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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2024年3月の記事一覧

旅行者の話しかけられやすさとアカデミアの神聖性について (留学日記#2)

世間の噂に反して、実はイギリスの飯は結構美味い。 ただ、やみくもに値が張る。 例えば、コーヒーと菓子パンで1500円なんてザラだし、ハンバーガー1つに3000円取られて驚かされたりもする。 よく知られている通り、イタリアの飯は非常に美味い。 それなのに、驚くほど安い。 大人の顔をまるごと隠せるくらいの大きなピッツァが、800円で食べられたりするし、エスプレッソ1杯が1€コインで飲めるのは10年以上前から変わっていない。 イギリスでは、よくわからないアンケートか、物乞いに話

世界の多様さに目をみはること。それが外国語学習の一番に楽しいことではないでしょうか。

この文章は自分が大学に入学して第二外国語を選ぶ際の手引きに載っていました。後々分かることなのですが、この文章は私の大学時代の恩師である先生が書かれていたものでした。 自分の大学では、第一外国語として「英語」、第二外国語として、「ドイツ語」、「フランス語」、「中国語」、「韓国語」の中から1つを選択しなければなりませんでした。 個人的には小中とサッカーをやっていたこともあり、「サッカーはドイツが強い」という印象を持っていました。また、当時はスポーツ関係の仕事に就きたいと考えて

セネガル新大統領は「ジョマイ」・ファイさんです ―セネガルの人名のカタカナ表記のしかた―

先日投票が行われたセネガル大統領選挙では、野党候補のBassirou Diomaye Faye氏が当選し、12年ぶりの政権交代が決定しました。 さて、この方のお名前、なんと発音するのが正解でしょう? 正解は「バシル・ジョマイ・ファイ」さんです。 ミドルネームをもう一つつけてBassirou Diomaye Diakhar Faye(バシル・ジョマイ・「ジャハル」・ファイ)ということもあるようですね。 いずれにせよ「ファイ」が苗字なので、これから正式には「ファイ大統領」と呼ば

理想の文化人類学の概説書とは何だろうか?(前半)

文化人類学の概説書は、近年数多く出版されている。今回『東南アジアで学ぶ文化人類学』(以下、本書)を作成することになり、これらの概説書(入門書・教科書)を読み比べ、理想の概説書とはどういうものかを考えてきた。 私にとってその答えは、2点に集約できる。 1点目は、自分にとって身近ではない文化圏に生きる人びとの生活について知ることを通して、自分が抱いていた常識を覆す視点を身につけられる教科書である。 以前、私は人類学におけるフィールドとは、人類学者の佐藤知久の言葉を引き「〈な

バルト三国⽂芸事情研修・視察ツアーの主観的レポート

共和国 下平尾 直 ――というタイトルそのままのことを以下に記すわけですが、わたしにはロハの原稿ほど⻑く書いてしまうという悪癖があり、そしてまた今回も書きはじめると蜿蜒と続けられるほどの情報量を抱えてしまいました。とりわけバルト三国についてはこのかん国際的な緊張関係が増幅しつつありますが、ここでは「版元⽇誌」にふさわしい話題に限定し、⼿短かに参ります。  *  上掲のツアーに参加しませんか、というお誘いのメールをリトアニア⼤使館のかたからいただいたのは、年明け早々の 1

海外に持っていくなら最強ダイソーの商品5選!

海外に仕事に行く時に持っておくものをご紹介します。 ここ何年かの間に海外でエンターテイメントの仕事をしている僕目線でお伝えするので偏っていると思いますが、参考になると思ったところだけお持ち帰りくださいませ! 行く国によるとは思いますが、これを最初に言わせてください。 日本の商品は最強。 マジです。 海外の商品でも物凄く使えるものはたくさんあります。 しかし日本は安くてしっかりしていること有名です。 はい!ダイソー最強。 日本以外にダイソーがあり日本の商品は買う

カフェバグダッド20周年&"ゼロ"プロパガンダン展10周年・合同イベント

節目の年の春に、それぞれの活動の歩みを振り返りながら、中東のカフェとプロパガンダの未来を展望しようと、会期5日間のイベント「カフェとプロパガンダ」を企画しました。東京・荻窪のエレキギターショップのショールームを使った会場が、中東とプロパガンダについてのカフェに変わります。トークイベントには今、旬の中東ウォッチャーが登場。中東菓子バクラヴァ付きの回もあります。トーク以外の時間は、ドリンクを注文していただき、カフェとしてご利用できます。見る・聞く・食べる中東の世界で、満ちたりたひ

