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死角

死角  日曜日。ふと目が覚めた。外はやけに明るくて、もう昼かとため息をつく。ちょっとお腹が空いたな。僕はキッチンまで行って冷蔵庫を見た。 「何もないのか。」  コンビニに行ってお昼ご飯を買うことにした。外に出ると、虚しい風が体を通り抜けた。先週の日曜日も、そのまた前の日曜日も、外はもっと色に溢れていた。人や車、自転車なんか全く通っていない。おかしいなとは思いながらもコンビニに向かう。やっぱり人は居ないみたいだ。電気もついていない。 「おかしいな。この世界には僕以外は居ないの

    • 11月30日

       もう11月も終わりです。明日から師走ですね。そんな11月の終わりに、少し小さな幸せを見つけました。  今日も学校に登校して、悪いこともあれば良いことも少しあるような、そんな感じで過ごしていました。まあ、案の定下校するときには疲れていて、下を向いて歩いていました。最近は寒くなってきてちょっと身を縮めながら。木の葉も散ってきて地面には落ち葉が沢山落ちていました。そこにふと、小さな花が落ちていました。その花は小さくて可愛らしくて、下を向いていても案外良いこともありまして、平成最

      • いかないで

         星が綺麗な夜、君に大事な話があると呼ばれ浮かれていた私は、いつもよりお洒落をしていつもの喫茶店に向かった。でも席についた私は浮かれていることに恥じらいを持った。君の表情を悟った。決して良い話ではない。むしろ真逆だと…  昨日はあれほど楽しくて笑顔だったのに…君が口を動かそうとした瞬間私はまだこの時を辛くても二人の時間をこのままでいたい。そう思った私は先に口を開いた。「昨日はありがとう。楽しかった、次はどこ行こっか」  少し沈黙が続いたあと君は息をはいた。 「ごめん…もう…別

        • おしょーせつ

          まだ、題名がありません ─────────────  一人きりの夜。一人には少し広い部屋にはテレビの光が目立っていた。テレビにはバラエティ番組で科学実験をやっていた。  魔法に一番近いものは何かと問われると、物理的には「科学」と答える人が多いかもしれない。でも今の僕はでは、「人」と答えるだろう。  二人で使っていたときのこの部屋は少し狭いように感じたが、今では少し広い。君は僕から離れていった。心には深い傷がついた。  わかっていた。なんとなく過ごす日々が少しずつほつれてい

        死角

          一夜の夢

           「雲が晴れる」    僕の住んでいる町は雲におおわれている。でもそんな噂が町に飛び交った。僕は馬鹿なんじゃないかと思った。でも皆はそれを望んでいる。だから誰も訂正しようとは思わなかった。星とか月とか太陽とか、この町ではもう、とうの昔の存在だ。  僕はとある夜に目が覚めた。外がやけに明るい。僕はまさかと思って外に出た。そこで見たのは空いっぱいに光る星と眩しく思えるほどの月だった。それが月と言うのかすらも怪しく感じた。  静かな夜、遠くから何かが聞こえた。僕はその何かを知りた

          一夜の夢

          おとな

          大人になるって何だろう 成人したらかな? タバコを吸ったら? お酒を飲んでみたり? 大人になったら 小さなアパートのベランダで お酒を飲んで空を眺めてみたいな そんで、今日を振り返ったりして ちょっと涙を流してみたり きっとそれは私にとって美しいことだからかな 涙を流す理由が恋とかだったらどうしよう。 今は感じられない大人の恋愛ができるのかな? でもそれはちょっと勿体ない涙だ 大人になったら何が変わるかな 案外何も変わらなかったり そんなことを考えてたら ちょっと大

          おとな

          逃げ道

          岐路のない一本の道 迷うことのないはず それでも迷ってしまうのは 前も後ろもわからなくなってしまったから 「これ、やってもらえる?」 はい。わかりました。 「お願いしてもいいかな?」 うん。全然大丈夫だよ。 ただ誰にでも見せるような笑顔を作って、 善者を装う。 もう疲れた。 自分で自分を追い詰めてしまう。 こんなの望んでないけどな。 逃げられないかな… あれ?どっちに進んでたんだっけ? 前も後ろもわからないや、 逃げ道は? どこにもないや… どーしよっかなぁ、、、

