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集英社文庫の公式アカウントです。 書籍紹介やコラム、裏話、連載小説などを発信していきます。 読書の秋!新連載ぞくぞくスタート! 集英社文庫公式サイト:https://bunko.shueisha.co.jp/

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  • 【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った

    5月21日に集英社文庫から岩井三四二さんの『鶴は戦火の空を舞った』が発売されます。 近代を舞台にした歴史時代小説の新地平! この日本の戦闘機パイロットの最初期を描いた、胸が熱くなる書き下ろし小説を期間限定特別先行公開。 全七章のうち第四章までを平日毎日更新でお届けしますのでお楽しみに!

  • 雌鶏/楡 周平

    昭和29年、ナイトクラブ「ニュー・サボイ」で働く貴美子は、上客の鬼頭から京都で占い師として生計を立てないかとスカウトを受ける。服役の過去を持つ貴美子は、そこを足掛かりに次々と成り上がり……。昭和の政治と金を描く大長編。

  • 彼女たちはヤバい/加藤元

    “女たらし”、”金なし”、”嘘だらけ”の中年男性・ケンに、執着する女性たち。 彼を自分だけのものにしようと、彼女たちは互いにけん制するものの、同じ男性に引っかかってしまっている分、妙な部分で気が合ってしまい……。

  • おかえり ~虹の橋からきた犬~/新堂冬樹

    飼い主の女性を守るため生まれ変わる一途な犬との物語。感動長編!

  • 下町やぶさか診療所5

    看護師知子の義母が癌のため死去。故郷島根の海へ散骨してほしいとの遺言を残した。大先生こと麟太郎が知子夫妻に同行すると知った居候の高校生麻世は……。ユーモア&人情小説。

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読書の秋。新連載ぞくぞくスタート!

まだまだ残暑が厳しい……というより猛暑まっただなかですが、暦の上ではもう秋。 そう、読書の秋です! というわけで、集英社文庫noteでは小説・エッセイの新連載をぞくぞ…

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7か月前
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【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 6/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 六  桜がちらほらと咲きはじめた三月二十八日、英彦たちは朝六時に滑走路前に並んでいた。 「用意はよいか」  飛行服に身をかため…

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【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 5/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 五  明けて大正二(一九一三)年の正月──。  英彦は亜希子とともに、年賀のため麻布の実家を訪れていた。 「しかし飛行機ちゅう…

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【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 4/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 四  陸軍は毎年秋に、国内の一カ所をえらんで特別大演習をおこなう。  大正元年秋の特別大演習は、天皇陛下を大元帥として埼玉県…

4

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 3/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務) 三 「このグノーム式発動機というのは、ちょっと変わった構造になっている」  その新しい教官は、訓練生たちをファルマン機の横に…

1

新刊のご案内【集英社文庫4月刊】

みなさんこんにちは。 集英社文庫noteです。 4月を迎え新生活が始まった方も多いのではないでしょうか? 環境の変化に戸惑うことも多いかもしれませんが、ピンチはチャン…

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【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 2/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 二  翌朝、英彦は所沢の飛行場にほど近い借家で目覚めると、布団の上で腹筋運動をはじめた。朝と寝る前の日課である。  百回を終…

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【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 1/岩井三四二

第一章 死と隣り合わせの任務 一  埼玉県の所沢には、陸軍が造った“日本初”の飛行場がある。  もともと芋畑だった二十三万坪の敷地の中に幅五十メートル、長さ四百…

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彼女たちはヤバい 終章/加藤元

【前回】  今日のお客は、飯塚あやという女性だった。 「いい雰囲気のお店ですね」  初対面の飯塚あやは、緊張気味の頬をゆるめながら言った。 「私、喫茶店が好きなん…

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2週間前
4

雌鶏 第六章 2/楡 周平

【前回】    4  小早川(こばやかわ)の告白を聞いて、貴美子(きみこ)は動揺した。  誕生の時期といい、手放してから養子にもらわれていくまでの経緯といい、鴨…

集英社文庫
2週間前
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おかえり ~虹の橋からきた犬~ 第十六話/新堂冬樹

