ゆるふわ構造化ヒアリング 実践編

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プランナーの柴田です。

前回の基本編では、ヒアリングもちゃんと全体像や理由を考えてやらないとダメだよ、という観念的な話をしました。今回は実際にどのように考えてヒアリングしていければいいのかをご紹介したいと思います。今回の方法のポイントは2つです

 ・話を聞きながらメモ書き/ 脳内処理レベルで整理できる
 ・全体像を意識しながら要素に対する根拠や目的をインタビューできる

ヒアリングが難しい理由の一つが、話し手側は必ずしも情報を整理できていない、むしろ提案を依頼する場合は「何がわからないかわからない」という状態が多いということです。既存のロジックツリーを悠長に作っていては間に合わないので、スピーディーかつ必要最低限の関係性で構造化していくことが求められます。

今回ご紹介するのは手軽に最低限の情報を漏らさないためのヒアリング方法だと思ってください。しかし、この2点が抑えたヒアリングができるだけでその後の動きやすさがかなり変わってくるかと思います。

---構造化ヒアリング 基本の流れ---

1. まずは最上目的をヒアリング

目的は最初に掴んでください。企画においては予算や採用言語よりもよっぽど重要です。目的をつかめていないヒアリングはその時点で失敗です。

2.最上目的との関係が「なぜなら」は上、「ゆえに」は下に置く

ヒアリングした要素を全て最上目的との関係性で捉えてください。例えば「入会後2週間で離脱率が激増した」という情報は「継続率を高めたい」という最上目的に対して理由(なぜなら)となる関係なので、上に置きます。
(逆だと「離脱率が増えた なぜなら 継続率を高めたいから」と不自然)

3.要素をザクザク置いていき、因果関係があれば線を足す

ここからは同じ調子でザクザク置いていきます。要素は最上目的との上下関係が明確であれば、他との関係はある程度適当で大丈夫です。「読み込みに時間がかかる ゆえに サクサク感が必要だと思う」など関係性が明確そうな要素同士は最上目的とは別に線をつなぎましょう。クライアントの「〜だと思う」といった仮説レベルの要素同士は弱い線でつなぎます。

4. 線で繋がりにくいツッコミポイントを見つける

要素同士をつなげていくうちに最上目的と線がつなぎにくいところが出てきます。ここがツッコミどころです。これを持ち帰るとなぜ必要なのかがわからなくなり提案や企画に使えなくなります

5.仮説でツッコミを入れる

掲示板機能が欲しいという要望であれば「ユーザー同士の交流を促すことで再来訪の理由づくりをして継続率を高める意図ですか?」といった形で、最上目的との間に無理やり繋げるための仮説を立てて質問してみましょう。仮説を入れて質問すると、最上目的との関係性に焦点が向くので話題が逸れにくいです。

6.ツッコミから深掘りヒアリング

ツッコミが正しければ詳細を聞き出し、間違ってたようなら訂正してもらいましょう。「なぜそれが必要だと考えたのか」を探ると、企業使命から上司の思いつきまで背景に隠れていた様々な情報が聞き出せます。すると相手の判断基準や企業体質、その要望を叶えるべきか否かまで見えてくるのです。

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以上が基本的な流れです。

言うなればこの構造化ヒアリングは、全ての要素を最上目的との関係性を中心にゆるく構造化しながらヒアリングするやり方です。各要素の根拠(なぜならば)、最上目的との関係性、話の全体像がゆるくでも拾えるので、提案や企画を考える時に活用しやすくなります。

このやり方のもう一つの利点は「最上目的を見失わないこと」にあります。アプリ開発を依頼された場合の最適提案は、マクロを貼り付けたスプレッドシートで足りることもあれば実店舗や紙媒体を含めたブランディングが必要なこともあります。目先の要望に見失いがちですが、最上目的さえ達成できれば手段は二の次なのです。最上目的を中心軸を据えることで、目的達成にどの程度直接的に関係する要素なのかが見えてきます。

逆に、最上目的と繋がらないような関係性が低い情報も発見できます。この手の要望は、社内政治や担当者の思いつきなどユーザーの利益とは別の理由で決定されたことが多いです。ユーザー利益のためなのか政治のためなのか、少なくとも自覚的であることでバランスや対策を取りやすくすることができます


それでも難しい人向けの超簡易版

さて、「これでも十分ハードル高いわ!!」という方もいらっしゃるかもしれません。最上目的との関係性を抑えればOKなので、もっとシンプルに考えることもできます。

---構造化ヒアリング 超簡易版の流れ---

1.別の要素が出てきたらリセット、最上目的との関係性だけを考えて情報を集める

基本的なやり方は2までと同じです。違うのは、別の要素が出てきたときは全てリセットして最上目的との関係性だけで考え直すところです。すると、その時点で考える必要があるのは「最上目的との関係はなぜならorゆえにのどちらなのか」「最上目的と直接つながるか、補完が必要か」の2点だけになり、かなりシンプルにできます。このように、常に最上目的との関係性がわかる形式で情報を集めてください。

2.ヒアリング後に最上目的を中心に構造化

ヒアリングした後に全ての情報を最上目的を中心点にまとめて構造化します。全ての情報に最上目的が紐づいているので簡単に整理できるはずです。ヒアリング時には見えてこなかった要素同士の関係性や全体像を考察するのに役立ちます。

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こちらはピラミッドの部分建築のイメージ。ヒアリングしながらの構造化がほとんど必要ないので、話を聞くことに注力できます。

どちらの方法も最終的には目的を中心としたWhyツリーとHowツリーをゆるくした形で構造化することが目的です。可能ならヒアリングしながら、難しければヒアリング後に構造化できる形で要素を聞き出しましょう。

そしてこの形でまとめて整理していくと、基本編で紹介したような構造化された状態になるわけです。

実際はここまで綺麗にはなりませんし、する必要もありません。構造化の目的はあくまで提案や企画を考える際の土台を整えることなのです。全体像を理解し、各要素の関係性や根拠を把握できるレベルで試してみてください。


以上が実践編になります。もう少し具体的な情報を聞き出すテクニックやイメージを固める方法などについても、機会があれば記事にまとめたいと思います。

ありがとうございました。


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しばた / Fenrir Inc.

フェンリル株式会社のデザイン部所属のプランナー。主にアプリやWebサービスの企画などを担当。 柴犬が好きだが飼ってないし描くこともできない。趣味は自転車、旅行、漫画、睡眠。 論理的な考え方が好きだが、単純に自分の直感が頼りなさすぎるだけのような気もしている。

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フェンリルでデザインに携わるスタッフが運営するブログです。
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