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BMIを正しく見積れる人「3分の2未満」。

▼ 文献情報 と 抄録和訳

多くの成人が自分のBMIと体サイズを正しく認知していない

Gruszka W, Owczarek AJ, Glinianowicz M, Bąk-Sosnowska M, Chudek J, Olszanecka-Glinianowicz M. Perception of body size and body dissatisfaction in adults. Sci Rep. 2022 Jan 27;12(1):1159.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed

✅ ハイライト
- ポーランドの成人744人を対象とした調査で、自分のボディマス指数(BMI)を正しく見積もれる人は全体の3分の2未満で、自分の体サイズを正しく言い当てられる人は半数に満たないことが明らかになった。

[背景・目的] 体格の自己認識は、Word Health Organizationの分類による標準体重、過体重、肥満の臨床的定義と必ずしも一致していない。体格の自己認識や身体への不満が、肥満の主な危険因子である神経性食欲不振症やむちゃ食い障害などの摂食障害の発症に影響する可能性がある。そこで、本研究では、正常体重、過体重、肥満の成人において、体重の状態や体格の認識、身体への不満を個別に評価することを目的とした。

[方法] 対象は、メタボリックマネジメントセンターに紹介された成人744名(女性452名、35.9±12.4歳、低体重21名、標準体重326名、体重超過221名、肥満176名)およびボランティアである。体格の認識と身体への不満はStunkardsの体格評価尺度(FRS)に基づいて評価された。さらに、参加者に「自分は低体重・標準体重・過体重・肥満だと思いますか」と尋ね、体重状態の認知を評価した。参加者の体重と身長を測定し、BMI(body mass index)を算出した(FRS終了後)。

[結果] 参加者の63.5%が自分のBMIを正しく推定でき、49.5%が自分の体サイズを正しく推定できた。過体重のBMI範囲内の人は、自分を低体重(1.4%)、普通体重(30.8%)、肥満(2.8%)と評価しています。また、肥満のBMI範囲にある人は、自分自身を普通体重(2.6%)、過体重(41.6%)と評価しています。体重の自己評価と測定値によるBMI区分の適合性は中程度であり、カッパ係数は0.59(95%CI:0.54-0.64)であった。体重の過小評価は、女性よりも男性に有意に多かった。体重による身体不満の分布は、女性、男性ともに統計的に有意な差があった。正常体重者は、過体重者や肥満者よりも自分の体格に不満を持つ割合が低かった。身体不満の程度は、男性よりも女性で大きかった。

[結論] 成人では、自分の体重や体格を過小評価することが多い。肥満の女性は男性よりも自分の体格に不満を持っていることが多い。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

敵を知り己を知れば百戦危うからず
孫子

孫子の格言よろしく、今回の研究によって、こと体格に関して、成人の3人に1人以上は「己を知らない」ことが明らかとなった。
これは推察だが、入院中高齢者では、これ以上の確率で己を知らないだろう。
「体重って、どのくらいですか?」に対し、「〇〇貫かな」という答えが返ってくることもある、この世界だ。

己を知らないということは、経験を構築できないということ。
日々のアクションだけでは、「So What?(だから何?)」ということになる。
● いつも、過食しています → So What?
● 最近、全然食べれてません → So What?
● 筋トレめっちゃしています → So What?

だが、アクションに、「己を知る(モニタリング・フィードバック)」が加わると、こうなる。
● いつも、過食しています + BMIが30を超えました → 過食は肥満につながる、やばい!
● 最近、全然食べれてません + BMIが15になりました → 食べないと痩せすぎる、やばい!
● 筋トレめっちゃしています + 筋骨格率が5%アップしました → 筋トレすると筋量がアップする、いいね♪

これが、『経験』するということだ。
そして、経験は、望まれるNext Actionを言外に提案する
すなわち、経験しさえすれば、勝手によくなると思われる。
これが、モニタリングが行動変容に効力を発揮するメカニズムの1つだろう。
だからこそ、セラピストは患者に「経験」を提供する努力を怠ってはならないと思う。
とくに、『己を知る』部分は軽視されがちだ。
リハビリで筋トレをたくさん頑張って、ただアクションだけで終始していないか?、『So What?』となっていないか?
体重、BMI、筋骨格率、その他指標の計測をもって、体組成における「己」を知らせているか?
ああ、InBody (体成分分析装置)が熱烈に欲しい今日この頃である。

明確な目標を知らせ、己を知らせ続ければ、リハビリ危うからず
Super Human

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【あり】最後のイラスト

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