【前回】  「細胞診の診断結果が出ました。小武蔵君は、悪性リンパ腫でした。腸にできる消化管型リンパ腫で、発生頻度の低い珍しいタイプの腫瘍です」 「東京犬猫医療セ…

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2週間前
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下町やぶさか診療所 5 第一章 散骨の思い・後/池永陽

【前回】  羽田空港を早朝の七時ちょっとの飛行機に乗り、麟太郎たちは出雲空港に向かった。  びびりまくるのではないかと心配されていた高史は窓際の席に座り、ガラス…

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2週間前
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『沖縄密約 ふたつの噓』文庫版書下ろし 追章 冒頭部分特別公開!

追章 欠  落  沖縄密約情報公開訴訟の劇的な一審判決から三回目の春を前に、西山啓子は七十八年の生涯を閉じた。骨髄腫だった。 「ちゃんと死なせなきゃ」  ことある…

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2週間前
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海路歴程 第八回<下>/花村萬月

.    *  未来永劫晴れていることは、自然天然には有り得ない。  貞親にとって自然天然とは、人の思惑など一切頓着しない超越だ。善悪とは完全に無関係だ。  いや、…

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3週間前
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【第12回 いきなり文庫! グランプリ】いよいよ第一回いきなり文庫! グランプリ最優秀作品賞決定!

江口 今回は、いよいよグランプリ最優秀作品を決める回です。これまで、グランプリ候補として残っている優秀作品は堀川アサコさん『定年就活 働きものがゆく』、中山祐次…

集英社文庫
4週間前
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門田充宏・著「ウィンズテイル」シリーズ作品紹介

近未来地球。 未知の巨大生物〈徘徊者〉による侵略が続くこと、約120年。 世界を取り戻す鍵は、少年少女に託された――。 大迫力のSF×バトルファンタジー、新シリーズ始動…

集英社文庫
1か月前
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読書の秋。新連載ぞくぞくスタート!

まだまだ残暑が厳しい……というより猛暑まっただなかですが、暦の上ではもう秋。 そう、読書の秋です! というわけで、集英社文庫noteでは小説・エッセイの新連載をぞくぞくスタート! 先行して連載を開始したのは、骨太なサスペンスを数多く生み出してきた福田和代さんのサイエンス×忍者小説『梟の胎動』。令和の忍者のスリリングな活躍をご覧ください! そして、血液のがんと闘いながら、長年あたためてきた構想をついに小説化した花村萬月さんの『海路歴程』。読み手をとらえて離さない中毒性の高い

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 6/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 六  桜がちらほらと咲きはじめた三月二十八日、英彦たちは朝六時に滑走路前に並んでいた。 「用意はよいか」  飛行服に身をかためた徳川大尉が、英彦たちを見ながら声をかける。英彦たちは真っ先に駆け出そうと、右足を半歩前に出していた。  滑走路には、すでに点検を終えた会式機二機とブレリオ機が置かれ、整備員たちがまわりを取り巻いている。 「では、かかれ!」  大尉の声で、英彦と八の字髭の木村中尉がまず駆け出した。徳田中尉と武田少尉がそれにつづ

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 5/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 五  明けて大正二(一九一三)年の正月──。  英彦は亜希子とともに、年賀のため麻布の実家を訪れていた。 「しかし飛行機ちゅうのは、危なくないか」  床の間を背にした父が、ほぼ真っ白になった鼻の下のカイゼル髭をひねりつつ問う。英彦は答えた。 「危ないといえば危ないのですが、そこはなんとか注意を払って乗り切るしかないです。機体と発動機の整備を念入りにやって、気象の悪いときには無理に飛ばないようにすれば、そこまで危険なものではありません」

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 4/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 四  陸軍は毎年秋に、国内の一カ所をえらんで特別大演習をおこなう。  大正元年秋の特別大演習は、天皇陛下を大元帥として埼玉県川越町の仮設大本営にお迎えし、近衛、第一師団などを南軍、第十三、第十四師団などを北軍として実施された。  第一師団などの南軍は相模方面から北上し、第十三師団などの北軍は加茂の宮、粕壁の線に防備をかためている、との設定で、川越、所沢、立川を会戦地として、合わせて五万人ほどの兵で攻守を競うのである。  研究会の飛行機

