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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2022年7月の記事一覧

『古代インドの衣装』を出版しました。

古代インドが好きすぎて、『古代インドの衣装』という本を作ってしまった……気付いたら100ページになってた……というお話。 『古代インドの衣装』The Costumes of Ancient India古代インドが大好きなオタクがツイッターで古代インドのことを呟いていると、いろんな方から質問がきます。特に多いのが衣装についてです。 確かに古代インドの衣装を調べようとしても、ネットではほとんど引っかからない。じゃあ本で調べようにも、そもそも古代インドのどの時代なのかとか、もとに

イスタンブール移民Gourmet探訪記(序)

ここは、まさに新大久保! 様々な人種が集まり、ダイナミックな売り買いがなされ、中東〜アフリカの美味しいものが集まる町「ユスフパシャ(Yusufpaşa)」。 とにかくイスタンブールに観光に来たら、一度はここで移民巡りをしてほしいです。本格的なシリア、イエメン、ソマリアの料理が世界で一堂に会する町は、ここしかないのではないでしょうか?それは、まるで新大久保で本格的なネパール、韓国、ベトナムの料理が集まっているように。 トルコに関わる様々な国々の人たちが集まり、ここに来ると

今年の夏、海外旅行はエストニアで決まり〜観光編

エストニアは ヨーロッパの東側に位置する とても小さな国。 今年の夏 海外旅行をお考えの皆さん必見!! エストニア旅行のススメ◎ タリンのOld town首都タリンの市内には 古い街並みが残された地区があります。 old townと呼ばれ 日本で言うと京都のような場所です。 伝統的な建物や教会 伝統衣装をまとった人たち 伝統工芸品が並ぶお店 old townを訪れれば エストニアの文化を知ることができます。 スペインやイタリアからも観光客が訪れるのも納得がいくほ

『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』刊行

 河出書房新社から、7月中旬に『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』が刊行されました。  これは、2019年春にはじまったNHKラジオ「中学生の基礎英語 レベル2」(略称・基礎英語2)テキストでの翻訳者リレー連載コラム「海外小説ガイド」を土台にしたブックガイドです。河出書房新社に「14歳の世渡り術」というシリーズがあり、その1冊としてぴったりの内容なので、再構成して1冊の本として出してもらうことになりました。  ただ、もともとの6人(越前敏弥、金原瑞人、三辺律子、白石朗、芹

「技能実習生」と言って人手不足の解消策とするのはいい加減に辞めよう

技能実習生の来日前借金問題がようやく調査された 問題があると指摘されながらも、毎年、増え続けているのが外国人の技能実習生だ。法務省の発表によると、2020年で約38万人の技能実習生が日本で働いている。在留資格別の外国人の構成でみると、永住者に続いて、2番目に大きな割合を占めている(約13%)。 技能実習制度は、開発途上国の経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を目的として、青壮年の労働者を一定期間産業界に受け入れ、産業上の技能等を実務経験を通して修得してもらう仕組みだ。

格言で学ぶラテン語#4

今日の花を摘み取れ。 Carpe diem. カルペ・ディエム   ホラーティウス、『詩集』(Carm.1.11) 山下太郎  日本でもよく知られたラテン語で、「カルペ・ディエム」とカタカナ表記されたり、「一期一会」と訳されることもあります。元々は恋愛をモチーフとしたホラーティウスの詩に出てくる言葉です。短い詩なのでその内容を訳で紹介しましょう。  この詩を貫くのは「今を楽しめ」というモチーフで、「カルペ・ディエム」もその文脈で理解することができます。ラテン語の直訳は「

テュルク諸語版『星の王子さま』蒐集活動のその後(キルギス語版とカシュカイ語版について少々)

今年の春くらいまで、『星の王子さま』の他言語版を集めるという活動にはかなり熱が入っていました。なんなら1月の「言語学フェス2022」というイベントはドンピシャのテーマでトークもやりましたしね。 が、最近はちょっと停滞気味になってきました。というのも、気づいてしまったのです。テュルク諸語版の蒐集については、今入手可能なものはだいたい手に入ってしまったことに。 とはいえ、関係者のご厚意もあって最近入手できたものもあったことはやはりここで言及しておきたいと思います。なんといって