オリッサはメシウマ州だ #カレーだいしゅき手記

今回のインド旅でコルカタの次に訪れたのはオリッサ州プリーだった。プリーは海辺の古い街でジャガンナート寺院で有名な古都だ。オリッサには一週間くらいしかいなかったけど基本的にメシうまだった、ということを伝えたい。 オリッサの食については以前1ヶ月調査したときに色々作ったのだが実際に現地で食べた食事は思った以上に美味しかった。 夜行バスでコルカタから一晩でたどり着き、降りた瞬間に耳元で「オートリキシャ?」って日本語のイントネーションで言ってきたやつがいて笑いそうになった。悪魔の

湖畔篆刻閑話 #1「中国での書の復権」和田廣幸

ヘッダー画像:無為 2019年 道路曰遠侍前曰希秋風曰起吾志曰悲  四半世紀に及ぶ北京での生活に終止符を打ち、日本の琵琶湖畔のこの地に移って来て、早いもので既に5年が経とうとしています。 「有山有水」(yǒu shān yǒu shuǐ:山あり水あり)のこの地は、中国の首都・北京での「生き馬の目を抜く」ような日々の生活とは打って変わり、穏やかな自然にすっぽりと抱かれた、まさに陶淵明の「帰去来辞」さながらの生活といえるでしょう。  篆刻の聖地ともいえる「西泠印社」は、昨年建

【新疆ウイグル旅行記】#4ウルムチ路地裏百景

2023年12月31日、宿泊していたトルファン大飯店からの朝日を撮影。2泊したトルファンの街を離れ、ウルムチへ向かう日である。 一つ前の記事(トルファングルメ編)はこちら。 ウルムチ駅私を乗せた动车はほぼ定刻通り、ウルムチ駅に到着。駅出口には等間隔で地元警官が並び、露骨に厳戒態勢だった。駅を出ると乾燥地帯のトルファンとは打って変わって雪国であった。ウルムチ駅は郊外に建設された新駅のため、市街地まで移動のため、バス停を探した。 「生粋のウルムチ人は冷たい」というブログ記事を

北大の先生が選んだ本(29)フィンランド・北欧に出会う本(田中佑実先生)

三省堂書店札幌店様とのコラボレーションコーナー「北大の先生が選んだ本」が現在展開中です。テーマは「フィンランド・北欧に出会う本」、選者は北海道大学大学院文学研究院文化人類学研究室助教の田中佑実先生です。本記事では、三省堂書店札幌店様にて配布中の選書リストを公開します。みなさまぜひ足をお運びください! ★三省堂書店札幌店様の紹介ページ: 「北大の先生が選んだ本」第29弾更新しました! | 三省堂書店 (books-sanseido.co.jp) *「品切れ」などの在庫状況は20

カレーなる国際交流会(バングラディシュ編)に参加してみた

千葉県流山市在住のイラストレーター・ノグチノブコです。 先日、我が地元・流山で行われたイベント「カレーなる国際交流・第一回」に参加してきました。国際交流ってなんだ?状態で参加しましたが、とても面白かったのでマンガとレポートにしてみました。 ということで、ここからマンガが続きます。 カレーなる国際交流に参加してみた(マンガ編)より詳しく・文章と写真で解説編「カレーなる国際交流」 会場は私の地元である流山市の公共施設で行われました。いつも知っている場所だけど今日はエスニックの

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編

この記事の要約この記事は長い(約40000字)のではじめに要約を書いておきます。 以前、山川出版社の新しい世界史教科書の用語がどのように変化したのか記事を書いたことがあった。しかし、必ずしも単純に「増えた」「減った」と言えないのではないかという事実がみえてきた。 そこで今回は帝国書院の世界史探究教科書の収録語と、山川の収録語を比較することで、山川が収録しなかった用語とは何かをあぶり出してみることとした。 これによって、世界史の教科書にも多様な編集方針があり、その背後には

【ニッポンの世界史】#31 学習参考書と世界史:なぜ世界史は「暗記地獄」化したのか?

 これまで私たちは、「ニッポンの世界史」は、アカデミズムや学習指導要領のような“公式”世界史と、それらと対抗関係にある“非公式” 世界史の綱引きによって形成されてきた経緯をみてきました。  “公式”の語りを、“非公式”の語りが突き崩すといっても、両者の間に厚い壁があったわけではありません。  ときに、ひとりの書き手が、両者を行ったり来たりすることもみられました。  歴史学者の土井正興(1924〜1993)がそれにあたります。 土井正興: スパルタクスの研究者から教科書執