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2021年9月の色々(YUKI/ムーンライト・シャドウ/ナードマグネット×SonoSheet/ゴッドタン オンラインライブ)

9/4 YUKI concert tour “Terminal G” 2021@福岡サンパレス

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ソロ19年を迎えたYUKI、2年ぶりの全国ツアー。春のアルバム『Terminal』はかなり多様な楽曲が揃ったアルバムでこれをツアーとしてどうまとめるのか気になるところだったが、どこか不安定な昨年からの世界もまるごと包み込むようなスケールでショーアップしていた。生活に転がる感情、MCでもあったような「忘れてしまうこと、忘れたくないこと」を記した歌たちがイメージを拡張しながら迫ってくる幻想的な時間だった。まるで演劇公演かのようなセット、YUKIの衣装はもちろんのこと舞台装置や楽器配置までも暗転のたびに切り替わりその心模様を表現し尽くしていた。特に別の世界からの電話、「ご・く・ら・くTerminal」前に用意されたチェックインゲートと空に架かる梯子の存在は死を意識せざるを得ない今を暗に示しているかのよう。

幕間の映像も前衛的で、観たことあるような演出が一つもないような新鮮味があって。オマージュとかサンプリングの面白さも感じれるような年頃ではあるけど、未だにこの"観た事ねえ"感動というのはガツンとくる。巨大な窓枠が現れて耽美な一室の時間を生み出した「うれしくって抱き合うよ」や「2人のストーリー」(影が美しかった!)、途方もないスケール感で優雅なメロディをもたらした「STARMANN」、ブチ抜けた高揚を投下する「ランデヴー」など過去曲の配置も絶妙だった。とはいえ、それに匹敵する最新曲の強さ。「Baby,It's you」のしなやかな泣きの旋律は何年も歌い継がれていきそうなきらめきがあったし、レトロポップな「ベイビーベイビー」、ラストを荘厳に締めた「灯」「はらはらと」などひと時も目を離せないステージだった。



ムーンライト・シャドウ

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小松菜奈の長編初単独主演映画。その冠に引っ張られることなく、メジャー感を一切排した仕上がりだった。いくらでもドラマチックに盛りつけできそうな展開をしていく物語なのだがその映し出し方はどこまでも幻想的。超越的な事象までも、この温度感ならばありえるかもしれない、、というところに着地させていて唸った。登場人物とともに鑑賞者までもぼんやりと夢心地に誘われ、彼女たちの体験をそのまま体験していくような時間があった。画面の中と外が融解し、同じタイミングで目が覚めるような。不思議な体験。

マレーシアの監督による映像は現代日本をもどこか別世界のように捉えたルックばかりで凄く新鮮だった。ヴィレバンがヴィレバンに見えなかったもんな。そして佐藤緋美の役者としての魅力たるや。とても自然体だけど目が離せない。初登場シーンからもうすでに妙な雰囲気を纏ってはいたのだけど、突然訪れるダンスシーンの衝撃度が凄まじかった(結果としてそのダンスに泣かされることになるのだけど)ひょこひょことした歩き姿に哀愁が滲んでるし、もごもごとした喋り方も何だかキュートで、今後が楽しみすぎる。


9/24 ナードマグネット  そうふくしゅうツアー「この恋は呪い/MISS YOU」編(ゲスト:SonoSheet)

新ベーシスト・さえこの加入に伴い、全ての持ち曲を演奏できるようにするための全アルバム収録曲を披露していくツアーシリーズ。7月の2ndアルバム『透明になったあなたへ』、8月の1stアルバム『CRAZY,STUPID,LOVE』に続き、ミニアルバム2枚分をそうふくしゅうするのが今回。ツアー全体ではセミファイナルにあたる福岡公演、ゲストは宇都宮の3ピースバンドSonoSheet。中2の子供部屋で生まれた根源的なパンクロックへの憧憬がそのまま形になったような、汗だくで青々しい演奏でだいぶ気持ち良かった。渡辺裕貴(Vo/Ba)は最近彼女が出来たとのことで、元カノとのことを歌った曲も追憶を吐き飛ばすようなエナジーがあったように思う。懐かしさのあるサウンドだが、気持ちと最高のメロディがあればいつだって最新の音楽になるという証明。

そしてナードマグネット、最初の喋りで須田亮太(Vo/Gt)が最近彼女と別れたことを話し、頑張るぞー!という叫びとともに始まった今回のライブ。内容がまさしく、うじうじとした気持ちを痛快なパワーポップに乗せていた時期の楽曲ばかりなので気持ちがのりまくり。そもそもアンセム揃いな2作だが、この週末でバンドを脱退するSonoSheetのギタリストに向けた「グッバイ」は際立ってハイライトだったように思う。HOLIDAYS OF SEVENTEENの三浦太郎と共作した「MISS YOU」の披露前には、さえこ加入にHO17が大きく関わっているエピソードもあり、バンドにしても、個人にしても、生き様が大きく投影されるバンドなのだな、と実感。まるで管理職のような安定感で屋台骨を支える秀村さんのドラミングにだって、ギターのふじーさんが「pluto」の2A最初で見せたダンスだって、そこには確かな生き様が刻まれていた。



ゴッドタン オンラインライブ お笑いを存分に語りまくれるBAR(10/3まで配信)

ゴッドタンに限った話ではないのだが、9月はテレビ東京の番組のオンラインイベントが充実していた。架空の番組対抗バラエティの枠組みで裏笑いを作り続けた「勇者ああああ」は、「ばちばちエレキテる」の復活という、誰の思いも背負ってない絶妙なイジり所をつついていた。そして「マヂカルクリエイターズ」の擬人化アイドルイベントはどうしようもない混沌が渦巻いていて、1本記事でも書こうかなと思ったけれど説明なんて何も意味を為さないくらいに謎な作品だったのでやめた。オズワルド畠中が歌い上げる中で映った全てのショットが奇妙すぎて、間違えて絶頂しそうになってしまった。

そしてゴッドタン。テレ東の悪ふざけ癖が前述の2番組に移った感も否めない中、“お笑いを語る“方向で番組を組んだのが今の佐久間さんっぽなぁと。正直、芸人がお笑い論を語るタイプの番組、あると思うのだけどあれがどうにも肌に合わなくて。論じるんじゃなくてやっぱり体現してほしいし、勇者とマヂクリが無茶苦茶の中に見える芸人の生き様でギリギリで観れるラインを作り上げていると思っているので。熱い芸人論は意識高い系やらにうまく回収されてビジネスとして利用されかねない、と妙な邪推をしてしまうのだ。


だけども、今回はゴッドタンメンバーに加え、飯塚悟志(東京03)、田中卓志(アンガールズ)、岩井勇気(ハライチ)が彼らのお笑い芸人になって以降の青春を振り返るような内容だったのですごくグッとくる場面も多く、”ゆったり観れる熱さ“があったように思う。東京03のオールスター感謝祭事件における新たな重要人物の発覚や、おぎやはぎのM-1グランプリの直前直後の話など、何度でも語り直していけるようなヒリヒリとした話ばかりだった。最終的にはある人物への悪質な悪ふざけもたっぷりあって、ゴッドタンの芯と”語る“ことすらもエンタメと出来る番組としての風格を感じる配信だった。


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