バンコクからの旅日記 (42) 中国|成都|チベット人街を歩く

2018年10月の中国四川省成都。成都といえばチベット行きの中継地。 武候祠の近くにはチベット人街があります。 私の好きなエッセイスト、渡辺一枝さん(椎名誠氏夫人)のチベット関連の著書を愛読していたので成都に来たらここに行ってみたかったのです。 武候祠大通りを横断し、反対側にいくと三国志の世界から全く異なる雰囲気となる。 チベット独特の民芸品、装飾品を売るお店がずらっと並んでいます。渋い色目の中国古街には見られない黄色やオレンジ色がいっぱい。 成都からチベットへ向かう人

突然ベトナム語を始めることになった方へ

こんにちは。先日(カンボジアから日本に帰国した)友人から、「仕事で初級のベトナム語が必要になったが何から始めたらいいのか」と相談がありました。私は今はカンボジアに住んでいますが、2013年から2018年までの5年2ヶ月をベトナムのホーチミンで過ごしました。 もしかして、日本にベトナム人が増えたことから、日本在住の日本人でもベトナム語が急に必要になることがあるのかもしれません。 今までのベトナム語学習(約4年)を思い出してみて、気づいたこと、こうすれば良かったと思うことをこの

ある政治家の死と、その遺志 現代の病「孤独」との戦いについて

2016年6月16日、イギリスでひとりの下院議員が銃殺された。 41歳で亡くなったジョー・コックス氏は労働党の次代を担うホープであり、2人の幼い子の母親だった。 欧州連合(EU)残留を問う国民投票の直前の悲劇に世界の目が集まり、日本のメディアでも広く報道された。ロンドンに赴任して間もなかった私もその一端に携わった。 暗殺直前の地元紙によるインタビューと悲報の第一報、Wikipediaのリンクを置いておく。 社会の多様性を重視するコックス氏は、EU残留派だった。 凶行におよ

【50年周年記念】1972年発表!ブラジルの名盤レコード10枚

1972年、ブラジルは軍事政権下にありました。 50年代後半の経済成長と共に生まれたボサノヴァも、国に陰りが見え始めた頃に人気が衰退します。 そして64年に軍事政権が成立してから、軍部に反発する人は拷問され、市民権が奪われることもありました。 当然ながら、アーティストも自由に発言ができなくなってしまいます。 こうした背景から生まれたMPB(ムジカ・ポピュラー・ブラジレイラ)は、軍政だけでなく、格差の激しいブラジルの現実に目を向けたプロテスト的な役割を持ちながら人気を高めてい

「概説」を書くのってマジで難しいからさ

明石書店の「エリアスタディーズ」シリーズは密かな(密かでもないな)ファンでして、特に自分が気になった国や地域が1冊に取り上げられていたら、できるだけ目を通すようにしています。とはいえ、すぐに買えるわけでもなかったりするので、図書館の助けを借りたりするわけですが。 ということで、昨日とある原稿にめどをつけたので、次の仕事に取り掛かる前の気分転換と言いながら今日も市立図書館に行ってきました。例によって語学の棚、また世界各国の地域事情の棚を中心に見て回ります。 エリアスタディー

朝花夕拾。人民文学出版社が経営する北京のカフェの文豪カフェラテを飲みたい

新しくできた面白いカフェを見つけました。今日は中国の歴史ある国有出版社の人民文学出版社が運営しているカフェの「朝花夕拾」を紹介します。 店のフルネームは「朝花夕拾文創咖啡供销社」。朝花夕拾というのは魯迅の有名なエッセイ集で人民文学出版者が発行した本です。文創というのは簡単にいえば独自デザインのグッズがたくさん置いてあるお店となります。また、供销社は購買販売協同組合という意味で、言い方自体は改革開放前の時代を感じられます。 ↑住所も人民文学出版社と一致しています。 ↑店自

バンコクからの旅日記 (27) インド|ジャイプールの旧市街にて

2018年12月のインド。ジャイプールのランドマーク「風の宮殿」へ。 900以上の窓を持つ、王様の後宮の女性たちの居所だった場所。ひとつの窓に一人の女性。過ごしやすいように風が抜けるように設計されているため風の宮殿と言われるそうです。 とても綺麗な他に類を見ないタイプの建造物ですね。私がジャイプールと聞いて知っていたのは唯一この宮殿でした。 これだけ見ればもう終わりかと思っていたら、いやいや見どころが多い町ですね、ここは。 風の宮殿の裏手には世界遺産がありました。それがジ