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ラーメンへの強いこだわり。

きたみ

カップラーメンはもう食べられない。インスタントラーメンも絶対食べられない。

固め濃いめ多めでないとラーメンじゃない。

綺麗なラーメン屋はラーメン屋じゃない。

床が少しベタベタで不快なくらいがちょうどいい。

麺と油、スープが絡み合っていないと満足しない。

例え家系ラーメンでも、絡み合っていないとわかるものだ。一口目でわかる。満足しない。

なぜ味濃いめの油多めと注文したのに味が薄く感じるのだ。なぜ俺はこの店に入ってしまったのだ。

悔しい気持ちを噛み締めながら麺をすする。

〜〜〜

大和家。僕のホーム。

高校の受験期なんかは、毎日通っていたし、なんなら昼と夜、1日に2回行くような生活をしていた。

大学に入ってもその勢いは止まらず、毎週、必ず行ってるし、旅行の前、風邪をひいた時、テストの前、祝い事、ほとんどが大和家を大和家で過ごしている。

普段は地元の5人くらいと行くのだが、誰か1人がグループLINEで『大和家』とメッセージすると、みんな「まじか〜〜〜」と言いながら集合する。

大和家は、味が濃い。油もどっぷり。

次の日にはみんな揃ってお腹を壊す。

お腹を壊すとわかっていても、麺と絡み合っているから、さいこうだから、食べてしまうのだ。

お米との相性も抜群。

一人一人食べ方が違う。

先にご飯を持ってきて、胡椒を米の上にふりかけて、スープを垂らす。先にご馳走を食べてから麺を食べる奴。

海苔を使って、巻いてスープに浸して食べる奴。

みんな、通うにつれて身についた自己流の食べた方だ。

ちなみに僕は麺を食べ終わってから、ご飯を持ってきて、レンゲで米をすくって、少しだけスープに浸す。(スープに浸しすぎるとベチャベチャになってしまうから少しだけ。1往復させるようなイメージ。)

他のラーメンじゃ基本的に満足はできない。

何度も言うけれど、麺とスープが絡み合っていなければいけないのだ。

たとえチャーシューが美味しくても、麺とスープが絡み合っていなければならない。

〜〜〜

ある日、海苔が変わった時があった。

誰も気づかない、そんな小さな出来事。

それでも僕たちはすぐに気づき、テンションが上がって、みんな笑顔になった。

味が薄い日も、味がいつもより濃い日もわかる。

全てわかるのだ。

〜〜〜

大和家にはアイドル店員がいる。

そう勝手に呼んでいるだけだが、若い女性スタッフがいる。

僕たちは店に着いてから、ルーティンとして、お店のアンケート用紙を記入する。

「何かトッピングをして欲しいものはありますか?」

「このお店を知った経緯はなんですか?」

など、様々な質問を投げかけられる。その中で最後の質問欄。

「輝いていたスタッフはいますか?」

この欄に毎回、皆、そのアイドル店員の名前を書いていた。

ある日、僕たちがお店を出るタイミングと、アイドル店員が退勤する時間が被ったことがあった。

その時、アイドル店員の方から僕たちに、

「いつも名前を記入してくださり、ありがとうございます!私だけ赤いTシャツを着ているじゃないですか、それ、輝いているスタッフランキングで1位を取ったからなんです!おかげで取ることができました!」

僕たちは童貞なので、モゴモゴしながら、心の中では絶頂だった。

アイドルを1位にすることに成功したのだ。

これが地下アイドルを応援する人の感覚なんだろうな、と思った。

それからも毎回、記入したし、アイドル店員がいると、みんなお辞儀をした。

〜〜〜

僕が大和家に行く理由は2つある。

1つ目は、ラーメンが美味しいから。麺とスープが絡み合っているからだ。

2つ目は、アイドル店員を応援する使命があるから。

目的があるので、僕たちには行かなければいけないのだ。

きたみ

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