          逃げ道

          またね

          『またね』 その“また”はいつ来るのだろう。 いつまで待たなきゃいけないのだろう。 その言葉は暖かいのにどこか寂しくて冷たい。 その“また”が来る日まで君のことを ずっと待ち続けるのが怖い 君といつ会えるの? 君といつ話せるの? 君といつ空を眺めることができる? そんなことを考えていると 自分はことごとく面倒くさい人間だと思う。 でも、それでも 孤独でいなきゃいけない日々が続くなら いっそのこと突き放してくれたら楽になるかな なんてバカなことを考える。 またね

          またね

          向日葵

           今ここにはいない君へ 私は今年も君に向日葵の花を贈ります。  私たちが付き合って一年半がたった頃。君は職場で倒れた。雪が雨に変わる頃、私はすぐに病院に駆けつけた。 「倒れちゃったけど大丈夫だよ」 君はそうやって笑った。でもそんなことはなかった。 「心臓病です。治すのは難しいでしょう。もって一年です。」 嘘だと信じたかった。でも嘘ではなかった。私はその日、傘もささずに家に帰って、声にでない叫びをあげた。外と同じように、目からは水がなかなか降りやまなかった。 「来た

          向日葵

          11月23日~勤労感謝の日~

          今日は勤労感謝の日でした。 たまたま外に出掛けていて、ふとプレゼント買ってあげよっかな、なんて思ったので母と父にプレゼントを買うことにしました。 プレゼントを渡す際、手紙を書いたのですが、そのとき母がどれだけ大事な人なのか。凄く感じました。 私は何度も母に反抗して、喧嘩もしました。こんな親は嫌だ、とか何度も何度も思いました。それで、ここに嫌なところを書き上げようと思って文字に書き起こしてみました。そこに出てきたのは、いつも不機嫌だ、とか、全然わかってくれない、だとか。よく

          11月23日~勤労感謝の日~

          太陽は嫌いだ。誰でも簡単に浴びることのできるスポットライト。私はなにもしていない。興味もない他人の話を聞いては相槌をうって、社会の決まりにそってばっかり。私らしさを出せずに、私は人とは違うなんて思いながらなにもできない。一人でただ墓穴をほってまた孤独になっていく。 ただ、今日は違った。今日は日曜日。薄暗い路地で2ヶ月程前に見つけた太陽の当たらない喫茶店。ドアを開けてカランコロンと静寂の中、綺麗に鳴る。 いらっしゃいませ。 少し低い落ち着く声。中には私の嫌いな太陽の光はな

          花言葉

          花言葉 “花には一つ一つ意味がある” 君は僕にそう教えてくれた。その言葉をもとに、君に届くように、今日こそはも勇気をだした。  毎週金曜日の午後6時。君は僕の働いている花屋にやってくる。男が花屋なんてひかれることも多い。僕だって最初は嫌々だった。両親の始めたこの店を、親に直に継いで欲しいと言われたら断れるわけがない。でも、君がこの店に来たとき、花を笑顔で見る姿に恥ずかしながら一目惚れをした。  金曜日の午後6時、君は今週もこの店にきた。 「今日はどの花がいいかな…?」 そ

          花言葉

          11月12日~自分らしさ~

          今日から、誰得にもならない日記を書くことにしました。  今日は、道徳の授業で“自分らしさ”について考える機会がありました。いくつかの意見があがる中、1つ“個性”というものがありました。何故か私はそこに引っ掛かってしまいました。個性とは、他人には無い、その人特有の性質、性格。個人の特性。といったものでしょう。確かに、自分らしさの1つに入るかもしれません。が、自分の個性がわからない人だっていない訳じゃありません。人に流されて生きてきた人も居るでしょう。それを世間一般では無個性の

          11月12日~自分らしさ~

          月  「好き。」  そんなこと素直に言えるならどれほど楽になれるだろう。ガラス細工みたいな僕の心は不確かで、言葉にしようとする度泡になって消えていく。  自分が弱いことは自分がよく知っている。でも、割れてしまいそうで、ぼやけた視線の中でも君だけは綺麗に映る。  僕は以前から好きな人がいる。一度親の都合で離れてしまったが、また会う事ができた。連絡先だって交換したのに僕は勇気が出せずに告白できずにいた。チャンスなんていくらでもあった。それなのに僕は。自分で自分が嫌になる。