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 3/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務) 三 「このグノーム式発動機というのは、ちょっと変わった構造になっている」  その新しい教官は、訓練生たちをファルマン機の横に立たせて、発動機を指さしながら言った。 「気筒が七つ、星形についているだろう。このひとつひとつにピストンがあり、中央のクランク軸につながっている。ああ、発動機ってのは、この気筒の中で爆発が起きてピストンが上下動し、その動きでクランク軸を回す仕組みになっている。それは習ったかな」  教官の問いかけに、訓練生たちは硬

新刊のご案内【集英社文庫4月刊】

みなさんこんにちは。 集英社文庫noteです。 4月を迎え新生活が始まった方も多いのではないでしょうか? 環境の変化に戸惑うことも多いかもしれませんが、ピンチはチャンス! 新たなものに踏み出す自分を鼓舞しながら日々頑張っていきましょう。 悩んだときは読書をすることで学びを得ることや、気持ちの整理ができるかもしれませんよ! さて、4月19日に集英社文庫の4月刊が刊行されました。 今月は13作品。ジャンルも様々です! こちらの記事では、それぞれの魅力をご紹介していきます。 み

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 2/岩井三四二

(第一章 死と隣り合わせの任務 ) 二  翌朝、英彦は所沢の飛行場にほど近い借家で目覚めると、布団の上で腹筋運動をはじめた。朝と寝る前の日課である。  百回を終えたところで腕立て伏せにうつり、五十回をこなしてから、片手腕立て伏せを左右それぞれ十回ずつ。朝の仕度にかかるのはそれが終わってからだ。  新婚当時、妻の亜希子から、 「どうしてそんなに熱心に体を鍛えるの」  と訊かれたものだが、 「なにごとも常に向上するようつとめるのは、軍人として当たり前のことだからな」  と答

【刊行直前特別連載!】鶴は戦火の空を舞った 第一章 1/岩井三四二

第一章 死と隣り合わせの任務 一  埼玉県の所沢には、陸軍が造った“日本初”の飛行場がある。  もともと芋畑だった二十三万坪の敷地の中に幅五十メートル、長さ四百メートルほどの滑走路をそなえ、三階建ての気象観測所や格納庫、兵舎なども設けられている。  ここには五機の飛行機がおいてあるが、そのうちの一機、アンリ・ファルマン式飛行機がいま、滑走路に引き出されていた。 「やっぱり凧のお化けとしか思えねえな」  陸軍“初”の操縦訓練生である錦織英彦工兵中尉は、いまだにそういう感想

彼女たちはヤバい 終章/加藤元

【前回】  今日のお客は、飯塚あやという女性だった。 「いい雰囲気のお店ですね」  初対面の飯塚あやは、緊張気味の頬をゆるめながら言った。 「私、喫茶店が好きなんです。とくに懐かしい感じのこういうお店、大好きなんですよ」 「いかにも昭和な店でしょう」  四角いガラスがはまった木の扉。カウンター五席と四人掛けボックス二つ。全体がコーヒー色に染まったようなオーク材の内装。  「母親が経営しています」  飯塚あや。ホームページから予約のメールを送ってきた初回のお客に向かって、占

雌鶏 第六章 2/楡 周平

【前回】    4  小早川(こばやかわ)の告白を聞いて、貴美子(きみこ)は動揺した。  誕生の時期といい、手放してから養子にもらわれていくまでの経緯といい、鴨上(かもうえ)から聞かされていた話と酷似している。  だが、もしその子供が勝彦(かつひこ)であったなら……。  止(や)むに止まれぬ状況下にあったとはいえ、我が子を手放さざるを得なかった母親の心情は鴨上にも理解できるはずだ。鴨上にしても、空襲で亡くなった妻子のことを語ったのは一度きり。その後一切触れずにきたのも、今

