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映画「新聞記者」レビュー

映画「新聞記者」のあらすじは、情報操作する内閣府の職員とそれを暴こうとする新聞記者の話。

私は、内閣府と新聞社で働いた経験があります。現場のリアルな空気感を知る者としては、率直にいって「ちょっと、どうなのかな?」という感想でした。

新聞社の雰囲気は、まあこんなものかなと思いましたが、内閣府の描かれ方が少々ひどい(笑)

映画では、窓もない暗い静かな閉鎖空間(まるでCIAかMI6?)で黙々と働く様子が描かれていました。が、私が働いていた内閣府は、窓から国会議事堂が見え、しばしば街宣車の大音量も聞こえてくるオープンな環境。

映画では陰湿で腹の読めない上司が登場しますが、私の内閣府の上司は「あなたは、どうしてそんなにバカでアホでマヌケでトンマなんですか!」と、しばしば罵倒。1年足らずで部下を異動させる、明快でわかりやすいパワハラ上司でした(笑)

ストーリーに沿った演出なのでしょうが、逆にリアリティを損なっているのでは、と感じました。

役者に関して、松坂桃李さんは安定の良い演技と感じましたが、主演女優さんの演技がなんとなく腑に落ちない。この違和感はなんだろうと調べてみたところ、なんと韓国の女優さん(シム・ウンギョンさん)でした。

韓国人とはまったく気づかなかった!というほど日本語は問題なく流暢なのですが、微妙に引っかかったのがセリフの間と抑揚。間が短く、抑揚が少ないため、セリフがどこかかるく棒読みのような印象を私は受けました。

時の政権を真正面から批判する内容の作品のため、オファーした女優さんに逃げられた、キャリアに反政府カラーがつくことを日本の女優は嫌がったため韓国の女優さんになった、という情報がネットに載っていましたが、真偽のほどはわかりません。

ちょっと驚いたのは、この女優さんが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞されていること。そうか、プロの眼から見るとあれこそ素晴らしい演技なのだ、私の目は節穴もいいところだ、素人はこれだから困る、と恥じ入った次第です。

ちなみに、松坂桃李さんも最優秀主演男優賞を受賞されており、仕事と良心の呵責の狭間で揺れ動く微妙な心理をナチュラルに演じられていたなと、こちらは納得でした。

血湧き肉躍るような内容の映画ではありませんが、興味を持たれた方は、どうぞ。

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