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日常生活における股関節可動域の使用


📖 文献情報 と 抄録和訳

実生活でどの程度股関節を動かしているか?ウェアラブルセンサーによる股関節屈曲の評価と人工股関節全置換術後の意義

📕Sah, Alexander P. "How Much Hip Motion Is Used in Real-Life Activities? Assessment of Hip Flexion by a Wearable Sensor and Implications After Total Hip Arthroplasty." The Journal of Arthroplasty (2022). https://doi.org/10.1016/j.arth.2022.03.052
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[背景・目的] 背景股関節全置換術後の患者にとって、股関節可動域の予見はしばしば必要条件と考えられている。日常生活動作中の股関節の動きを推定することを試みた研究はほとんどない。本研究の目的は、新規トラッキング型ウェアラブルセンサーを用いて、健常者の実生活における股関節の可動域と歩容を評価することである。

[方法] 30名の被験者が、一連のテスト活動中に股関節モーショントラッキング装置を使用した。健康なボランティアが選ばれ、被験者は四肢の症状や歩行における既知の偏差を報告している場合は除外された。股関節の屈曲は、日常生活における一般的な動作で評価された。

[結果]
・歩行:平均9.9°~49.3°(合計39.4°の可動域弧)
・階段昇段:最小19.6°~最大67.8°
・階段降段:26.2°~52.4°
・しゃがみ動作:平均120.0°
・立ち上がり動作:平均103.0°
・トイレ移乗:平均112.6°
・靴紐を結ぶ動作:平均126.1°
・車への乗車:平均最大85.9°
・車からの降車:平均90.0°
・車内での座位:平均72.1°
・ベッドに入る:平均95.6°
・ベッドから出る:平均78.2°

[結論] 人工股関節置換術後の股関節の注意事項は、実際の生活動作における正常な動作弧を知らないまま実施されることが多い。健康な人の日常生活動作における股関節の動きを知ることは、目標設定や人工股関節全置換術患者の教育に有用な情報である。この技術は、術後の注意事項を指導する際や、人工股関節置換術後の患者をリアルタイムでモニタリングする際にも有用である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

理学療法士は、患者の何を問題と捉えるか、が非常に重要になると思っている。
単に正常値との比較において、逸脱を問題と捉えるならば、いくらでも問題点は出てくる。
それらの問題をすべて問題とあげつらえることは、有益なこととは思わない。
「関節可動域が正常より3度低いですね」
(So What? [だから何?])という状態である。

そこで重要になる視点は、その身体機能低下によって「日常生活に支障が出るかどうか」だ。
今回の論文は、股関節の関節可動域において、それを判断する一助となる情報を提供してくれた。
日常生活において、股関節の関節可動域をどのくらい使っているのかを明らかにした。
今回の数値は、臨床の股関節可動域を解釈する上で、とても有用な情報だと思う。
しゃがんで、靴紐を結ぶ動作は、関節可動域の上でとても難易度が高そうだ。

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