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趣味の威力。日本人の参加率は?


📖 文献情報 と 抄録和訳

16カ国の65歳以上の人々の趣味への参加と精神的ウェルビーイング

📕Mak, Hei Wan, et al. "Hobby engagement and mental wellbeing among people aged 65 years and older in 16 countries." Nature Medicine (2023): 1-8. https://doi.org/10.1038/s41591-023-02506-1
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[背景・目的] 高齢化社会の進展は、彼らが経験する社会的・心理的な課題により、世界の健康に脅威を与えている。これを緩和するために、多くの国が趣味の参加を促進し、メンタルヘルスを支援・改善している。しかし、異なる国の環境において、その恩恵に一貫性があるかどうかは依然として不明である。

[方法-結果] 我々は、5つの縦断的研究(N = 93,263)に代表される16カ国において、趣味への取り組みと精神的ウェルビーイングの多面的な尺度を調和させた。

■ 趣味への参加率
・デンマーク(96.0%)、スウェーデン(95.8%)、スイス(94.4%)が最も高く、ドイツ(91.0%)、オーストリア(90.0%)、日本(90.0%)が続いた。
・イタリア(54.0%)、スペイン(51.0%)、中国(37.6%;社会的な趣味に限定しているが)は、エンゲージメントレベルが最も低かった。

■ 趣味への参加とアウトカムとの関連
・抑うつ症状と負の関連(プール係数 = -0.10; 95% CI = -0.13, -0.07; I2 = 69.5%; H2 = 3.28)
・自己報告による健康と正の相関(プール係数 = 0.06; 95% CI = 0.03, 0.08; I2 = 48.1%; H2 = 1.93)
・幸福感と正の相関(プール係数 = 0.09; 95% CI = 0.06, 0.13; I2 = 67.0%; H2 = 3.03)
・生活満足度と正の相関(プール係数=0.10;95%CI=0.08、0.12;I2=33.6%;H2=1.51)

■ 趣味への参加と関連する国別の特徴
・趣味への参加は、世界幸福度指数のスコア(r = 0.63)、国民一人当たりの国内総生産で測定される国の豊かさ(r = 0.49)平均寿命(r = 0.39)と正の相関があり、国内の所得格差を測定するジニ指数(r = -0.63)とは負の相関があった。

さらに解析を進めると、時間的な関係も示唆された。これらの関連性の強さ、および趣味への関与の有病率は、平均余命や国民の幸福度といったマクロレベルの因子と相関していたが、全体として、国レベルの因子によって説明される所見のばらつきはほとんどなかった(9%未満)。

[結論] 所見が比較的普遍的であることを考慮すると、健康的な老化を促進するためには、国内および国間の趣味への関与の平等性を確保することが優先されるべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

あなたの趣味は、何ですか?
趣味とはいいものだ。
一つごとに熱中、没頭しきった精神を冷まし、緩ませる。

老年期には、特に趣味そのものが生きがいになることも多いだろうと思う。
今回抄読した文献は、その趣味の国別の参加率や、その利得、関連する国の特徴などをまとめて示してくれた。
そして、その論文が、なんとNature Medicine誌に掲載されている‼️

高齢化に関することは、やはり世界の重要な関心事と思われる。
その記事の中で、日本は趣味への参加率が比較的高い国として示されている。
確かに入院してくる患者さんの中に、「無趣味」という人は少ないように感じる。
日本という国は、趣味をもつにはなかなかよいお国柄のようだ。

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