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ずっと『戦争反対』って言いたかっただけなんだ

約20年くらい前の話である。

その頃、親友や元彼が、相次いで世界の危険地帯に出かけて行った。

ここでいう危険地帯とは、他国同士で戦争をしていたり、内戦していたり、治安が極めて悪い地域をさす。

親友は仕事で行っていたが、元彼はそうではなかった。

でも、元彼が危険地帯に行っていた理由を正確に説明するのは、わたしには難しい。

わたしは元彼が危険地帯に行くことに反対はしていなかったけれど、100%理解できてるわけではなかった。

✔️危険地帯に興味があった

✔️自分の目で危険地帯のほんとうの姿を見てみたかった

✔️日本では不眠や鬱が酷かったが、危険地帯では熟睡し鬱にもならなかった

という理由から、ここにとても書けないようなとんでもない理由まであった。

また、世間的には

✅自分さがしの旅

✅若者の無謀な冒険

✅平和ボケした日本人

などとも言われていただろう。

でも、それらすべてを書き出しても、元彼が危険地帯に行く理由は説明しきれないと思う。

そんなある日、元彼から電話がきて、イランスーダンのダルフールに入国する計画を聞かされた。

当時、イランの隣国イラクでは日本人が拉致され殺害されていたし、アフリカにあるスーダンのダルフールは、地球上でもっとも治安が悪い地域などと言われ、殺人やレイプの発生率が異常な数値にのぼっていた。

「できるだけ旅の間にブログを書くから、読んでほしい」

ちなみに、その約半年前に、彼から一方的にふられ、彼はわたしより約10歳年下の女性の元へいった。その女性とはすぐに別れてしまったらしいが。それなのに、俺様の生き様を自分がふった元彼女へリアルタイムで読ませたかったのだ。ちょっと、いや、かなり身勝手なヤツだった(笑)。でも、興味深く全部読んだ。

そこで気がついたことがある。イラクはアメリカなどが絡んでいたから大々的に日本でも報道されていた。一方、スーダンのダルフールのニュースは、たまに小さく報道されていたが、ほとんど報道は皆無といってよかった。

この記事を読んで、アフリカにスーダンって国があることを初めて知った人もいるかもしれない。

スーダンのダルフール紛争は、数十万人も殺され、家や日常生活や仕事や教育を失った人は、その数倍とも数十倍ともいわれているのに、日本ではほとんど報道されていないのだ。

すごい温度差。

それだけでなく当時の日本では、医療支援や会社の命令以外の理由で危険地帯に入国し、拉致されたり、殺されたりした人にまで、『自己責任』という言葉が飛び交っていた。それは、危険地帯の実情を知らせようとするジャーナリストにまで容赦なく向けられた。

だから、SNSでも、日常会話でも、『報道の自由』『知る権利』『戦争反対』って言いにくい空気が生まれていたと思う。

わたしも言わないように、書かないようにしていた。そうでなければ、日本ではなにか特殊な思想をもった人として奇異な目で見られたからだ。

ところが、今回のウクライナの報道は、日本でも活発に行われている。

それで、あの当時のもどかしさを取り戻すように、ウクライナの報道を文章でも動画でも片っぱしから見まくったら、気分が重くなりすぎた。

あんなに『世界の戦争・内戦・紛争などを日本はもっとちゃんと報道すべき』と思っていたのに、実際そうなると気分が滅入りすぎたのだ。

また、ちょっと前まで、戦争ジャーナリストにまで『自己責任』の大合唱をしていた日本人が、翻意して『戦争反対』を言い、まったく同じジャーナリストを応援している。

それは、とっても良い変化だと思うのだけれど、政府の対応やその報道の仕方によって、世論って180°変わっちゃうのだ。

それって逆にいえば、政府の対応やその報道によって、また180°あっさり変わっちゃう危険性もはらんでいる

また、『なぜ、欧米人や日本人はウクライナ人だけ助けるの?  ロヒンギャやミャンマー人やシリアやダルフールに住んでる人など、世界中で虐げられて、助けを求めている人はたくさんいるのに?』って意見があって、わたしもほんとうに『それな』って同じことを思っていた。

一人一人が大切な命なのにね。救出する優先順位なんて存在しちゃいけないのにね。

でも、たぶん、日本人の大半は優先順位をつけているんじゃなくて、報道の多さと戦争反対の声の多さが比例しているんだと思う。知らないだけなんだ。だから、無知は罪だとも思う。

わたしもその一人だ。

でも、これだけはハッキリと言える。ただただ『戦争反対』って、ずっと、ずーっと、言いたかっただけなんだ。

だから、ウクライナの報道と同じように、世界中で虐げられている人を報道しよう。悩みを聞いてあげよう。なにを求めているか知ろう。

ウクライナ人だけじゃなく、日本に来たがっている避難民や難民を受け入れようと努力しよう。

とにもかくにも、戦争は反対だ。

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