おかえり ~虹の橋からきた犬~ 第十六話/新堂冬樹

【前回】  「細胞診の診断結果が出ました。小武蔵君は、悪性リンパ腫でした。腸にできる消化管型リンパ腫で、発生頻度の低い珍しいタイプの腫瘍です」 「東京犬猫医療センター」の診療室――西沢獣医師が、テーブルに置いた診断表を見せながら言った。  菜々子は、足元に寝そべる小武蔵に視線を移した。検査結果を聞いても、菜々子に驚きはなかった。  浮き出した背骨と肋骨、艶のない被毛、力のない瞳……十日前に自宅で嘔吐を繰り返してから、小武蔵の体調はみるみる悪化した。  ドッグフードをまったく

下町やぶさか診療所 5 第一章 散骨の思い・後/池永陽

【前回】  羽田空港を早朝の七時ちょっとの飛行機に乗り、麟太郎たちは出雲空港に向かった。  びびりまくるのではないかと心配されていた高史は窓際の席に座り、ガラスに顔をくっつけるようにして外の景色を一心に見入っていた。通路側に座った麻世も最初のときのような恐れる様子はほとんど見られず、静かに両目を閉じて黙って座っていた。ただ、両手で肘掛けだけはつかんでいたが。  いちばん大変だったのは、高史の隣に座っている「飛行機が怖くて、お天道様の下を大手を振って歩けるもんけえ――」と大見

『沖縄密約 ふたつの噓』文庫版書下ろし 追章 冒頭部分特別公開!

追章 欠  落  沖縄密約情報公開訴訟の劇的な一審判決から三回目の春を前に、西山啓子は七十八年の生涯を閉じた。骨髄腫だった。 「ちゃんと死なせなきゃ」  ことあるごとにそう口にしていただけに、夫を残したまま旅立つのはどれほど心残りだったろう。  それから十年になろうとする年の瀬、九十一歳になった太吉は自宅近くの老人ホームに入った。腎臓や心臓が悲鳴を上げ、支えなしでは歩くこともままならず、ひとりで暮らすことが難しくなっていた。  入所する前日、私が自宅を訪れると、応接間には書

海路歴程 第八回<下>/花村萬月

.    *  未来永劫晴れていることは、自然天然には有り得ない。  貞親にとって自然天然とは、人の思惑など一切頓着しない超越だ。善悪とは完全に無関係だ。  いや、自然は悪だ。  だからこそ美しい。胸を打つ。  洋上は不穏に充ちて、うねる。  貞親は溜息を呑みこんで、乱れに乱れた波に隠された規則性を見抜こうと、意識を海に集中させる。  晴れて凪いでいるときは、世界は穏やかに整然と動いているかに見える。けれど、こうして乱れはじめると混沌の乱舞で貞親を翻弄しはじめる。  一定の

【第12回 いきなり文庫! グランプリ】いよいよ第一回いきなり文庫! グランプリ最優秀作品賞決定!

江口 今回は、いよいよグランプリ最優秀作品を決める回です。これまで、グランプリ候補として残っている優秀作品は堀川アサコさん『定年就活 働きものがゆく』、中山祐次郎さん『俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科』、長月天音さん『ただいま、お酒は出せません!』、山本甲士さん『民宿ひなた屋』、吉森大祐さん『青二才で候』、佐藤さくらさん『波の鼓動と風の歌』、辻井南青紀さん『主君押込 城なき殿の戦い』。 以上、七作です。それでは、一作ずつ振り返っていきましょうか。 まずは、ザ・定年小説、堀

門田充宏・著「ウィンズテイル」シリーズ作品紹介

近未来地球。 未知の巨大生物〈徘徊者〉による侵略が続くこと、約120年。 世界を取り戻す鍵は、少年少女に託された――。 大迫力のSF×バトルファンタジー、新シリーズ始動!! お知らせ2024.4.19 文芸・本のニュースサイト「ナニヨモ」著者インタビュー記事公開 2024.4.19 『ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子』発売 2024.4.4 「ウィンズテイル」シリーズ作品紹介ページ公開。 内容紹介『ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子』 未