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世界を小さくするものとは。

世界が小さく感じることはいいことだ。
 
とシュンさんは言った。
 
シュンさんはバンコクで大人気の居酒屋を経営し、これからバンコクだけで100店舗に増やそうとしている実業家である。無精髭にキャップという姿で渋谷にいてもおかしくない風貌だが、タイ語を話し、アジアの事情にも詳しく、バンコクを起点にシンガポールやジャカルタなどアジアの各都市を動き回っている。

シュンさんの元には日本から若者が夢を持ってやってくる。2ヶ月前にきたという25歳の彼もその一人。一度サラリーマンをやってみたけどもやっぱり夢を叶えたいとタイに来たという。夢があるんだとまっすぐに言う20代を久しぶりに見たような気がする。

シュンさんは、そういう若い人たちには休みがあったら、どんどん外に出ろといっているそうだ。シンガポールやジャカルタなら日帰りだって行ける距離。とにかく見て感じることが大事なのだという。
 
シュンさんの店では東京でもお目にかかるのが難しいほど新鮮で美味しいマグロやカニなどの海鮮が味わえる。これらは日本からバンコクへ直送される。インフラが整っているから、もはや瀬戸内海でとれた魚が東京に来るのと同じような感覚で、日本からタイに運ばれて来るのだ。僕は驚くほど美味しい刺身に驚いた。と同時に、心の中で刺身は日本だろうと思っていた自分が恥ずかしくもなった。
 
僕には世界はまだまだ広い。ようやく日本国内は3時間と3万円があればどこでも行けるという感覚になり、日本はとても狭いものになった。とはいえ、それは空港からのアクセスがよければの話で、たとえば天川村や熊野なんかはまだまだ遠い。
 
地球は地図で見ると広いけど、距離を感覚として得られるようになると広さは感じなくなってくるのだろう。

それには友だちが大切だとシュンさんは教えてくれた。現地の友だちがいるとその街は見知らぬ街ではなくなり、自分も異邦人ではなくなる。今回のバンコクもシュンさんが店を教えてくれたり、ムエタイのチケットを取ってくれたり、車をチャーターしてくれたりと大助かりだった。

それだけではない。一見危ない国に見えるタイは、実は日本よりも治安がいいんだよと教えてくれる。これがありがたい。精神的な不安がなくなるだけで、身がどれだけ軽くなることか。
 
友だちを通じて得た異国の街の経験は、もはや第二の故郷のような安心と愛情をもたらす。それが増えるほどに世界はどんどん小さくなる。そうなると逆にアイデアは大きくなる。

ビジネスをするならどの国で展開できるか友だちに聞けばいい。自然と世界規模でのビジネスアイデアになる。

社会貢献だってそうだ。社会をよくするにはどうしたらよいか。友だちが困っているから助けよう。そう思って行動することが、世界規模の社会貢献につながっていたりするのだ。

グローバル教育が叫ばれているけど、一番大事なことは世界中に友だちをつくることなのかもしれない。

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