【短編小説】出遅れスタートライン
アプローチを一歩踏み出した瞬間、ピンを何本倒せるかはだいたい予想がつく。球が手から離れるまでに少し修正できるものの、最初のほんの数動作でほぼ投球結果が予測できるのがボウリングだ。投球動作の最序盤でその一投の結果が分かるのと同様に、一、二フレーム目でストライクが取れなかったらそのゲームのスコアもほぼ見通せてしまう。序盤で大したスコアにならないことが分かってしまうと、その後最終フレームまで投げ続けるのがひどく無駄な時間に思える。物事は最初が肝心というのなら、投げ始めの動作と序盤