ゴンチャロフ『断崖』についての雑記
ロシアの小説家・ゴンチャロフの最後にして最大の長編『断崖』を読み終わった。これでゴンチャロフの小説は全て目を通したことになる(『平凡物語』『オブローモフ』『断崖』)。この作品、とにかく長い!ひたすらノロノロと進むのである。ゴンチャロフの作品に共通することは、筋というものがおおよそ存在しないということである。だから、粗筋なんかに目を通しても大して意味は無い。ゴンチャロフの才能は(ベリンスキーやドブロリューボフが指摘するように)形象の創造という点で大いに発揮される。彼は典型的人物