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マクロ経済

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日銀の政策転換と物価の展望

日銀の政策転換と物価の展望

日本銀行が、2024.03.19 に金融政策を大きく転換しました。(*1)
この政策転換が妥当だったのか、今後の物価の展望について、有識者の言説などを基に、考えてみます。

僕自身は、物価目標を安定的・持続的に達成する前の金融政策転換は、すべきでないと考えています。賃金上昇が実質消費の拡大につながり、価格転嫁や投資を促す好循環に至っていない、と考えているからです。

1.見切り発車の金融政策転換2

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長期国債買入れ予定額の変化

長期国債買入れ予定額の変化

日銀の金融政策が、2024年3月19日に大きく変更されました。
黒田東彦日銀の枠組みからの卒業(テクノクラート側が、政府・日銀の共同宣言以外は、好きにやります宣言)だと受け止めました。

色々と言いたいことはありますが、投資家の方から「上限を随分と減らしている」コメントもらったので、実際の値をチェック。

長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年4~6月)
https://w

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日曜討論2024.03.17

日曜討論2024.03.17

日曜討論で日本経済に特に重要だと思われる内容(片岡剛士さんのご発言)をピックアップしてまとめました。

日曜討論:日本経済はいま 成長に何が必要か (2024年3月17日)
ご出演者 ※敬称略
齋藤 健 経済産業大臣
片岡 剛士 PwCコンサルティング チーフエコノミスト
黒澤 元国 埼玉県商工会議所連合会広域指導員
首藤 若菜 立教大学教授
野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

大事なポイント足下の

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どうなる?賃上げ

どうなる?賃上げ

2024年春闘の一次速報がでました。なんと、5.28%アップ、だそうです。
賃上げが企業優劣左右 連合1次集計5.28%、持続力競う - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA153WP0V10C24A3000000/

2024年の消費者物価指数(コア)を、2.4%と仮置き、
同じく所定内賃金(一般)を3.1%と仮置きしてグラフを作ってみまし

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デフレ脱却宣言?!

デフレ脱却宣言?!

報道(*1)によりますと、政府が「デフレ脱却」を宣言することを検討しているそうです。「デフレ脱却」を宣言することは適切なのか?について考えてみます。

僕個人としては、日本の経済指標(特に消費、賃金)は芳しくないため、拙速な「デフレ脱却宣言」や金融政策の引締方向への変更は、すべきでない、という考えです。

(*1) 政府が「デフレ脱却」表明を検討、賃上げや物価見極め判断-報道
https://ww

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日本の物価が、ややこしい

日本の物価が、ややこしい

日本では、消費者物価指数は日本銀行が目標とする 2%を超え続けています。
これに対して、
「物価目標を超えているのだから金融引締すべきだ!」という人もいれば、
「デフレ完全脱却はまだ。拡張的な金融政策・財政政策をすべきだ!」という人もいます。
日本の物価の現状と、金融政策・財政政策のあるべき姿とは、どのようなものなのでしょうか。

消費者物価指数の現状日本の消費者物価指数(2023年12月)は20

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日本の国家財政がヤバい!

日本の国家財政がヤバい!

「国の借金」が過去最大1980年台から言われ続けている日本の国家財政危機が、遂に、来るところまで来てしまいました。日本経済新聞の記事によりますと「国の借金」が過去最大になった、とのこと。

「国の借金」1286兆円、23年12月末時点 過去最大 - 日本経済新聞

念のため、一次情報も確認しましたが、1,286兆円、というのは本当らしいです。
国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和5年12月

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消費者物価指数2023年12月

消費者物価指数2023年12月

2023年12月の消費者物価指数(全国)が公表されました。

総合、コア、コアコア、欧米型コア対前年比(括弧内は前月数値)

+2.6 ( 2.8 )
+2.3 ( 2.5 )
+3.7 ( 3.8 )
+2.8 ( 2:7 )

財 +2.8 ( 3.3 )
サービス +2.3 ( 2.3 )

デフレ期とインフレ期の、コアCPIと、欧米型コアCPIの推移は以下の通りです。

ESPフォーキャス

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経済対策2023

経済対策2023

岸田文雄総理大臣が経済対策について検討するよう、指示を出したそうです。

令和5年9月25日 経済対策についての会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0925kaiken.html

令和5年10月の段階で、得られる情報を基に、今必要な経済政策を考えてみます。
政府

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日銀のYCC修正前後のYCの変化

日銀のYCC修正前後のYCの変化

2023.07.28 に日本銀行がYCCの運用修正を発表しました。

2022.12.20 にもYCCの修正をしており、約7ヵ月後に再度、修正が行われたことになります。

財務省のサイトから国債の金利情報を取得し、
2022(令和4)年12月のYCC修正前後と、
2023(令和5)年7月の修正前後の国債金利を1~20年ものまで、グラフにしてみました。

イールドカーブ全体が上振れしつつ、10年もの

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欧米型コアでも2.3%の物価上昇

欧米型コアでも2.3%の物価上昇

2023年3月の消費者物価指数の公表がありました。
前年比(%)は、
総合:+3.2%
コア(*1):+3.1%
コアコア(*2):+3.8%
欧米型コア(*3):+2.3%
2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)3月分及び2022年度(令和4年度)平均 (stat.go.jp)

*1 コア:生鮮食品を除く総合
*2 コアコア:生鮮食品及びエネルギーを除く総合
*3 欧米型

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偉大なセントラル・バンカーの教訓

偉大なセントラル・バンカーの教訓

2023年、メディアの報道では余り触れられていないようですが、偉大なセントラル・バンカーの講演(*1)がありました。

(*1) Seven Reflections on Japan's Economy, Monetary Policy, and the Bank of Japan
Speech at the Center on Japanese Economy and Business, Col

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デフレ/インフレ期の日銀成績評価

デフレ/インフレ期の日銀成績評価

先日の日曜討論(2023.02.19)で、岩田規久男元日銀副総裁が、デフレ期とインフレ期の消費者物価指数の平均値(消費税調整済)に言及されていました。
実際にデータを使って、デフレ期(1998~2012年)、インフレ期(2013~2019年)の消費者物価指数を見て、日銀の成績を評価してみたいと思います。

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ポイ

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2023.02.19日曜討論/リフレ派無双

2023.02.19日曜討論/リフレ派無双

日本経済、特に雇用環境に大きな影響を与える金融政策について、リフレ派の岩田規久男さん、片岡剛士さん、旧日銀に在籍されていた河村小百合さん、早川英男さんによる討論がありました。
日本経済に資する部分を文字起こしいたしました。
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日曜討論 日銀新体制へ 金融緩和の行方は
https://plus.nhk.jp/wat

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