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「聞き出す技術」 反町理

「なるほど」は会話のリズムを出す言葉でもあります。」



「聞き出す技術」 反町理


月曜から金曜まで毎日20:00~22:00までの約2時間、BSフジで放送している報道番組「プライムニュース」


僕はこの番組が好きで、というよりも反町理(そりまちおさむ)さんの膨大な知識の上に成り立つ数々のゲストへの質問のパワーに計り知れなく虜になってしまい、「プライムニュース」をよく見るようになりました。


「どうすれば気持ちよく話してもらえるか?」
メインキャスターの反町理さんが書かれた「聞き出す技術」


反町さんはこの本の冒頭でいきなり


自分で言うのも何ですが、僕はがさつです。

ビジュアル系でないうえに、上着の下はいつも半袖だし、カメラ目線にはならないし、大声で笑うし、視聴者へのサービス精神にも欠けています。


こんなことを冒頭で言ってしまうとは!


普通だったら、そんな番組のどこに魅力を感じて、視聴者は番組を見るというのでしょう。


それがこの本が出版された2020年で、11年も放送が続いているというのですから、どこかに魅力があるに違いありません。


2時間の生放送で、著名な論客、政治家、大学教授、名だたるゲストに途切れることない議論。


それをスムーズに運んでいるのが、繰り出される反町さんの「質問」なんです。


反町さんは、この本の中で何度も言っています。


「僕は質問係のおじさん」
だと。


反町さんは、フジテレビの政治部から「プライムニュース」のキャスターに抜擢されたときに、当時のBSフジの社長にこう言われました。


「番組の内容をオフレコに近づけるよう頑張ってくれ」


政治家の多くは、「本音」を語りません。


「たてまえ」の話で終始終わる可能性が高いのです。反町さんも「たてまえ」の答えしか返ってこないとなると「何にもなりません」と言っているほど、この「オフレコ」に近づけることが番組の肝なのです。


そのために反町さんは、ゲストの都合がつく限り、事前取材をするそうです。相手の考えていることがわかれば、突っ込んだ話ができるからです。事前の取材では「オフレコ」の話が出やすくなります。


番組本番では、その「オフレコ」の話をゲストからしてもらうのではなく、質問において、「ギリギリまで話をもっていくように誘導している」というのです。


これが、番組の内容をオフレコに近づけていくということなのです。


その番組の空気感を、テレビを見ている我々は、緊迫感をもって感じ取れるからワクワクするのですね。ここが他の報道番組と違っている所だと感じています。


この本の「聞き出す技術」として、印象的な話が3つありました。


1つ目が


まず言いたいことを言ってもらう


まずゲストに言いたいことを言ってもらった後で、こちらから徐々に伺っていくのです。

ゲストが、本音にしろ「たてまえ」にしろ、言いたいことを言わせてもらったという「納得感」を持ってもらうことが大切だと僕は考えています。


聞きたいことがあれば、まず話をよく聞いた上で、ゆっくり質問をしていくことが大事なんですね。「納得感」をもってもらうことが重要なんです。


2つ目は


本音を引き出したいときに、こんな方法があります。


馬鹿に思われてもいい


どういうことかと言いますと、反町さんはあえて、ずれた「たとえ話」や誇張した「たとえ話」をするそうです。


僕は基本的に質問係のおじさんですから、馬鹿に思われてもいいし、実際知らないことばかりです。優秀なキャスターぶる必要はありません。

「それって、こういうことですよね」とわざとずれたことを言うと、「違う。そうじゃない」とこだわっている人ほど本心に近い説明をしてくれます。それでいいのです。


3つ目は


番組を見ていて、反町さんが連呼する「なるほど」という言葉。


相槌のように頻繁に「なるほど」が使われています。それもいろんな「なるほど」が感じとれるのです。


ただ相槌の「なるほど」


納得の「なるほど!」


ちょっと疑問符の「なるほど?」


諦念の「なるほど⤵」


「その言葉を待ってました!」と、ニヒルな笑みを浮かべての「なるほど⤴」


話を促す「なるほど」の使い方


番組がはじまった当初、反町さんはスタッフにこう言われたそうです。


「なるほど、なるほどって、うるさい。
ゲストの声がきこえないじゃないか」


反町さんは「なるほど」という言葉をこう考えています。


「なるほど」は会話のリズムを出す言葉でもあります。

(中略)

そんなとき、「なるほど、それでどうですか」と相手を促す、リズムをつけて相手の話を「引きずり出す」のです。


「なるほど」は、「リズムに加えて相手に「敬意」が伝わる言葉である」とも反町さんは語っています。


「なるほど」は、話をよく聞いていると相手に伝わりますし、リスペクトも伝わり、理解したという「承認」も伝わります。


僕も最近、反町さんに影響を受けてか「なるほど」と、よく言うようになりました。


そうすると


相手も、まんざらでもないような表情になることがあるのです。これは良い効果ではないかと感じています。


反町さんの「なるほど」ワールド、「なるほど」の使い方は、ぜひとも「プライムニュース」を見て会得してみてください。日常会話で聞きたいことを無理せず聞き出せるようになる「秘訣」だと僕は考えています。


あと番組の重要性、女性キャスターが反町さんをフォローしている話や、CMの間の話など、「プライムニュース」が10倍楽しめる裏話がたくさん語られています。


「プライムニュース」ファンのみなさまには、「なるほど!」と頷ける楽しい内容となっています。



【出典】

「聞き出す技術」 反町理 扶桑社新書


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