。早くも懐かしむつもりで、世界史とのつながりについて、話題の『中国料理の世界史—美食のナショナリズムをこえて』(岩間一弘著、慶應義塾大学出版会、2021年)をもとに簡単に紹介します。 ルーツは台湾の屋台   1980年代頃、台湾の屋台では、ポリ袋入りの紅茶が売られていました。東南アジアでよく売っているやつですね。  これにかき氷のトッピング用に大粒のタピオカが入れられるように

歴史の扉① ストリートダンスの世界史

 現在の高校生は、ダンスが体育の授業のなかに当たり前に組み込まれている世代である。  しかし、ストリート系のダンス(「ヒップホップ」)や「B系」と呼ばれるような文化のルーツが、アメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人たちにあるという事実について知らない高校生のほうが、当然のことながら多いだろう。  次のような話題を用意し、紹介してもよいかもしれない。 ***  1950〜1960年代には、アフリカ系アメリカ人(黒人)が、白人に対して公民権(市民権)を求める運動が盛り上がった。

中国2022年のキーワード「機能性スキンケア」「プライベートトラフィック」「法規制」

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。 Facebookページ|メルマガ(隔週火曜日配信) LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o テック企業への規制強化をはじめ、芸能界への統制策、景気減速と、2021年は問題が噴出した中国だったが、2021年の動きを振り返りつつ、2022年の中国の美容業界について、トレンドやテクノロジー、法規制などの観点からの動きを予測する。 2022年は機能性スキンケア市場がさらに伸長へ2

ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートとともに生きる私たち

先日、北欧雑貨店でロイヤルコペンハーゲンのお皿を見つけた。 ロイヤルコペンハーゲンは、デンマークの食器メーカーで、毎年、イヤープレートと呼ばれるその年の限定のお皿を販売している。 「そういえば、お義母さんの形見のイヤープレート、どこにあるのかなあ」 北欧雑貨店に陳列されたイヤープレートを見ながら、夫に尋ねてみた。 以前、義母から趣味でロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートを買い集めているという話を聞いたことがあった。 数年後、義母が病気で亡くなって、遺品の中から義母が家事

ロケット打上げと緯度の話

ロケット射場は赤道近くが良いだろうと信じている人は多い。実際にそうなのだろうか? 結論:目的の軌道(目的地)による ロケット打上げには人工衛星ごとの目的地がある。 宇宙空間では特定の1点に留まることは出来ない。したがって地球周辺であれば地球周回軌道というところで運動し続ける。 射場緯度の有利不利はこの目的の軌道に依存する。 静止軌道と地球低軌道静止軌道という軌道は赤道直上の高度約3.6万kmにある。日本上空にいれば、ずっと日本上空に見える極めて特殊な軌道。この静止軌道は気