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【読生感想文】 コンビニ人間 【村田沙耶香】

なにこれおもろ笑

いやまぁタイトルからしてね、
明るく楽しくポップなんて想像はしなかったけどさ。

社会全体の多数派を「普通」とするなら、
「普通」ではない主人公が、
コンビニを通して社会や人間そのものに対する疑問を感じつつ、
周囲の人間が望む通りの人間になろうと葛藤する。
簡単に言うとこういう話なわけなんやけど、、、

ごく一般的な言動に対して、
不気味なほど冷静に淡々と違和感を持つ主人公に、
何度もハッとさせられた。

これまでのエンタメ作品では、
マッドサイエンティストとかサイコパス的な犯罪者とか、
何かに秀でていて生活にも困窮する様子は無く、
周囲を上手く誤魔化し紛れながら何かしらの問題行動を起こしていく。
それが徐々に明らかになっていくといった作品が多かったと思う。

けど本書の主人公は、
特別な才能は無く、生活が困窮しているわけでもなく、
現代社会では底辺と呼ばれてしまうであろう、
ありふれた人物でありふれた生活レベル。

これといった目的は無いというのがまたゾッとする。
周囲の人間を喜ばせようとする姿勢はあり、
動機や本音は明らかでなくとも、
誰もが理解可能な行動を取れば認めてもらえる。
それだけのために生きていく。

就職しないなんておかしい。
恋愛しないなんておかしい。
結婚しないなんて。
子供はまだ?

サイレントマジョリティがいかに身近なものであるか、
その同調圧力がいかに強く恐ろしく歪なものであるか、
嫌と言うほど再認識させられる。

主人公の心理描写もすごくおもしろかったけど、
ストーリーのおおまかな流れもぶっ飛んでて面白かった。

「いや、そうはならんやろ笑」という展開が、
この主人公ならこうなっちゃうかと笑

終わり方もスゲー。
これはハッピーなの?バッドなの?
その捉え方次第で、自分がマジョリティなのかマイノリティなのか、
判別出来てしまうのかと思うと、どちらとも言い難い。
それも含めてめっちゃ斬新な読書体験が出来ましたって感じですわ笑


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