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高き空【ショートショート読み切り】

「思えば…ガキの頃は上ばっか見てたな…」

「うん。」

「暇…だったんだろうなぁ。何の理由も無く空を見上げる事ができるなんて暇人だから出来ることだ。」

「暇って言い方は良くないんじゃない?余裕があったんだと思うよ。上を見る余裕が。」

「あぁなるほど。余裕ね。いやぁ…でも…久しぶりに秋空を見た気がするな。こんなに高いんだな。」

「ね。秋の風も気持ちいいし。最高。」

「あぁ、気持ちいいな。」

「余裕…できたの?」

「え?」

「この秋空を見上げる事ができたんでしょ?」

「あぁ…。言われてみればそうだな。」

「良かったね…」

「あぁ。お前とこんな綺麗な空を見る事ができるって幸せな事よな…。」

「あのね、余裕があるから上を見る事ができるっていったけどさ、あたしは違うわ。」

「…?」

「私が上を…空を見る時…それはあなたを見る時よ?あたしは上を見るといつもあなたがいたわ?」

「ヘヘ…なんか…恥ずかしいな…でも嬉しいよ。ありがとう…。お前が上を見る理由が俺か…。」

「どの季節も、どんな空も、必ずあなたが一緒だった。」

「ありがとうよ。」

「何か自分で言ってて恥ずかしくなってきちゃったよ。行こ?」

「何だよ。もうちょっとこの空見てようぜ?」

「何よ、あたしが作った夕飯早く食べたくないの?」

「お?そうだったな。食べたい食べたい。早く食べたい。いっやぁ…お前の手料理食べんの久しぶりだなぁ…よっしゃ、早く行こうぜ?」

「空見なくていいの?」

「いい、いい。そんなもんいい。そんな事よりお前の手料理だよ。な?早く行こう。」

「ゲンキンな人だね。はいはい、じゃ、行こう。」

「ビール買ってこうぜ?」

「はいはい、早く行くよ。」

「おぉ…すげぇ…身体が…軽い!」

彼は幸せだった。
愛する人が手料理を準備して迎えに来てくれたのだから。

「空の上は…風が強ぇな…おぉ…真っ赤だ…真っ赤な夕日だ…」

バイタルサインの波形が直線に変わり、物語は終わりを告げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。
風雷の門と氷炎の扉もお楽しみに。

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